第二十一話 抗議活動
フレイとバレットは互いに手を繋ぎ、三角雨にはしゃぎながら、歩いていた。その様子が微笑ましく、メリサは思わず笑みが溢れ、穏やかな気分になった。
チラリとヴィオスを窺うと、少し足元がふらついているように見えた。まだ完全に酔いは覚めていないようだった。酔った状態で、ニーバイスを制圧するなんて、ヴィオスの戦闘力の高さに感心した。素面だと、どのくらいの実力なのだろうか?
メリサは視線を正面に戻し、しばらく歩き続けていると、生命管理局の前に人だかりが出来ているのが見えた。『人工生命反対!』と書かれた横断幕を掲げている。
「やれやれ、抗議活動の人たちですか」
ヴィオスはどこか呆れたように、生命管理局の前にたむろする集団を見つめた。ジェロヴィゲル国の一部の人たちは、人工的に生み出された命は自然の摂理に反するとして、生命管理局に対して抗議活動を行っている。
けれど、生命管理局は人工生命を管理しているのであって、生み出しているわけじゃない。生命管理局に抗議したって仕方ないように思う。自然の摂理には反しているかもしれないけど、人工生命の身としては複雑な気分だった。妊娠で自然に生まれた者と同様に、感情はあるし、生きているから。個人的には人工生命には賛成だった。
『人工生命反対! 人工生命反対!』
生命管理局の前に集まった人々は、三角雨が肌に触れて赤く腫れながらも、抗議活動を続けていた。
ヴィオスは僅かに首を左右に振ると、面倒くさそうにため息をつき、指を鳴らした。『人工生命反対』の言葉が立体化する。
「術式“鎖字捕縛”」
ヴィオスの右腕に術式が浮かび上がり、文字が連なって鎖と化した『人工生命反対』の言葉が集団の体に巻き付く。
『え? 何これ?』
宙に浮遊した集団は上ずった声をあげながら、生命管理局の建物から遠く離れた方向へと飛んでいった。
「さて、行きましょうか」
ひと仕事終えたとばかりにヴィオスは歩き出した。メリサたちも慌てて歩き出す。
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