旅立ち その5
ハナは学校についても聞いてみることにした。
これから行くことになる学校の情報は大いに越したことはない。
「ねえ、これから行く学校ってどんなところか知ってる? 村人だったら今みたいに大変にならない?」
「ああ、学校か。私も回復術師学校の中のことは詳しくは知らないな。ただ、すべての学校に共通するルールがある。校内では身分による差別をしたり傷つけないこと。お金がない人には学校が最低限必要なものを用意するということがあるから困らないはずだ。村人は学校の敷地から出ることは許されていないから卒業までずっと中の寮で暮らすことにはなるがな。学校では能力に応じた教育をすることになっているから学業面も問題あるまい。回復術師学校は貴族ばかりだったから最初は何かあるだろうが」
ハナは一応ナナカのほうを見てみたが、うんうんと頷いている。
「何かって?」
「そうだな、準備不足があるだろうな。普通は自分たちが事前に用意する物の中で、すぐに準備しようとしても間に合わないものはでてくるだろう。その間も何とかしてくれるだろうから気にしなくていいはずだ」
「ふーん」
ナナカも頷いているので問題ないだろう。頷いてばかりで首大丈夫かな。
「ねえ、もしぼくがウサギを取ってっきたりできなくて、お腹が空いて先に進めなくなってたらどうなってたの?」
「ああ、命に係わる場合は他のルールを無視してでも命を優先することができるんだよ。だからお金も使える。ただその場合は君は村に返さなければならなくなる。元の所に返すのがルールだからな」
「それって学校に行けないってこと?」
「うーん、私たちは君を連れて行かなければならないから、もう一度村から王都に向かうことになるな。そうだな……、私たちも一度元の場所、つまり王都に戻らないといけないからその時に何か準備ができるな。ただ、どこまで可能かどうかは確認しなければわからない。火を起こす道具程度は持ってこれるとは思うが、どんな理由であっても片道の費用しか出せないとなれば帰りの分の食料を事前に買うことができないかもしれない。その場合は狩りの出来る人員を増やすことぐらいしかできないだろうな……」
「失敗したら初めからやり直しなんてすごく面倒くさいね」
「こんな事ことは想定していないから仕方がない。何ができて何ができないのか私にも詳しくはわからない」
こうして話をしているうちに日も暮れて、3人は寝ることにした。
特に寝るためのものは用意していない。
ハナには自分にだけ使える便利魔法がある。
虫に食われる心配なし、音も遮断できる。
匂いや体温すら外からわからなくできので、夜に獣や蛇に気が付かれることもない。
たとえ襲われてもハナに傷を負わすことすらできないだろう。
そんなこともあり、ハナは強大なモンスターが出ないこの国の中ならどこだって安心して眠ることができる。
そんなハナは今回は適当な草の上で寝ることにした。
ナナカはクッションがある馬車の御者台を選択し、虫よけの魔法を使い眠る。
クリスは焚火の近くで地面に座ったまま眠りについた。
朝になり、ハナが目を覚ますと火も消えていた。
クリスはまだ寝ており、薪を足すことなくずっと眠っていたようだった。
ハナはこういう場合って夜に火が消えないようにするんじゃと思いつつ、火をすぐに着ける。
ナナカはもう起きており、馬たちを撫でている。
今日もいい天気だった。
ハナはさっさとクリスを起こして朝食をとることにした。
串に肉を刺して塩をふって焼くだけ簡単串焼き二日目。
うまうま。
食事を終えるとハナは皿や串を魔法でさっときれいにする。
複数の皿や串も一気に装備して自分だと思えれば魔法が使える。
装備する数に制限はない。
自分が可能だと認識さえできればどんな数でも可能なのだ。
きれいにした皿も串も自分の荷物やウサギの皮をまとめて馬車の中に置く。
クリスたちも馬の準備を終わらせ出発だ。
こうして旅は何事もなく順調に進む。
3日目の夕方にはハナは持ってきた鍋よりも大きい鍋で野菜と肉のスープを作っていた。
ここまでの町で事前に捕った鹿やウサギなどで物々交換を行っていたのだ。
ハナはこれで宿にも泊まれるのではないかとも考えたが、もちろんそんなことはできなかった。
それでも鍋や野菜、香辛料などが手に入り、夕食の選択肢も広がった。
夜もハナやクリスは毛皮を敷いて寝るようになり寝心地向上。
旅の質も上がっていった。
この調子なら何の問題もなく王都に行けるだろうとハナは思っていた。




