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助けるから。

作者:九夏
 僕は才能が無い。
 昔から、僕は中途半端だった。

 優れすぎていたら、きっと優れている者の苦悩を知ることができたんだろうけれど、僕はそれが出来なかった。
 だって、僕は優れていなかったから。

 劣りすぎていたら、きっと劣っている者の苦悩を知ることができたんだろうけれど、僕はそれが出来なかった。
 だって、僕は劣っていなかったから。

 せめて、何かになりすぎたかった。特別でいたかった。一度でいい。学校で、呼び出されてみたかった。叱られる、だとか、心配される、だとか、そういう特別を味わってみたかった。もっと言うなら、構ってほしかった。

 せめて、理想像を押し付けてほしかった。悩みたかった。一度でいい。家で、一人で泣いてみたかった。期待される、だとか、嫉妬される、だとか、そういう理不尽を味わってみたかった。もっと言うなら、見てほしかった。

 でも、僕は中途半端だった。勉強も運動も、何もかもが中途半端。性格だって尖りすぎていたわけでも、従順なわけでもなくて、真面目すぎても、不真面目すぎてもなかった。

 そんな僕には才能が無い。君を守る力なんてあるはずがない。誰かのために何かをするほどの力なんて僕にはないんだ。そんな資格は無いんだ。
 けれども僕は昔からヒーローにあこがれていた。
 自分が傷ついても大切なものを守れるヒーローにあこがれていた。
 だから、君が僕を頼ると癒された。誰かに頼られ、人に奉仕することで自分の存在意義を証明している気になった。誰かに認められた、だなんて思い上がっていた。
 けれど、知ってる。
 僕は何も救えていない。
 僕があこがれた、孤独な先生のように僕はなれない。
 経験が無くて、思考が無くて、才能も無い。なのにいつも思い上がって、頼れ、頼れと言う。信頼を強要する。そのせいで平気で人を傷つける、
 特に君とはそれが顕著だった。
 君に頼られることがどんなことよりも嬉しくて、君に必要とされることが、特別扱いされることが狂いそうなほどに嬉しかった。
 依存だ。完全な、依存。
 君を救えていないのに、依存して、頼ってもらっていたのだ。

 もうそれはやめる。
 これまで負け続けてきた人生だ。
 優秀さでも負け。
 劣等さでも負け。
 問題児さでも負け。
 優良児さでも負け。
 孤独さでも負け。
 顔の広さでも負け。
 身勝手さでさえ、おそらく世界の何処かの人に負けている。

 でも、一勝くらいはしてやる。
 もがいて、苦しんで、泣き喚いても一勝。たった一勝。
 君を救うことで一勝する。
 君を、君の世界から救う。家からも、学校からも、社会からも、理想像からも君を攫ってみせる。
 君だけのヒーローになるために、力をつける。
 いつか、がいつなのかは約束できない。
 でも、望むなら今でもいい。君が望むなら今すぐにでも君を攫ってみせる。君が辛いと思ったとき、傍で寄り添うためになら、僕は罪だって背負う。

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