②絶叫好きの彼女
【乗車から10秒】
最近付き合い始めた彼女がかなりの絶叫マシン好きだったことが判明したのだけれど、全然そんな素振りなどなかったし、観覧車がダメだって話を聞かされていたから完全に勘違いしていて、ジェットコースターに乗るなんて思っていなかった。
【乗車から30秒】
かなりの高所恐怖症だけど彼女には絶叫マシンが得意と強がって乗ってしまって、ここら辺のジェットコースターで一番高さがあるジェットコースターに乗っているけど、ここで目を瞑ってはカッコ悪いから平然を装って目を開けているしかない。
【乗車から50秒】
恐怖を楽しんでいる風に見せようと思い付き、恐怖を噛み締めている感じですごく落ち着いている風に目を瞑り、そして耐えて、震えが出てしまったときは、その震えをノリノリのように見せかけて乗り切ろうとした。
【乗車から70秒】
初デートでテンションが上がりすぎているからなのか彼女は、なぜか自分だけではなく、安全バーを掴んでいる僕の手までも無理矢理引き離して、一緒に万歳をさせてきた。
【乗車から90秒】
このジェットコースターは途中で写真を撮ってくれるサービスがあって、もうすぐ写真撮られるよと彼女が言っていたが、直前で目を開けると、前の人は完全に気絶してしまっているし、彼女には楽しくないのに特殊なピースを強要されるしかなりツラかった。
【乗車から120秒】
地上を同じスピードで走られても全然平気だがこれは怖くて、写真ゾーンが終わった後の一回転の直前では目を瞑っていたので下は見ていなかったが、下を見なければこっちのものだと思って横をチラッと見ると、彼女がめっちゃ下を見ていてゾクッとなった。
【乗車から150秒】
カッコ悪いところを見せないことは絶対に譲れないので、これからは高いところが好きかを一番に聞くべきだと思ったが、彼女がジェットコースターは大好きなのに観覧車が苦手な理由がよく分からなすぎて何だか怖くて、彼女のこの性格なら表彰台や役職や資格も一番高いところが好きなんだろうなとかも思ってしまった。