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幻界創世記  作者: 冬泉
第二章「仲間と呼ばれて」
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STAGE02◆「仲間、と呼ばれて」-SCENE#4


背中を押して貰った翔は行動する・・・

■UNO学院/学部棟/エントランス・ホール→ガルテン


 振り返った翔に、意外な人が笑いかけていた。下校の途中なのだろう──鞄を持ってそこに佇んでいたのは葵のクラスメート、高国亜里沙たかくに ありさだった。


「三奈瀬翔クンでしょ、キミ?」

「はい、でもどうして僕の名前を・・・」

「この間、葵を尋ねてきたでしょ? 教室に。」

「あぁ・・・あの時の先輩、ですね?」

「あら。忘れてられてたの。そんなに印象薄いんだ、ショックだわ〜」

「い、いえ、そんなことは有りません!」

「ふふふ、まぁいいんだけど」


 気にしなくてもいないわよ、とでも言うように、亜里沙は明るく笑って見せた。


「ところで、少年。何を黄昏れてたの? 良かったら、アタシに話してみる? それとも・・・」


 余計なお節介だったかな、と言う亜里沙の表情に優しさを感じて、翔は思い切って相談してみることにした。


「こんなとこでも何だから、ガルテンにでも行きましょ」


 翔と亜里沙は連れだって、出口とは反対側のゲートを抜けて中庭にでた。

 そこは、幾何学的に生け垣が剪定されて迷路のようになっている、広い敷地の公園になっていた。所々にベンチがおいてあるその公園を、生徒達は“ガルテン”(Garten)と呼んでいた。

 そんな生け垣の迷路の中のベンチに腰掛けると、翔は一つ溜息をついてはなし始めた。


「僕が、神和姫先輩に馬鹿なことを口走って、先輩を凄く怒らせてしまったみたいなのです」

「どういうこと?」

「僕は、この間から神和姫先輩にADnDというRPGのシステムを教えて貰っています。先輩は、その経緯をご存じですか?」

「多少はね」

「判りました。僕は、神和姫先輩に一つの課題を貰いました。ADnDを教えて貰えるのは、その課題を一週間で解くことが条件でした。しかし、僕は課題を期限までに終えることが出来ませんでした。期限の日に、そのことを正直に神和姫先輩に申し上げました。“全力で努力しましたが、及びませんでした”って。」

「それでも、葵はキミに教えることをオッケイしたのでしょう?」

「・・・そうですけど、どうしてそれを?」

「簡単なことだわ。そこに、解決の糸口があるからよ」


 翔をして吃驚させたその人は、口元に笑みを浮かべて続けた。


「自分がそう思ってしまったことについて、良い悪いってコメントは出来ないけど、前回は全面的に従った葵の判断に、今回キミは口を挟んだ──それって、葵の判断が自分の利にならなければ受け入れません、全く信用してません〜、って言ってることに等しいでしょ? それはダメージ大きいわね。」

「あっ・・・」


 翔の表情に理解の色が広がっていく。


「確かに、そう・・・ですね。あの時は、素直に納得したのに、今回は自分のこの感情が旨く抑えられずに、神和姫先輩に未消化のままぶつけてしまった・・・」

「自分の行動を悔やんでる?」

「はい、なんてコトをしたのかとも・・・。でも、どう謝れば良いのか、どう謝ったら許して貰えるのか、見当も付かないのです」

「難しく考えすぎじゃない?」

「え?」

「キミのその考え。相手の反応を予想して何を謝るかって考えている。打算とは言わないけど、それじゃ許せることも許せなくなるよ。心から謝罪して、自分が間違っていたと思ったその想いを、きちんと相手に伝えれば良いじゃない?」

「間違ってたと思った、その想い?」

「そう、想い。それを、はっきりと相手に伝えてごらんよ」


 諭すように、ゆっくりと優しく亜里砂は言った。何かを掴みかけたのか、翔は亜里沙の言葉に二三度頷いていた。


「それじゃ、頑張ってみなよ。葵はさっきまで教室にいたからね」

「はい。やってみます」


 きっぱりと言い切った翔に、亜里沙は優しく笑いかけた。


☆☆ SCENE#5に続く ☆☆

 何時もお読み頂き、大変有り難うございます。次の更新ですが、公事にて時間が取れない為、7月28日となります。お待ち頂いている方々には申し訳ありませんが、宜しくご了解頂き度お願い申しあげます。

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