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幻界創世記  作者: 冬泉
第二章「仲間と呼ばれて」
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STAGE02◆「仲間、と呼ばれて」-SCENE#5


翔の名を知る人物は一体誰なんだろうか・・・

■UNO学院/学部棟/エントランス・ホール


 自分の行動の帰趨に逡巡していた翔は、亜里沙に背中を押されて漸く行動に移った。こんな重大なことなのに、自分ではうじうじ悩んでいるだけで決め切れ無くって──と情けない気持ちが心の大部分を浸食してはいたが、今は何よりも、葵と逢って心を込めて謝罪することが優先だった。


“つまらないプライドなんて・・・”


 ・・・捨ててやるさ──と勇ましく思ったものの、捨てられるかなぁとすぐに考え直す辺りは、如何にも翔らしかったが。


 葵の教室は、学部棟の13階にある。UNO学院では、体育祭と文化祭の総合点で次の年の教室の割り当てが決まる方式だ。葵のクラスは一年目の得点が総合二位だったので、こうして二年目の一年間は見晴らしの良い教室を確保しているのだった。

 因みに余談だが、この制度は二・三年だけのもので、まだ何の経験も積んでいない一年の場合、使う教室は抽選で決められる。


『ポーン』


 翔がエントランス・ホールに入ってきた時、ちょうどリフトが到着した所だった。急いでリフトに乗ろうとした翔は、リフトから出来た男子学生と、うっかり接触した。


「あ、どうも済みません、ちょっと急いでいるもので!」

「構わないよ、三奈瀬翔君」

「えっ?」


 唐突に自分の名前を呼ばれて、翔は驚いた。

 思わず胸章を確認しようとすると、相手が先に笑みを浮かべて言った。


「二年の琉央るおうと言う」


 宜しく頼むよ、と言われて差し出された右手を、翔は思わず握っていた。思いの外、冷たい手だった。


「あの??」

「急ぐんだろう? 早く行きたまえ。それではごきげんよう、三奈瀬翔君」


 先輩、何で僕のことを知っているのですか、という言葉は未然に相手によって封じられてしまった。唖然とする翔をその場に残し、琉央と名乗った二年生は、静かにエントランスホールから立ち去っていった。


「何だったんだろう、一体?」

『ゴリヨウカイスウヲオシラセクダサイ』

「あ、13階、お願いします。」

『リョウカイシマシタ』


 閉まるリフトの扉を見ながら、翔は妙に印象に残る先程の薄い笑みを思い浮べていた。


☆☆ SCENE#6に続く ☆☆

 長らくお待たせ致しました。私事より復帰致しましたので、予告致しました通り更新致します。新しい登場人物が出てきた為、翔が葵と話すのが次話にずれ込みます。次話ご期待。

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