表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
口笛の鳴る方へ ~盲目の僕は、音の反響(エコー)で異世界を視る~  作者: あとりえむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/26

第十八話:万象の残響碑

(……足元の、はるか深淵から響いたあの鐘の音が、

今度は、幾重にも重なり合う「和音」となって、

僕たちが身を預けていた沈黙を突き上げてくる!)


ただの地鳴りじゃない。

巨大な楽器の内部に放り込まれたような、

圧倒的で、それでいて至福に満ちた「音の柱」が、

足元から頭上へと突き抜けていく感覚だ。


――石碑の起動共鳴:

地の底から「ゴォォォォン」という重厚な旋律がせり上がり、

周囲の空気が物理的な厚みを持って震え始める、神聖な振動。


――羽ばたきの合唱:

音の柱に引き寄せられるように、

無数の「チチチ、リリリ」という微細な羽ばたきが集まり、

僕たちの周囲を高速で旋回する、賑やかな残響。


――彼女の歓喜の鳴動:

驚きに息を呑む彼女の隣で、

彼女の装備が音の波に共振し、

「チリン、チリン」と、まるで笑い声を上げているような高い響き。


(……すごい!

何かが、僕の周りで祝福の合奏を始めている。

この小さな羽音の主たちは、僕の鼓動に合わせて歌っているのか?)


僕はたまらず、彼らのリズムに誘われて、

これまでにないほど高く、伸びやかな口笛を解き放った。


フィィィィィィィ――――ッ!!


僕の音が空気に触れた瞬間、

周囲を回っていた「羽ばたきの音」が一斉に弾けた。


――祝福の破裂音:

「パチン、パリン!」と、

無数の小さな粒が空中で爆ぜるような、

清涼感に満ちた、耳をくすぐる連続した音響。


(……わあ!? 音が、僕の全身を優しく叩いている!

まるで見えない指先で「ありがとう」と囁かれているみたいだ。

体が、どんどん軽くなっていく……)


音の精霊たちが奏でる祝福の渦は、

僕たちの体をふわりと持ち上げ、

そのまま次の目的地へと運ぶ「音の道」を作り出した。


――旋律による転移:

すべての音が一つに溶け合い、

「シュゥゥゥン!」という、

空間そのものが高速で滑り出していくような、長く澄んだ摩擦。


(草原の囁きが遠ざかっていく。

でも、寂しくないよ。

この音の渦が、僕たちをさらに「未知の響き」へと導いているから)


不意に、これまでとは全く異なる「反響」が、

風の隙間から滑り込んできた。


――重力の消失音:

足元の感覚が完全に消え、

代わりに、何もない虚空を音が「カァァン……」と、

どこまでも、どこまでも無限に響き渡っていく、

果てしない広がりを持った音響。


(……この音の響き方。

周りに、音を遮るものが何もない?

僕たちは今、空の、もっと高い場所にいるのか……?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。



あとりえむ 作品紹介

やっぱりせかいはまあるいほうがいい 君が遺した種子は、森には還らなかった。 地球の『受理』を以て、僕の存在を証明する。

監査の魔王 S級清掃員 至高のミミちゃんを見守る会

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ