第1話 前世の記憶
やる気が起きたので超高速執筆しました笑
(プロローグ抜きで)1話目です!
「ふわぁぁ。」
大きなあくびをしながら、私はベットからおりた。柔らかすぎるベットに、何度か飛び跳ねたくなるけど、我慢我慢。乳母様に叱られちゃうしね。
って言いながら、床に足をつけた途端に、またもやふかふかのカーペットの感触が私を包み込む。
「こ、これはもう…。我慢できないっ!」
なんて叫びながら、私は床に倒れ込んでゴロゴロする。
っておっと!自己紹介が遅れちゃったね!
私の名前はリリス!リリス・カーモイル・アイダン。ここ、アイダン帝国の9番目の皇女だよー!
あ、年齢は7歳ね!
アイダン帝国っていうのは、5000年間もの長い歴史を持つ国のことで、なんと魔法が発展しているんだ!
ここで生まれた人達は、10歳になったら、神殿で「祝福の儀」っていうのを受けるの。そこで、使える魔法属性を教えて貰えて、プラスで才能がある人は「固有能力」っていうのを授かれるんだ。
だから私も、あと3年後にはそれを受けるんだけど…。
実は私には、この「固有能力」を貰わなければいけない理由があるんだ。それはね…
「ちょっとお待ちください!」
「どきなさいよ!私を誰だと思ってるの!?」
「し、しかし…」
「邪魔よ!」 バチンッ
「きゃあっ!」
ほら。きたきた。
バンッ
「リリスッ!」
「なんでしょうか。お母様。ユリア。」
私の使用人をぶって、ヅカヅカと部屋に入り込んできたのは、母であるイリア。その傍には、私の双子の妹でもあるユリアもいる。
「ちょっと。ユリアですって!?この子はね、もうすぐ死ぬあんたとは違って、この国の希望なのよ。みんなの期待の星なの!立場が違うのよ!様をつけなさい様を!」
「…申し訳ありません。ユリア様。」
「ふんっ。次間違えたら罰を与えるからね。」
そうして、イリアは私の前に仁王立ちをした。後ろでは、ユリアが私を見ながらくすくすと笑っている。
…これが、私の日常なんだ。そして、この後には…
「ところで。あんたまだ洗濯終わらせてないんだって!?何も出来ない能無しのくせに、自分に与えられた仕事もこなせないだなんて。双子なのにどうしてこんなにも違うのかしらね。少しはユリアを見習って欲しいわぁ。」
…私に対する、罵倒が待っているの。
ひとつ、言っておくね。私の家族、いや、私の母と妹は…
ちょーーーーーーーーぜつ!!!最っ低ですっ!
まぁ、こうなったのも、昔あった神託が原因なんだけどね…。
ちょっと、説明しておくね。
今から5000年前。この国が誕生したその日に、神様から、神託が下ったの。その内容はまぁ、簡単に言うと、
「10番目の皇女に力を与える代わりに、9番目の皇女は成人後5年以内に死ぬ」
というもの。
この国での成人は15歳だから…9番目として生まれたら最後、必ず20歳までには死んじゃうの。
私の母は、先代の10番目の皇女様で、この国を発展させるのに大いに貢献した、現在の皇后様だ。
彼女は、私を使い捨ての道具としか見ていなくて、お父様がいない日には、こうやって私をいじめに来るんだ。ユリアも一緒。
お父様がいない日、私は使用人以下の扱いを受けていて、このように急に仕事を押し付けられたかと思えば、出来ていないことを口実に色々罵倒され、挙句の果てには暴力まで振るわれる。
最近だったら、近くにあった花瓶を投げつけられて大怪我をしたのが、記憶に残ってるなぁ〜。
いやぁ。あれは痛かったよ。
「ちょっと!聞いてるの!?」
ドンッ
ユリアに突き飛ばされて、私は近くにあった机に頭をぶつけた。いてててて…
「とにかく。ちゃんとしとかないと、どうなるかわかるよね?」
そう言いながら、ユリアは私の耳元で
「頑張ってね、お・ね・え・さ・ま♡」
と囁いた。
(全く。性格悪いなぁ。)
と思いながら、私は笑いながら部屋を出ていく2人を見送った。…その、10秒後。
私が小さい頃から一緒にいる5歳年上のメイドであるメアリーが猛スピードで走ってきた。
「リリス様。お助けできずすみません。部屋をシールドで囲われていて、入れませんでした。」
メアリーはそういった後、チラリと目を私の頭にやり、ほんの少し目を見開いた。
「頭から血が出ております。怪我されたのですね。すぐに止血致しましょう。」
彼女はとてもクールだけど、行動とかはとっても感情的。声のトーンが平坦だから、少し、違和感はあるけど。
「あははっ。ありがとう、メアリー。じゃあ、サラを呼んできてくれる?止血もするけど、今日も忙しくなるから。」
「わかりました。」
ビュンッと、風のようにメアリーは走っていった。
「…やっぱ速いなー。メアリー」
思わず苦笑いしちゃうよ。あ、あと、さっき会話に出てきたサラっていうのは、私の乳母兼メイド長のことだよ。
うちのお母様は、ユリアの面倒しかちゃんと見なくて、私は放置されていたから、お父様の配慮で、とても信頼されていたサラが、私の乳母になったんだ。
…なんて言ってたら、2人が戻ってきた。
「お嬢様!大丈夫でしたかってああっ!やっぱり怪我して…。本当にもう!あの二人どうにかならないかしら…。」
本人達がいなくて良かった。言ったら、不敬罪で殺されちゃうよ。
「あはは、サラ。それ絶対言っちゃダメだよ?それよりもほら。やることいっぱいだし、早くお願い。」
「そ、そうでしたね。では、始めましょうか。痛かったら…」
「大丈夫だよ。慣れてるし」
「…すみません」
アレ。私、なんか間違えた?ちょっと暗くなったんだけど。
********
…唐突だけど、私、実は前世の記憶を持っているんだ。
だから、今のリリスには転生したって形になるの。
前世の私──横澤桜は、小さい頃からなんでも出来るタイプで、俗に言う「天才肌」って言うやつだった。自分で言うのもあれだけどね。
友人も結構多い方で、学校でも、リーダー的存在ではあったと思う。…けど、家族には、恵まれなかった。
母はアルコール中毒。兄はニートでゲーム課金のために平気で私のものを売る。父は仕事にしか興味がなく、いつも家を放ったらかしにしてた。一応、学費は払ってくれていたけど。
まぁ、それは一旦置いといて。私が死んじゃった理由なんだけどね。中学生の時に通ってた学校に、包丁を持った男が入ってきて、生徒を殺そうとしたの。その時狙われたのが、私の親友だった。それがわかった途端、思わず体が動いちゃって。…代わりに、私が刺されたんだ。
次に目を覚ましたら、真っ白な世界で。私はそこで、神様と出会った。神様は、私が前世で善行をしたと言って、私に記憶を持った転生をする権利をくれたの。私の親友も助かったし、他に被害も出なかったんだって。
それを聞いて安心した私は、その権利を使わせてもらうことにした。神様が言うに、どんな世界になるかは分からないらしいけど、特に気にしてなかった。
…まさか、こんなハードモードな人生になるなんて、思いもしなかったし。
まぁ、だからね。殴られたり、蹴られたりとかには、元から慣れてたの。母からはいつも受けていたし。死因も刺殺だったしね。
転生しても、同じことになるとは予想してなかったけど、後悔はしてない。
だって、この世界に来たことで、メアリーやサラ、それに…
お父様に、会えたから。
どうでしたでしょうか?
今回は少し悲しいお話だったかなと思います。
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別作品、「カウントダウン〜死ぬまでの時間がわかった時、あなたは何をしますか?〜」の方も是非見てみてくださいね!
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次回も是非是非!読んでみてくださいね!