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その後、シンとユウナはカレーの話で盛り上がった。
非常な激論の末、チキンカレーこそ至高と結論が出た。
ユウナは最後までビーフカレーが王道と訴えていたが、そんなの無視だ。チキンだチキン。安くてうまい。最高だ。
セシリーにも手伝ってもらい、スーパーへと行く。
安価な材料をたっぷり買い込み、孤児院に戻る。
そのとき、だった。
「シナリンセス・フィーヴァ様ですね」
振り返ると、そこには、アレキバの従者がいた。
『あれ? この人、アレキバさんの商店の人よね? どうしてここに?』
彼のことは知っている。アレキバの一番の秘書だ。
交易のときも、彼はアレキバと共に行動していた。
アレキバが砂漠に行っている今、彼がここにいるのは、些か不自然だ。
しかも、彼は見るからに焦っている。
血走った目で、彼は言う。
「アレキバさんが、ドラゴンの呪いにかけられてしまいました。もう、命が危うい。シンさん、よろしければ顔をお見せください」