④周りの女子
【乗車から10秒】
一人で遊園地に来て一人で園内を回り、一人で楽しく乗り物に乗りまくっていたが、終盤の今乗ったジェットコースターで女子と相席になってしまい、恥ずかしさで何も入ってこない。
【乗車から30秒】
ジェットコースターは得意だけど女子は苦手で、僕のことを怖がっているように「コワイコワイ」と呟いている隣の女子だけに気を取られていたら、よく見るとすぐ前にも二人の女子が乗っていた。
【乗車から50秒】
スピードが上がってきて両手を挙げて叫びたいくらいテンションが上がっているのに、女子の前で騒ぐだなんて恥ずかしすぎるから出来るわけないし、隣の女子のテンションの低さが気になってしまって全然騒げない。
【乗車から70秒】
大人しい女子なら大歓迎だけど、うるさい女子は苦手だから、男子の声とかおじさんの渋い声とかが聞きたいけど、よく考えてみたら横からも前からも後ろからもずっと女子の声しか聞こえて来ていなかった。
【乗車から90秒】
女子に囲まれているという次元ではなく、もう黒一点みたいな感じだと気が付き、女子の視線がやけに気になり、もう半分は過ぎているのだが、この先に待っている一回転で時空が歪んで男女の割合が逆にならないかな、なんて思ったりしている。
【乗車から120秒】
このいま感じているドキドキが女子に囲まれていることによるドキドキなのか、それともジェットコースターのスリルから来るドキドキなのかなんてことはもう一目瞭然で、全くと言っていいほど生きた心地がしなかった。
【乗車から150秒】
ジェットコースターが目的地に着いて、周りの女子たちみんなの仲がいい雰囲気が伝わってきて、僕以外全員知り合いみたいな感じになってきていて、そこでようやく女子会御一行様のエンジョイ行の列車のようなものに紛れて乗り込んでしまったのだと気が付いた。