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7日目のエピローグ

「……やっぱり暇だ」


俺は現実に帰った翌日の、

高校の昼休みの時間で既に暇を持て余していた。


あの異世界での6日間、現実では6時間の出来事だったが、

両親はゲーム中に寝落ちしたものと思い込んで、大した騒ぎにはならなかった。


今朝ナミの父親から電話があり、バグの件についてもの凄い勢いで謝られたが、

俺はあの体験を思い出すとどうしても責める気にはなれなかったので、

またテストプレイヤーでもやりますよ、と言うと、

ナミの父は感動してあのVR世界についてまくしたてるように話をしてきた。


それで危うく遅刻しそうになったものの、

俺はこうして普通に学校に登校し、

またなんでもない日常が始まってしまうことをひしひしと感じていた。


授業の疲れから机に突っ伏していると、前の方から足音がする。

ナミか……?と思って顔を上げると、そこにいたのは意外な人物だった。


クラスのアイドル、佐賀サユ。

制服を着た金髪の妖精が、そこにいた。


「あなたがセナくん?」

「あ、ああ……そうだけど」


俺は思わずいきなり姿勢を正す、周りの男子の目線が痛い。

いたずらっぽくはにかんだサユの様子は、異世界のサユと重なった。


「なんか昨日夢に出てきちゃって……」

「な、なにが?」

「セナくんが」


しどろもどろにへえ~と答えるしかなかった。

まさか異世界にいたのは本物のサユさん?いやそんなはずはない、

あれは仮想現実ゲームでの話だった。


「変なこと言ってごめんね、でもなんか話したくなっちゃって」

「俺と?」

「うん、その夢ではね、セナくんが助けてくれたの、

クラスメートだけど話してなかったし、一緒にお昼食べようよ」


高値の花のサユさんからお誘いがあっただけで、俺は昇天してしまいそうになったが、

同時にこの空気をなんとかしてくれと前の席のナミに助けを求めた。


茶髪ショートのナミは振り向き、

親指を立てて手を突き出す「グー」のポーズを取った。

違う、そうじゃない、のサインを送ると、近づいてきて。


「私も一緒に食べま~す!サユちゃん、よろしくね!」

「ナミさんはじゃあこっちに座って」


勝手に俺は自分の席で女子の弁当が繰り広げられているんだが。

これはなんの仮想現実ギャルゲーだろうか。


自体はさらに悪くなっていく。

クラスのドアが開き、そこにいたのは黒髪ロングの、制服を装備した我が妹だった。


「ナミさん、覚えてろって昨日宣告したよね?」


そんなことを言いながら俺の席まで歩いてくると、

セリカはサユがいるのに驚き、


「サユさ…先輩、なんでお兄ちゃんの席に?」


信じられない、という顔で固まる妹に、

サユはいたずらっぽい表情で、こう言い放つ。


「セリカちゃんこそ、ナミさんに用事があるのに、

弁当を持ってきてるのはおかしいと思うんですけど?」


なんなんだろうかこの状況は。

俺は妹と幼馴染とアイドルに、あの世界と同じように囲まれ、

しかもその距離は近く、食べ物が喉を通らない。


「へぇ~、ナミさんのお父さんってゲームクリエイターなんだ」

「そうなんだよ~、サークルエンタープライズっていう会社の開発者!」

「まあそのせいであたしとお兄ちゃんは散々な目に逢ったわけだけど…」


サユとナミとセリカは、かしましくおしゃべりを続けていた。

"記憶共有疑似フィールドシステム"によって生み出されたあの世界のことは、

守秘義務とかで、一般人ではまだ俺たち兄妹と、ナミしか知らないのだ。


俺は異世界で会った薬士サユのことを思い出しながら、

楽しそうに話している女子たちを見ると、

現実も異世界も、いい所って探せばあるのかもしれないな、

とそんなことを考えていた。


「俺は弁当を味わうのが好きなの!

お前らもうちょっとゆっくりさせて!」

「は?なに言ってんの毎日来るから」

「セナ君の幼馴染の私のほうが優先権高いですよ~」

「それなら妹のあたしはもっと優先度高いんじゃない?」」


周りから見ればモテていると映っているのだろうが、

巻き込まれた本人はたまったものじゃない。

たまったものじゃないのに……なんだか楽しかった。


現実でたった一日の、ゲーム内では一週間にも満たない、

俺たちの小さな冒険だったが、少しみんなとの距離は縮まったようだ。


ナミが語っていたナミ父の言葉を思い出す。

ゲーム業界の革新。

あのVRMMOには問題が多かったが、

その大きな目標を実行するだけの力が、あのゲームにはある気がした。


俺は、仲が深まった目の前の3人の女の子に異世界の思い出を重ねながら、

人と人とが繋がり合えば、ゲームには無限の可能性があるのかもしれない、

そんな気持ちで、会話に参加するのだった。


異世界と現実、それを繋ぐゲーム。

きっといつか、素敵な世界を誰もが創り出せるようになりますように。

読了ありがとうございます、ここまで読んでくださった方に感謝。

この小説は、とりとめもなく書き始めた趣味の小説でした。

ゲームが好きな平凡な少年が、異世界に旅立つ、初めにあったのはそんな設定ぐらいでした。

それでも、書いていくうちに面白くなり、いつの間にか完結を迎えることができました。


それは、色々な方の応援や、

小説家になろうのシステムである評価システムや、

PV数が分かるシステムによるものが大きかったと思います。

誰かが読んでくれている、面白いと思ってくれるか分からないけど、

ただ読んでくれているだけでも作者にとって力になるのです。


つまり、この小説を完結できたのは皆様のおかげです。

3万字程度の短い短編ですが、皆様が少しでも面白かったなと思ってくだされば、

これに勝る喜びはないと思っております。


駄文、失礼しました。

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