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幻界創世記  作者: 冬泉
第二章「仲間と呼ばれて」
17/50

STAGE02◆「仲間、と呼ばれて」-SCENE#6


葵を探す翔が見たものは・・・

■UNO学院/学部棟/高等部二年/2-A教室→屋上


 いつもは早く感じるリフトのスピードがもどかしかった。


“早く、自分の気持ちを先輩に伝えて、きちんと謝罪したい”


 そう思うと、居ても立ってもいられない気分だった。

 翔は、普段嫌になる程優柔不断な癖に、思い立つと待てないと言う、本当に厄介な性格をしていた。まぁ、おっとりとした見かけとは裏腹に、短気な性格が災いしているのだが。

 リフトが学部棟の13階に到着すると、翔は足早にリフトを降りて葵の教室に向かった。

 胸がどきどきする。話の帰趨きすうによっては、謝罪を受け入れて貰えないかもしれない。それだけ、愚かなことをしてしまったという自覚はあった。


“今、結果を気にしても仕方がないじゃないか”


 自分を励ますように言い聞かせる。そうこうしている内に、葵の教室に着いていた。丁度、教室から出てきた女生徒に、翔は話しかけてみた。


「失礼します。神和姫先輩いらっしゃいますか?」

「神和姫さん? さっき、一年生に呼び出にきて、出てったけど?」

「あの・・・、どちらに行かれたか、わかりますか?」

「ごめん、そこまでは判らないわ。でも、ついさっきだったわよ」

「そうですか・・・」


 丁寧にお礼を言うと、落胆したような翔を不思議そうに見ながら、女生徒は立ち去っていった。


“拍子抜けしたなぁ”


 溜息をつきながら、翔は思った。先程の高揚感の反動で、どうしても気持ちが暗くなる。先輩は何処に行ったんだろう──そう考えている内に、一カ所頭にひらめいた。


“屋上に行ってみよう”


 翔は脱兎とばかりに走り始めると、屋上への階段を駆け上った。はやる心を抑えながら、屋上へ出る重い鉄扉を開ける。


「居た・・・えっ!?」


 金網に背を預ける、いつもの葵の姿を見つけてほっとした直後──翔は、葵の隣で同様に金網に凭れている人物を見て吃驚した。だが、その驚きはそれだけに留まらなかった。その人物が葵に話しかけると、葵が笑みを浮かべたのだ。自分には向けられたこともない笑み──驚きのあまり、翔は扉を開けたまま固まっていた。


「彰・・・? どうして、ここにいるんだよ・・・?」


☆☆ SCENE#7に続く ☆☆

 さて、葵に謝ろうとした翔にまたも障害が現れました。誤解をたっぷりと招きそうな、厄介な状況が待っています。翔が、これまで覚えた事を冷静に、理性的に行動に移せば良し──そうでなければ、新たな難問を背負い込むことになりそうです。ここが踏ん張り時ですが、果たして翔はどうするでしょうか? それは次回に、また(笑)。

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