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青の匂い、君の声  作者: Kai
波の音、君の声
6/7

5.通知音

某日、学校の帰り道


「あ」


聞き覚えのある僕よりいくらか高い声

声の主の方向に体を向けると案の定そこには凪が立っていた

彼女は僕とは違う制服を着ていた

僕は、制服初めて見たなぁなんてどうでもいいことをおもった


「帰り道?」

「そうだよ凪さんは?」

「私も帰り道ー」

彼女と出会って1ヶ月もうこんな会話は日常になっていた


「今日もギター弾きに行くの?」

「うん。そのつもり」

「なら、聞きにいこーかなー」

「今日、予定ないの?」

「うん、特にはないかな」


ピコン


軽快な音が僕たちの会話を遮った


「あ、ごめん、弟から笑」

彼女は笑った


わざとではない、でも通知が見えてしまった


そこには、

『今日は早く返ってきて』

『ぶり返したらどうすんの』なんて言葉が書かれていた


「あぁ、ごめん今日は聞きにいけなそうかも、、」

彼女は眉を少し下げて心底申し訳なさそうな顔をして言った。


「平気だよ。、、、あのさ」

「うん?どーした?」

「あの、通知みえちゃって、、、さ」

「あーーーこれ?昨日まで風邪引いててさ、だから」

彼女はまた誤魔化すように笑った


プルルル

電話が鳴った


きっと弟からだろう


「もーーーなに。かえるってば」

いつもとは違う凪の姿

少しだけイラついているように見えた

「だから大丈夫だって、もうすぐかえるから」

心配されてるんだなぁ

なんだか少し微笑ましかった

「んー?なに。うん。うん‥‥」

凪は僕の方をチラッと見て手を合わせながら”ごめん” と口パクをした

「だから平気だってば」

「わかってるから、うん」

「今友達といるから、またあとでね。」

電話越しからねーちゃん!!と叫ぶ呼ぶ声が聞こえてきたが、凪はお構いなしにブチッと電話を切った


「ほんっっと弟心配性でさ…ごめんね」

「全然大丈夫、可愛い弟さんだね」

すると凪は照れくさそうに

「そーかもね」なんて笑った


なんやかんや話している間に分かれ道についた

「じゃぁ、ここで。またね」

凪が小さく手を振って、分かれ道の向こうに消えていった。


足音が聞こえなくなったあと、

風の中で、またひとつだけスマホの通知音が響いた。


――弟からだ。


僕は、胸の奥に小さなざわめきを抱えたまま、

静かな道をひとり歩きはじめた。





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