転生の神を名乗る者 ホワト
そこには大きな幕のようなものが目の前にあり、周りは組織の偉い人がいそうな場所だった。
そしてカルアさんが小さな声で言った。
「この先に神様がいます。無礼のないようにお願いします」
「…はい」
俺はゆっくりと慎重に入った。
「おい。挨拶をせよ」
そう神様は言った。
凄く図太い声で正直腰が抜けそうだ。
「は…始めまして」
「そこに座れ」
そこには椅子があった。
(技術室にあるような椅子だな)
俺がそんなことを考える暇もなく、俺が座ると話し始めた。
「お前の人生は見させてもらった」
「そ…そうですか…」
「一つ聞きたいことがある」
「なん…ですか?」
「お前はこの人生楽しかったか?」
「…」
俺が口ごもっていると神様は続けて言った。
「正直に答えてよいぞ」
「はい…正直…この人生を楽しく感じたことは少なかったと思います。
小さいときは楽しかったのですが…。死ぬ数年前からはもう楽しくなかったです」
「そうか…」
「でも!俺は生んでくれた親には感謝はしています」
「なぜだ?」
「だって…少しの間は楽しく過ごさせてくれたし…何より自分の面倒を見てくれたからです!」
神様は黙った。
――――――数分後――――――
神様は口を開いた。
「お前の人生は言葉にできないくらいのものなのがわかったよ」
「…え?」
「ここに来る人々に、君みたいなやつはいなかった…」
「ど…いうことですか?」
「君みたいに【そもそも】を大切にする人はあったことがないってことだ」
「そうですか…」
(だってこんな人生を過ごしているのなんてごく少数だしな…)
「君の名前は何というんだ?」
「え…古山凪って言います…」
「古山凪…か」
「…」
「我も名乗ろう。我は【転生の神 ホワト】だ」
「転生の神…」
「転生を決める神のことだ」
「そうなんですか…」
「なんだ。お前!興味なさそうに!」
「いや…興味がないというか現実味がなくて…」
「ちなみにな。神が自己紹介することなんてあんまりないんだからな!」
「…そうなんですか」
「まあいい。我は君を気に入った」
「…え?」
「だから気に入ったと言っているんだ」
「はぁ…」
(どうせ煽てているだけだろ…)
「今お前!無礼なことを考えたな!」
「いや…考えてないですよ」
「いいや。神は相手の思考を読めるものなんだ」
「はぁ…」
「まあ考えていることはわかっているから言うが、そのようなことは決してない。
これは本心だ」
「そうなんですか…」
俺はホワトという転生の神に気に入られたらしい。