初めての友達
ボンと一緒に公園に着く。
この公園はすぐそばに海があり、半分砂場となっている。
街から少し離れているせいかあまり人は見当たらない。
「ボン、何して遊ぶ?」
「・・・カニとり」
「カニとり?」
「正確にはスナガニを取る遊び」
今気づいたのだが、ボンはアジゲードとは違い、大胆でうるさい人ではないようだ。
「スナガニ遊びの遊び方を説明するね」
ボンは砂浜の方へ行き、穴を見つける。
手で海水をすくいその穴の中に注ぐ。
それを何回か繰り返すと「ガサガサ」と穴の中からスナガニが出てくる。それをボンはスナガニの足をとり持ち上げる。
「こうして遊ぶ。スナガニは潮が引いてる間は穴の中に入ってるからそこに海水を注ぐと潮が満ちたと勘違いして出てくる」
「へぇー」
地球にもマテガイだったか忘れたけど穴に塩を入れて出てきたところを取るっていうやつがあった気がする。
「これって海水じゃなくて水でも出てくる?」
「やったことない。おしっこでも入れるつもりなの?」
まさかの発言にびっくりしたが俺は手に水球を生成する
「水魔法!」
ボンが目をキラキラさせながら水球を指さす。
「見ててね」
俺はその水球を穴の中に落とす。
すると「ガサガサ」と言う音とともにスナガニが出てくる。
「わぁ、すごいよアルト!」
ボンがめっちゃ食いついてきた。
「水魔法をここら辺全体に発生させたらみんな出てくるんじゃない?」
「おぉーいい考えだね」
俺はさっそく手から水をドバドバと穴がある場所を放水する。
近くまで行かないでいいので楽だ。
するとあっちこっちからスナガニが出てくる。
50匹以上は要るんじゃないかっていうレベルで出てくる。
じーっと見るととてもキモイ
「すごい!すごい!」
2人ではしゃいでいると、「ガサッ」と背後で音が聞こえた。
2人で後ろを振り返ると、そこには小型犬より少し大きいカニがこちらを見ていた。
「サンドガニだ!」
ボンと俺は走った。
サンドガニもスナガニと同様、潮が引いた際の砂浜にいることが多く、基本人に害は与えない。
主にスナガニを捕食する。潮が満ちて飛び出してくるスナガニを捕食するのだとか。
俺の魔法でスナガニを砂浜に出してしまったせいでサンドガニの動きが活発化し、気づけば後ろにいたとのことだ。
子供で小さな俺たちはそのハサミで何されるかわからないので、一目散に走ったってわけ。
しかしサンドガニがおってくることはなった。奴は足が遅いのだ。
ボンと振り返り、サンドガニが追い付いていないことを知ると、ボンは調子に乗ったのか近くにあった石を投げる。
するとサンドガニに命中した。
サンドガニは怒ったのか魔法を使い、足に強化を施した上で俺らを追っかけてきやがった。
そういえば奴は魔物に分類されているのであった・・・
慌ててまた逃げる。
司令部の近くに来たという事で俺たちは安堵する。
しかし何と執念深いことか奴はまだ追いかけてきていた。
バカめ・・・
司令部の見張りに見つかり、ボコボコにされていた。
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ジューデン国の南にあるエルアト王国
この国は人族の中でもかなり大きな国である。
エルアト王国は領土を広げるため他の魔王領から孤立しているジューデン国を併合しようと考えていた。
しかし魔王相手に軍だけで挑むようなバカではない。
エルアト王国は戦争に向けて勇者を育成し、対魔王戦のシュミレーションを繰り返していた。
平和なジューデン国に戦争の危機が迫るのであった