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(ドキュメンタリー番組)合法ドラッグ『ハッピーパウダー』の闇に迫る!

作者:

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・ 名称等は架空であり、実在の亀◯製菓やハッピー◯ーンとは関係ありません。

ここは東京の某所にあるパチンコ屋店内。昼間の人が少ない時間であるが若い女性がパチンコ屋内に入っていく様子が映し出される。


そのまま、パチンコ屋の外から女性の挙動を隠し撮りする。


女性は端の方の台に座った中年の男に話しかけている様子。映像中では、男性がカバンから取り出した何かを女性が取り、お金を渡す所がバッチリ映っている。



カメラはそのままパチンコ屋から出てきた若い女性を追い、その場で話を聞く。



質問「先ほど男性から何かを購入していたようですが、何を買いましたか?」


女性「あ、これ?これハッピーパウダー。舐めると凄く美味しいの」


質問「それハッピーリターンっていうお菓子のパウダー部分ですよね。何故そんなものを購入しているのですか?」


女性「痩せるから。お菓子のやつ食べすぎると太るけど、粉だけ買えばいいよって教えてもらったの」


質問「ハッピーパウダーを摂取しすぎると健康被害が出るって知ってましたか?」


女性「え〜、そんなの出ないでしょ。最近、パウダー食べる量が増えちゃったかなとは思うけど」



テロップ【合法ドラッグ『ハッピーパウダー』の闇に迫る!】


ナレーション「現在、若い人の間で徐々に広まっている合法ドラッグ「ハッピーパウダー」。今回はその問題について明らかにする」


司会(男性)「はい、ということで今回のテーマは『ハッピーパウダー』です。ゲストとして薬物依存に関する専門家、東京猪鹿大の蝶野准教授にお越しいただきました」

蝶野「よろしくお願いします」


司会(男性)「吉原さんは『ハッピーパウダー』って知ってましたか?」

司会(女性)「いいえ、知らなかったです」

司会(男性)「ではこのお菓子『ハッピーリターン』は?」


司会(男性)は台の下からカゴに入ったお菓子を取り出す。


司会(女性)「あ、知ってます。よく楽屋とかに置いてあります。私もよく食べてます」

司会(男性)「皆さんご存知のこの『ハッピーリターン』に振りかけられている粉が『ハッピーパウダー』です」


〜商品『ハッピーリターン』の紹介が流れる〜


司会(男性)「先ほどのVTRでもありましが、現在この粉部分『ハッピーパウダー』が若者の間で密かに広がっています?」

司会(女性)「確かに、この『ハッピーパウダー』凄く美味しいので、粉だけ食べたいという気持ちも分かりますね」


司会(男性)「でも、この『ハッピーパウダー』の過剰摂取に危険があるということですよね、蝶野先生」

蝶野「はい。『ハッピーパウダー』ですが、あまじょっぱい味が病みつきになる美味しさなんです。でもこれは〜」


〜しばらく味覚や依存症の話が続く〜


蝶野(グラフが描かれたフリップを持っている)「そこでエスカーレートして過剰摂取してしまうと。摂取栄養バランスが崩れ、口内炎になるだけでなく、塩分過多による高血圧やそこから起こる合併症など、恐ろしい健康被害が起こるのです」



司会(男性)「恐ろしいですね。すぐに症状が出ないため、過剰摂取に気が付きにくいというのも問題です」


司会(男性)「さて、このような問題を持つ『ハッピーパウダー』ですが、公式に販売されているものではないのです」

司会(女性)「冒頭のVTRでも、普通のおじさんみたいな人から買ってましたね」


司会(男性)「では、このパウダーだけの状態がどのように作られているかVTRを見て貰いましょう」


〜椅子に座った若い男、顔にはモザイクがかかっている〜


男「『ハッピーリターン』からパウダー部分だけを取り出す仕事をしてました」


ボイスチェンジャーで甲高い声になった状態で男がしゃべっている。


男「貧乏学生でとにかくお金がなくて、先輩から割のいいアルバイトがあるって紹介されて」


〜再現VTR〜

クーラーもないような6畳一間のアパートに集められた男達がちゃぶ台に集まって何か作業をしている。


玄関が開き中年の男が段ボール箱を部屋に運び込む。


男「アルバイト達を統括する班長みたいな人がいて、その人が段ボールに入った『ハッピーリターン』を持ってくるんですよ」


男「そんで、僕らは『ハッピーリターン』を一つずつ取り出して、おかきについたパウダー部分をハケで集めるんです。」



ナレーション「最初に柔らかいハケで落としたパウダーは1級品、次に固めのハケで落としたパウダーは2級品として収集されます。1級品は500mgの粉末がだいたい5000円、2級品は1000円くらいで販売されるという」


画面にパウダー種類と単価が表示される。その後、作業する男達の映像に戻る。


男「クーラーもないし、粉が飛ぶので扇風機もダメ。環境としては地獄でしたよ。でも、バイト代はいいし、余ったおかきは自由に食べていいことになってたんで、これで食費がだいぶ助かりました」


男「でもこの仕事、ヤクザがやってるらしいんですよ。新しいビジネス?資金源ってやつ?」


男「別の班ですが、パウダーに手を出したバイトのブラジル人が東京湾に沈められたって、班長から聞いたことがあります」


男「あと、おれらが作ってたパウダーは天然ものって呼ばれてて、醤油や味醂でパウダーを自作する合成もんの研究もやってるけど、うまくいってないって言ってましたね」



〜画面がスタジオに戻る〜


司会(男性)「はい。ヤクザの資金源にもなっているらしいということで、恐ろしい話ですね」

司会(女性)「怖いですね〜」

司会(男性)「まだ少ないですが、売人と呼ばれるパウダーを売る人と購入者の間でトラブルに発展したという話もあるそうです」


司会(男性)「先ほども少し出てきましたが、この『ハッピーパウダー』を作る方法ですが、製造元の亀山製菓では最重要極秘事項として取り扱われているそうです」

司会(女性)「レシピは公開されてないのですか?」


亀山製菓の組織図が描かれたフリップを取り出す男性司会者。


司会(男性)「亀山製菓ではこの代表取締役会長と社長、それから研究所の所長しかレシピを知らないという噂があります」

司会(女性)「お菓子を作ってる工場の人も知らないのですか?」

司会(男性)「はい。パウダーの原液は全て研究所から持ち込まれるということらしいです」

司会(女性)「徹底してますね」

司会(男性)「番組では原液輸送の映像を撮影することに成功しました。VTRをご覧ください」


〜山道の途中にある建物の様子が望遠で撮影された映像が流れる〜


アナウンサー「随分高い塀で囲まれています。あの建物が亀山製菓の研究所ということです」


茂みの間から更にズームされる映像。門の向こう、入り口に現金輸送車のようなトラックが停まっている。


アナウンサー「何か大きな缶のようなものが運び込まれてますよ。研究所の敷地内ですが随分と厳重な警備がされています」


アナウンサー「もしあの缶の中身が全て『ハッピーパウダー』の原液だとすると、末端価格で数億にもなるパウダーが作れるでしょう。警備が厳重になるのも分かりますね」


そこで、映像が少しズームアウトした。

映像には門の前に立った二人の警備員がカメラのほうを指差しながら何やら話しているような様子が映っている。


アナウンサー「やばい!見つかった!逃げるぞ」


ここで、カメラが激しく揺れ、草をかき分けるような音が入った直後に映像が途切れた。


〜画面がスタジオに戻る〜


司会(男性)「凄い映像が撮れてましたね」

司会(女性)「ええ、厳重な警備の様子がよく分かりました」

司会(男性)「暴力団などから狙われているみたいですから、あのような警備体制なんでしょうね」



〜パウダーの製法などの雑談〜



司会(男性)「はい、今回のドキュメンタリー『ハッピーパウダー』の闇に迫る!でしたが、どうでしたか?」

司会(女性)「全然知りませんでしたが、私たちの身近にこんな怖い世界があるんだなって感じました」

司会(男性)「どうです?蝶野先生」

蝶野「はい。美味しいからってパウダーに安易に手を出すと取り返しのつかないことになります。『ハッピーパウダー』はお菓子の状態で楽しむように。くれぐれもご注意ください」


司会(男性)「こうしたパウダーの取引きは、皆さんの生活のすぐ近くに存在しています。ふとした好奇心でパウダーに手を出してしまわないように」



司会(男性)「それでは、さようなら」


〜スタジオの少し引いた映像と共に番組名のロゴと「終わり」という文字が出る〜


オチなし...

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