表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メリサ・アイヴァンの日常  作者: 神通百力


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/12

第八話 リオル・ミチェスの酒場

 メリサは立ち止まって辺りを見回した。首都・ヴィゲルナーディストに来るのは久しぶりだったが、相変わらず賑やかだった。何せ10キロほどの距離があるし、2週間に1回くらいの買い物の時にしか、首都に行くことはなかった。

 けれど、フレイとバレットが生まれて家族が増えたし、今までよりも首都に来る頻度は増えるかもしれない。

 メリサはそう思いながら、歩き出そうとした。だが、フレイとバレットがジッと石畳を見ていることに気付き、足を止めた。石畳は数秒事に色を変えていた。多種多様な色に変化する石畳なのだ。

 初めて首都・ヴィゲルナーディストを訪れた時、目まぐるしく変化する石畳に酔ったことを覚えている。あの頃はまだ()()()()()に気付いていなかったし、父親とはもう二度と会えないと思っていた。自分一人で出生届を出した日が懐かしい。

「キレイな石畳だけど、ずっと見ていたら、何だか酔いそう。バレットちゃんもそう思わない?」

「ガルルルルル!」

 フレイの言葉にバレットは可愛らしく頷いた。色が変化する石畳に目が回ったのか、バレットは軽く頭を振った。その直後、フレイとバレットのお腹が同時に鳴った。恥ずかしかったらしく、2人とも顔を赤らめて俯いた。なんて可愛い反応なんだろうとキュンときた。

「出生届を提出する前に、まずは昼食を取ろうか」

 メリサはそう言うと、『リオル・ミチェスの酒場』に向かって歩き出した。『リオル・ミチェスの酒場』は首都・ヴィゲルナーディスト内でも、とくに人気が高い酒場だった。

 オープンの札がかかった木製の扉を開けると、地下へと続く石段が現れた。メリサは繋ぎっぱなしだった手を離すと、フレイとバレットに後ろから付いてくるように言い、一列になって石段を降り始めた。


 ☆☆


 薄暗い地下に石段を踏む音が響き渡る。メリサは最後の一段を降りると、古びた木製の扉を開けた。その瞬間、メリサの方向に何かが飛んできた。

「え? あっ、あなたはさっきの……」

 メリサは目を見開き、自分の方に飛んできた男を見つめた。その男は少し前に会った生命管理局のヴィオス・ファザールだった。顔がほんのりと赤い。漆黒の翼も一部分が赤く染まっていた。

「おや?」

 ヴィオスは立ち上がったが、足元がフラついていた。顔が赤いところを見ると、すでにかなり飲んでいるのかもしれない。

「こんなところで会うとは奇遇ですね」

 ヴィオスはそう言いながら、満面の笑みでメリサの腰に触れた。それと同時にヴィオスの体が吹っ飛んだ。ヴィオスは鼻血を噴きながら、酒場の端まで転がっていった。

「ったく、注意したばかりなのに、何やってんだ」

 メリサの斜め左に拳を握り締めた女性が立っていた。軽くウェーブがかかった金髪に透き通った鼻筋で、黒いブラウスの上から赤色のコルセットワンピースを着用している。この女性が酒場の女主人――リオル・ミチェスだった。

感想頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ