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ぷろろーぐ2

 バス事故と同時刻、少し離れた住宅で1人の少年が事故で息を引き取った。日頃の寝不足による過労で、風呂場で意識を失って倒れ頭を強く打ってしまったのだ。


 少年は日頃こつこつと小説書いていた。転生して英雄になって美少女たちにちやほやされる物語を。最近は書くのに熱中してしまって寝不足による疲労が深刻になっていた。そのために起こった悲劇。

 自宅の風呂バス事故によって死んでしまった少年も神の間|(箪笥(たんす)の裏)に導かれ、2人の少年が異世界へ旅立ったことすら気づくことなく意識を失っていた。

 本来のバス事故ではなく、風呂バス事故というズレが起こしてしまった偶然。普通であれば箪笥たんすの裏にでることも気を失っていることもない。もちろんこんなことは初めての出来事なのだ。



「ん、美少女……」

 少年の寝言が神の耳に届き、神は周りをふと見渡した。そしてこたつから出て箪笥たんすの裏を覗くと、そこには裸の少年が寝ていたのだ。


「あれ? もう1人居たんだ。2つスキル余ってたのって……」

 さてさてどうしようかと神は考えはじめる。2人の少年はすでに転生してしまい、スキルを付け替えることもできない。


「ん、ここは……」

 少しして裸の少年は目を覚まし、周りを見渡しハッと確信した。

 これは異世界転生だと。

 果てしなく続く白い地面と青い空、それっぽいと。

 ライトノベルばかり読んだり書いたり考えたりしていて、心はいつでもファンタジーなのだ。


 そして、少年は神と目が合った。


「あなたは神様ですね! ぼくは異世界に行けるんでしょう! 早く行ってみたいです!」

 少年は目を輝かせ、普段からいだいているの異世界への思いが爆発する。


「やっぱり魔法ってあるんですよね。魔法ってすぐ使えるんですか? 便利な鑑定やアイテムボックスで自由にものを出し入れしたりもできるんですか!?」


 続けて様々な疑問を全力投球。


 すでに2人の魂を異世界に送っていて、実は魔法がかなり使える、なんてことはさすがに言えない。


 神の世界にもルールがある。

 人を他の世界に送り出す時には必ず何かしらの手助けをする決まりになっている。

 多くの神が採用しているのが強力なスキル能力を与えること。本来なら難しいことでも簡単に行うことができるチート能力だ。

 この世界では与えるための強力なスキルが自動で用意され、それ以上は渡すことができない。別の世界の神ならまた話は違ってくるのだが。


 だから鑑定やアイテムボックスなんて便利なものをチート能力が与えられない少年が初めから使えることはない。魔法も使えないだろうと思っている。


 何にせよ神のルールを守るためにもこの少年に何かをしてあげなくてはならない、スキルはもうないが。

 適当な感じでも神は神。すぐに案は思いつき、態度も切り替える。


「君は色々知っているようだね。そう、君はこれから異世界に転生してもらうよ」

 初めから予定通りだと言わんばかりの対応である。


「やっぱりそうなんですよね! で、魔法はあるんですか? 危険なモンスターもいるんでしょう?」

「魔法もあるし、危険なモンスターもいるよ。君にはこれから生まれ変わってもらうんだけど、幼いうちに死んでしまったら大変だから、生まれる場所はとても安全なところにしてあげるよ」

「ああ、生まれ変わりってやつですね。幼いうちに一気に強くなって……、よし」


「それで君には今の記憶をそのまま引き継げるようにしてあげよう。5歳になったら記憶が戻るから、それから色々と考えるといいと思うよ」

「え? 途中から記憶が戻るタイプか……、最初から記憶を引き継ぐことはできないんですか?」

「それはね、生まれたばかりだと脳の負担が大きすぎるんだよ。それに5歳ぐらいになれば言葉にも困らなくなってるからそのほうがいいんだよ」

「あー、そういう世界なんですね、読んだことあります。わかりました。それで何か便利なチートスキルとか加護とかもらえるんですか?」

「うーん、そういうのはないかな。君たちの好きな漫画や小説じゃないんだから」


 神はごまかした。少年は先に行った2人のことは知らない。向こうに行った少年たちの記憶もない。だからばれる心配もない。


「それじゃあ魔法はすぐ使えたりするんですか?」

「がんばれば将来的にすごい魔法を使えるようになる可能性はあるよ。もしかしたら君が世界一強くなる可能性もある。」

「そうなんですね! がんばります!」


 可能性は0ではないが、限りなく0に近い。神もそんなこと無理だろうと内心思っている。

『可能性』という言葉はすごく便利な魔法の言葉なのだ。


「あ、そうだ。多くの人に好かれる見た目になるようにもしてあげるよ」

「ありがとうございます!」

 神は記憶が残る少年には比較的愛想よく、優しく接する。一般的なイメージ戦略の一環だ。

 後は送り出すだけである。


「じゃあ、幸せにね」


 こうして神は少年を異世界へと送り出す。一番安全な場所に、優れた容姿の男の子として産まれるように異世界の神への言葉を添えて。

 たとえ強くなれないことがわかったとしても、平和に暮らせるのであれば文句はないだろう。

 異世界を救う目的で2人の魂を送り込め、さらに通常よりもスキルを1つ多くつけることができた。そう考えると何も問題はないはずだ。


 神はそんなことを考えながら、こたつに入ってため息をつく。




 異世界にあこがれた少年はこうして、希望の地へと旅立つ。新たな命として。

 これから始まるのはこの少年の物語。


 異世界ハーレム。いや、単に美少女たちにちやほやされたいという夢を叶えるために頑張がんば純粋じゅんすいな心の少年の物語である。


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