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作中で取り扱った、通称ヘリスト被害に遭っていると思い込ませる手口に関する解説です  作者: フランスのセクトは破壊的カルトと同じ意味合いらしい
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解説1

この小説の話です。


アンカリングで工藤愛梨紗がヘリストされたと思い込ませようとする三武中央警察署生活安全課長田中清政警部

https://ncode.syosetu.com/n3325kz/25


なお分量が多いので4回に分割しました。

解説2は10分後に投稿します。

 執筆した私が言うのもなんですが、本当に、酷い話ですよね。

 対象者(ターゲット)を統合失調症にでっち上げる目的で、ガスライティングを行い、ヘリストーカー被害(通称ヘリスト)に遭っていると思い込ませる……。

 人間のやる事じゃないです。


 ですが、こういう事を本当にやる、どうしようもない連中がいるようです。


 手口は作中で解説した通りです。


 警察官が職権を悪用し、何らかの名目で、連日、ごく短時間、路上を徒歩で移動中の対象者の上空を、同じ方角に向かって走らせる。

 初回は、低空を飛ばし、頭上をヘリが飛んでいることに気づかせる。

 一定期間後、対象者が無人の場所にいる時、ヘリを飛ばしホバーリングさせる。


 初めに言っておきますが、ヘリストーカー(ヘリスト)に関しては、個人的には、実在しないだろうと考えています。

 物理的に不可能だからです。


 何故かというと、ヘリは事前に航路フライトプランを提出するよう義務付けられていて、その他、航路に関しても規制だらけで雁字搦めにされているからです。



 航空法 第九十七条(飛行計画及びその承認)

 1 航空機は、計器飛行方式により、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏に係る空港等から出発し、又は航空交通管制区、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏を飛行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に飛行計画を通報し、その承認を受けなければならない。

 承認を受けた飛行計画を変更しようとするときも、同様とする。


 2 航空機は、前項の場合を除き、飛行しようとするとき(国土交通省令で定める場合を除く。)は、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に飛行計画を通報しなければならない。

 ただし、あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合として国土交通省令で定める場合には、飛行を開始した後でも、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に飛行計画を通報することができる。


3 第一項又は前項の規定により、飛行計画の承認を受け、又は飛行計画を通報した航空機は、第九十六条第一項の国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従つて航行しなければならない。

 ただし、通信機の故障があつた場合において国土交通省令で定める方法に従つて航行するときは、この限りでない。


4 第一項又は第二項の規定により、飛行計画の承認を受け、又は飛行計画を通報した航空機は、航空交通管制区、航空交通管制圏又は航空交通情報圏において航行している間は、国土交通大臣に当該航空機の位置、飛行状態その他国土交通省令で定める事項を通報しなければならない。



 また、高度に関しても、下記の規制があります。



 航空法 第八十一条(最低安全高度)

 航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。

 但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。



 だからヘリストなんてやったらすぐにバレます。

 じゃあなんでアンカリングの為に警察がヘリを使えるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうが、実は、警察ヘリには例外規定があるんです。



 経済産業省PDFファイル資料2-5

 ヘリコプターの運航制限と低空域における運航実態について

 (一社)全日本航空事業連合会

 ヘリコプターの飛行に係る制限事項

 • 気象制限(航空法第2条、94条)

 • エアラインの飛行機が計器飛行で飛行するのに対して、現状ヘリコプターの離着陸は有視界飛行により行なわれているので一定の気象条件の確保が必要

 • 離着陸・低空飛行に係る法令上の制限(航空法第79,81条)

 • 航空機は飛行場(空港・ヘリポート)以外の場所では離着陸してはならない

 • 航空機は離着陸時以外は省令で定めた最低安全高度以下を飛行してはならない

 • 捜索または救助に係る航空機は以上について適用を受けない


 警察用航空機の運用等に関する規則(昭和三十七年国家公安委員会規則第三号)

 第七条 (任務)

 1 航空隊は、航空機を運用することにより、災害その他の場合における警備実施を行うほか、警ら、遭難者の捜索救助その他の警察業務の支援を行うことを任務とする。

 2 前項の任務を遂行するに当たつては、航空隊は、必要に応じて、機動隊その他の所属のほか、他の警察部門との連携を図るものとする。



 この『警察用航空機の運用等に関する規則』7条が航空法81条の例外規定となる為、それでホバーリングをはじめとする下らないガスライティング目的のアンカリングが可能になるわけです。


 ただし、警察ヘリであっても、航路計画の提出が原則必要なので、やはり露骨なヘリストなんかを実行したら、普通にバレます。



 警察用航空機の運用等に関する規則(昭和三十七年国家公安委員会規則第三号)

 第十三条 (飛行計画の承認等)

 1 機長は、飛行計画を作成したときは、運航責任者の承認を受けなければならない。

   承認を受けた飛行計画を変更しようとするときも、同様とする。

   ただし、飛行中に飛行計画を変更しようとする場合において、通信機の故障その他の理由により連絡ができないときは、この限りでない。


 2 機長は、航空基地から航空機を出発させようとするときは、運航責任者の承認を受けなければならない。


 3 前条及び前二項の場合において、運航責任者が不在であることその他の理由によりその職務を行うことができないときは、隊長があらかじめ指名する航空従事者がその職務を代行することができる。



 更に、これは別に盲点でも何でもないんですが、ヘリを動かすのに必要な燃料は、特殊で、高額だそうで、その面でもヘリストのような行為は、非経済的で有り得ない、という点も指摘しておきます。

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