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第三話 ペット

「泡状の髪の毛がキュートでステキね。あなたは今日から私のペット。名前はバレット・アイヴァンよ。さあ、こっちにいらっしゃい」

 メリサは満面の笑みを浮かべると、髪の毛が泡状の女性――バレットを手招きした。メリサの隣で、フレイも笑顔でバレットを見つめていた。

「ガルルルルル!」

 バレットは唸り声を上げながら、体に纏う炎を獣の毛のように逆立てた。四足歩行でメリサに駆け寄る。目の前で止まると、バレットは泡状の髪の毛を伸ばし、メリサの体に巻き付けた。

「おやおや? バレットちゃんはいったい何をするつもりかな?」

 メリサはバレットの突然の行動に驚いたが、興味の方が勝り、抵抗せずに見守ることにした。

「ガルルルルル(泡髪洗浄(バブルヘアーソープ))」

 バレットが唸るのと同時に、泡状の髪の毛が破裂し、きめ細かな泡が溢れ出した。きめ細かな泡はメリサの全身を覆い尽くし、真っ赤なゴスロリの内側にも入っていく。

「もしかして私の体を洗ってくれているの? バレットちゃんは優しいわね」

 メリサは赤毛を動かすと、バレットの頭を撫でた。バレットは頭を撫でられて嬉しそうだった。嬉しそうな表情が可愛くて、メリサはキュンとした。

 バレットは笑顔を浮かべたまま、体を纏う炎でメリサの全身を包み込むと、きめ細かな泡を燃やし尽くした。体中の泡が燃えてなくなり、メリサは心も体も洗われたような気分になった。きめ細かな泡が燃えたことによる効果なのか、少しだけ肌がスベスベになった気がして、メリサは喜んだ。

 バレットはフレイにも泡髪洗浄(バブルヘアーソープ)を行った。傍目にもフレイの体がキレイになっているのが分かる。フレイはバレットを抱きしめて感謝を伝えていた。その様子が微笑ましく、メリサは癒された。

「そうだ。バレットちゃんにとっておきの服を仕立ててあげる」

 メリサがそう言うのと同時に、赤毛が勢いよく燃え上がり、炎で泡の模様を施した赤色のローブを錬成した。

「バレットちゃん、私が錬成したローブを着てみて」

 メリサはバレットにローブを渡した。バレットは受け取ると、小躍りしながら、ローブを着用する。

「バレットちゃん、めっちゃ可愛いわ。フレイちゃんもそう思うでしょ?」

「うん、お母様。バレットちゃんはとても可愛らしいと思う」

 フレイは可愛くてたまらないといった様子で、バレットの頭を撫でていた。その様子をメリサはニコニコしながら眺めていると、コンコン、と扉を叩く音が聞こえた。

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