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幻界創世記  作者: 冬泉
第二章「仲間と呼ばれて」
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STAGE02◆「仲間、と呼ばれて」-SCENE#1

彰の無謀な企てに、翔は・・・

■UNO学院/学部棟/高等部一年/1-A教室


「おい、翔。翔ってばよっ!」


 何度目にかの呼び掛けに漸く顔を上げてみると、そこにはあまりご機嫌の宜しくなさそうな親友の顔があった。


「ん? どうしたんだい、彰?」

「どうしたもこうしたもないぜ! さっきから、セントラル・スクェアに新しくできたアミューズメント・ゲームコーナーに行こうって誘ってるだろ?」


 無視しないでくれよなぁ、と彰はぶつくさぼやいた。


「悪いね。今日はちょっと予定があるんだ」


 ・・・だから付き合えないよ、と続けようとする翔の言葉を彰は憤然と遮った。


「そのセリフ、昨日も聞いたぜ」

「そうかい?」

「一昨日もだ」

「そうなんだ」

「一昨々日もだ! 翔、ここんとこ、ものごっつー付き合い悪いぜ!」


 どうしちゃったんだよぉ、オレのこともう飽きちまったのかぁ、と端から聞くと誤解を招きそうな事を言いながら彰は机に突っ伏した。


「う〜ん・・・」


 言うべきか、言わないべきか──翔は逡巡した。

 葵との話が持ち直したのも、彰の励ましに寄るところが大きかったりするのだが、有りの儘に事実を話した時、必要以上に騒がれるのも嬉しくない。


「仕方がないなぁ・・・」


 色々な要素を天秤に掛けて量った後、優柔不断な翔は大きな溜息を付く。


「神和姫先輩との話なんだけどね・・・」

「おぉ、例の小難しい英語の本だろ?」

「そう。あの話、あのまま続けることになったんだ」

「え? それって・・・?」

「うん。課題はまだ続いているんだ」


 目をぱちくりした彰は、翔の話す状況の理解に多少時間が掛かった。

 そして、ぱっと理解の光が茶色の目に宿ると。


「それって──翔、お前まだ神和姫先輩と付き合ってるのかっ!」

「付き合うって、ADnDを教えて貰ってるんだよ。彰の邪推してるような関係じゃないってば」

「ちくしょ〜っ! オレの知らないところで一人だけ良い思いしやがってっ!」


 がばっと翔の両肩を掴むと、彰はガクガクと揺さぶった。


「ち、ちょっと、彰っ! や、止めてくれよ」

「何言ってるんだ、この幸せ者め! その幸せをオレにも分けろっ!」

「だ、だから、誤解だって、あ、彰・・・」


 翔がいい加減揺すぶり尽くされた後、漸く彰の暴走が止まった。いや、いじけて現実逃避に走っただけかも知れないが。


「・・・彰。聞いてくれよ。彰に励まされてね、精一杯の気持ちで神和姫先輩にぶつかってみたんだ。課題は果たせなかったけど、精一杯頑張ってみたんだってね。そうしたら、先輩がまたマニュアルを渡してくれたんだよ」

「ちぇ。なんか、余計なことしちまったって感じるよ」

「そう言うなよ、彰」


 ふて腐れた様な物言いに、翔の口元に苦笑が浮かぶ。


「で? 新しい課題でも貰ったのかい?」

「それが・・・はっきりしないんだ。“諦めるか、諦めないか”って先輩に聞かれて、“諦めたくない”って応えたら、このマニュアルを戻してくれた」


 パチンと鞄の留め金を開けると、中からハードカバーの英文マニュアルを取り出す。


「でも、何時までとか、何をどうしろとは言われなかった」

「へぇ、そうなんだ」

「自分なりに読み続けてはいるけど・・・」


 彰は、パラパラとマニュアルをめくった。ぎっちりと書かれた英文──横文字が苦手な彰には、見ているだけで目眩がしてくる感じがする。好きこのんで、こんなモン読む奴の気が知れなかった。


“でも、待てよ”


 彰は思い直してみた。これに関われば、合法的にあの麗しの神和姫先輩との接点になるじゃないか? それって、掛けた労力に見合う報酬じゃないか? 彰は、忙しく卓上打算機を叩いてみた。


“へっ、物事はいつもハイリスク・ハイリターンだぜ”


 事が事だけに、ハイリスク・ノーリターンになるかもしれない可能性を脳裏からあっさりと追い払って、彰は決心した。

 マニュアルをぱたんと閉じると机の上に戻す。


「一人じゃしんどいよな、これって」

「そうだね。読むペースは、慣れのせいか多少は上がっているけど、まだ読み終わるのは遙か先だよ」

「・・・だったらさ、オレも協力してやろうか?」

「そうだね、それも良いかも・・・って、えぇ?」


 仰け反る翔。


「彰っ! これは英文だよ? 彰とは不倶戴天の天敵、あの神田先生が教える英語なんだよ? 正気かい?!」


 不敵に笑って片手で鼻の下をこすると、彰は大きく頷いた。


「正気も正気、大正気だぜ。異論は無いよな、翔?」

「あ、あぁ。異論は特にないけど・・・」

「そうと決まれば、神和姫先輩の所に行こうぜ! オレも参加する許可を貰わないとな!」


 白い歯をキラリンと光らせて笑う彰は、翔を引っ張って教室を出た。

 一抹の不安を覚えながらも、状況に押し流されていく翔であった。


☆☆ SCENE#2に続く ☆☆

 さて、よこしまな野望を胸に(笑)も彰が英文マニュアル読破会(?)に加わりました。はたして、何処まで付いていけるのやら(笑)。それは、今後の展開で明らかになっていきます。

 また、STAGE02から更新速度が多少遅くなります。余りお待たせしない様に頑張りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

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