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⑦長髪の女性

【乗車から10秒】

ジェットコースターが大好きで、ジェットコースターの一番前の特等席に乗りたかったのだが、二番目しか空いてなくて結局先頭というこだわりは捨て、諦めて仕方なくそこに乗った。


【乗車から30秒】

前に髪を団子状に結んだ女性の後頭部はあるけど、前は予想以上にクリアに見えそうで、他には特に絶叫の妨げになるものは何もないので、気兼ねなく気持ちよく絶叫出来そうだ。


【乗車から50秒】

登り終わって車体が降下を始めて、絶叫の数値まで段々と上昇しているときに、突然嫌な予感がして、そのすぐ後に、前の女性の髪につけられていた何かがぶっ飛んだ。


【乗車から70秒】

グルグルと纏められ、上で留められていた前の女性の髪がゆっくり解けていき、今までにジェットコースターから何か飛んだのを見たことがなかったのに、髪留めだけではなく明らかに他のものもジェットコースターから飛んでいっていた。


【乗車から90秒】

もうすでに前の女性の長い髪が目の前を覆い尽くしていて、気付けば写真撮影ゾーンは少し前に過ぎてしまっていて、写真で僕がジェットコースターの中に存在していることが少しでも確認できますように、と願い続けていた。


【乗車から120秒】

右にカーブしたり、左にカーブしたりを繰り返したりして前の女性の長髪も分散はされていて、ずっと顔を痛め付けている訳ではなかったのだが、さっきグルッと回ったあの一回転が地味に辛かった。


【乗車から150秒】

視界から感じられる爽快感が好きなのに、結局視界は黒い線の束に遮られて続けてしまって、爽快感が少なくなっていたことは明らかなのだが、女性の髪の毛が顔にバサーッとなっていたことが爽快ではないといったらそれは嘘になる。

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