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5日目中盤

俺こと妹尾セナ、セリカ、長野ナミのパーティに、

佐賀サユという薬士の回復魔法使いが加わったことにより、

俺たちは最後の目標である鉄巨人戦への準備をすることに決めた。


まずは武器屋へと赴き、装備の新調をすることに決めた……のだが


「武器、高かったな……」

「あのハゲ親父、絶対ふっかけてきてるわ!」


怒りが収まらないという様子の妹、

武器屋では、値段設定を間違えたかのような高価な値段が、

陳列されていた装備につけられていたのだ。


武器屋の前で、俺は愚痴をこぼす。


「結局新調できたのは、前のバイトの収入を使っても、

鋼の剣一本か……」


スチールソード、鉄を加工した鋼という材料で作ったという剣だ。

確かに鉄よりは硬いだろうが、とてもこれで鉄の巨人に致命傷を与えられるとは思えない。


「命を守る武器なんですから、高いのは当然ですよ」


いたずらっぽい笑みでふふん、と鼻を鳴らすサユ。

お前も一緒に行くんだぞ、分かってるのか。


「それにしても、なんでこんなマゾゲーみたいな値段なんだ、

この世界作ったの誰だよ……」

「えっとね、ディスクを起動する人の記憶が色濃く影響されるみたい」

「申し訳ありませんでした」


ナミがズバリと理由を述べる。

俺のせいじゃねぇか。女子たちに直角で頭を下げた。

難易度が高いゲームって、燃えるじゃん……?

するとセリカはため息をつき、今後の行動を思い出させるかのように話す。


「そんなことより、サユさんの家賃のこともあるし、

酒場に確認しに行くわよ」


酒場につくと、店主はカウンターの向こうで皿を磨いていた。

こちらに気づくと、一瞬また来やがったという顔をしたが、

女子3人に気づくと晴れやかな笑顔で迎えてくれた。


「よう、お前さんたち、今日は大所帯だな」

「ちょっと事情があってな、ところで、鉄の大きなモンスターの依頼は来てないのか?」


俺がそう聞くと、親父は一瞬戸惑ったが、素直に答えてくれ、

依頼の羊皮紙を見せてくれた。


「確かに依頼はあるが、どう見てもお前たち駆け出しだろう、

命は落とすもんじゃない」


そう忠告してくれた店主は、意外といいやつなのかもしれなかったが、

セリカたちの説得であっさりとOKをしたので、やはりスケベなおっさんだ。


「この依頼いくらなの?」


セリカがそう尋ねると、


「こいつは危険なモンスターだから、10万Gだな」

「10万G、それがあればサユさんも十分かな?」

「それだけあれば家賃が返せるんですけど!」


と、桁が違う数字を提示されて、サユは喜んでいた。


「けっこう楽にクリアできそうだね~!」


ナミが無邪気にそんなことを言ったが、

俺は依頼の紙に書かれている危険度・Aの表示を見て、

嫌な予感しかしないな、と考えていたのだった……


酒場で鉄巨人の場所の地図を貰った俺たちは、

まずは宿屋で作戦を練ることにした。


宿屋に帰ると、おばちゃんはお昼を用意してくれていて、

温かいスープや硬めの酸味のあるパン、チキンのような肉料理を頂いた。


部屋に帰ると、俺たちは円になってお互いが見える位置に座り込む。


「さて、これで俺たちはいよいよ鉄巨人討伐に向かうわけだが……

まずは作戦会議といこうと思う」

「え~、すぐに行こうよ~帰ろうよ~」


そう不平を漏らすナミを制止し、俺はセリカとサユに向き直る。


「この世界は皆の記憶でできているわけだが、

鉄巨人は俺の過去のゲームの記憶から生まれたボスである可能性が高い」


記憶?ボス?と、サユはよく分からないようだったが、

それはとりあえず置いておく。


「つまり、弱点も俺の記憶にあるということ!」


おおー、と女子3人から歓声が上がる、セリカも珍しく感心してくれたようだ。


「じゃあお兄ちゃん、弱点さえわかれば楽勝じゃない!」

「やった~!元の世界に帰ったも同然だよ!」

「まあサユがいれば楽勝ですけど!」


俺は、やっと解放されるという安心感から騒ぐ二人と、

よく分かってはいないが楽勝だぜ!

といった雰囲気の知り合ったばかりの同級生に告げなければならなかった。


「それでセナ君、その弱点とはつまりなんだね!」


びしぃっと俺を指すナミに、俺は嫌な汗をかきながら。


「それが……思い出せない」


一瞬水を打ったように静まり返る3人の女子、

やがて俺への冷たい視線を向け始めた。

こんなに嬉しくないジト目があっただろうか。


「セ、セナ君、嘘だよね!?」

「いや、待て、喉まで出かかってるんだ」

「じゃあ早く出しなさいよ!」


すがりつくナミ、つかみかかろうとするセリカに、

俺は慌てながら弁明した。


「多分鉄巨人が出ていたのは昔のゲームだったと思うんだが、

その弱点までは……」


でも、思い出せないものはしかたないじゃん。

人間忘れるものだし、いくら好きなゲームでも、詳細な敵の弱点を全て熟知しているわけではない。


するとサユは、珍しく黙っていた口を開いた。


「記憶を蘇らせる薬なら、うちで扱ってますよ……」


その目は怪しく光っていた。

見た目は妖精のように可憐だと思っていたが、やはりこいつは小悪魔だ。

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