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青の匂い、君の声  作者: Kai
波の音、君の声
7/7

6.心配

「ただいま」

19時52分凪の声が静かな廊下に響く

リビングと廊下を繋ぐ扉が開き弟が顔を出した


「おそい」

弟の低い声、多分怒ってる

「ごめんごめん」

「体調は?」

「だいじょーぶ」

「ならいいけど、夕飯置いてあるからあっためて食べて」


食卓を見るとラップがかかった夕食が置いてあった


部屋に戻ろうとする弟向かって

「みなとーーありがとう」と飛びついた

シャンプーの香り、安心する香り

「ねーーーちゃんやめて!」

ムッとした顔でこっちを向いた

「んーーーかわいい」

「やめろってば」

髪をわしゃわしゃと撫でるとプンスカ怒って部屋に戻ってしまった


たのしいなぁ、こんな日々が続いてほしい

なんて、笑みがこぼれた


チン


レンジの音中からはほかほかの夜ごはん

美味しそうな匂い

ぐうーーと正直にお腹がなった


「んまぁい」

母がいない日は湊が作ってくれることが多い、作るたびに上達するから毎度毎度美味しいを更新する

ーー自慢な弟だ


余裕の完食

「ごちそうさまでした。」

湊に「おいしかったよ。ありがとう」とメッセージを送り洗い物をしようと立ち上がった。その時


ガシャンーー!!


やばっ、どうしよう。

早く片付けなきゃ…。

そう思って破片を集めようとした瞬間、


「…っ」

思わず声が漏れる。

指先が少し切れて、ぽつりと床に赤い色が落ちる。


「ねーちゃん?!大丈夫!?」

湊の声

「ーーー!!それ、、!」

湊は私の指を見てまるで自分が怪我をしたかのような痛そうな顔をした

「俺やるからねーちゃんは手洗ってきて」

「いや、でも、」

「いーから、はやく」

情けない、でも多分私がやるより早い

だから諦めて手を洗いに行った


水が流れる音だけが聞こえる洗面所

はぁ、大きな溜息

ーー溜息つきたいのは湊の方だ

面倒かけて。心配させて。

情けない姉。


手を洗ってリビングに戻ると戻るともう片付けは終わっていた


「みなと?」


こっちを向いた湊は泣いていた


「え、?」

「これいじょうしんぱいさせないでよ」


眉を下げて泣く弟の姿があまりにも小さく見えて

凪は「ごめん。ごめん」と何度も謝りながら港を抱きしめた


祖母の死。

母の遅い帰りが遅いこと。

他にも色々重なって

しっかりしてるように見えても湊は普通の中学生で、ただの子供で


優しいから私に隠してくれてたんだろう。

私は気づかないかった

ごめんね。情けないお姉ちゃんでごめん


ガチャ


母が帰ってきた

母は部屋の空気と泣く弟を見て状況に驚いたが状況を慕った後私をこっぴどく叱り


最後に一言


「心配かけないであげて」

こう言った。

その言葉が胸に深く突き刺さった






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