プロローグ
「よっしゃあ!やっと届いたぞ!」
そう俺はめっちゃ喜んでいた。
理由は世界初の神経接続型ゲームのハード(通称オーバードライブ)とそのソフト(Blade・Notes・On-line)が届いたからである。
完全予約限定のくせに日本で先着5000台しか売らないという非常にレアな代物で、予約開始と同時に自宅にある7つのパソコンから連打に評判のある友人と予約ボタンを連打した。
そのうちヒットしたのは1つのパソコンだったのは本当に奇跡と呼べるだろう。マジでありがとう、田中。
まあそんなレアな代物だからなのか、特別サービスのようなもので、全員が同じ時間に届くように設定してくれたらしい。配達時刻によるプレイヤーの個人差を無くす為だろう。
「これを使って可愛い女の子と出会い、そして彼女を作るのだ!はっはっはー!」
誰になんと言われようと知ったこっちゃない。笑うなら笑え!俺はこのゲームでリア充になるのだ!
「というわけで、ちょっと細工を…」
俺はオーバードライブにあらかじめ盗んでおいたベータ版のデータを基に組んでおいたプログラムをインストールさせる。
「ちょっと危ないところを俺がズバッと決めればどんな女の子も…ぐふふっ……」
こういう時のために我流だけどプログラミングを勉強しといて本当によかったなと感慨に浸る。
インストール完了。
自分でもにやけ顔が止められないほどに俺は舞い上がっていた。
「オーバードライブ!ア」
「奏!うるさいわよ!」
リビングから母の怒号が鳴り響く。
「今日ぐらい許してくれよ母さん!」
「それぐらい静かにしなさい!あんたもう高校2年生でしょ!」
「高校2年生関係なくない!?」
「うるさいのよ!そんな子に育てた覚えないわ!」
「いや、母さんさっきからずっと大声なんだけど」
「もう黙ってゲームしなさい!」
「起動は声の生体認証だから許してよ…」
「仕方ないわね!ちゃんと晩ご飯までには帰ってくるのよ!」
「は〜い」
はあ…とため息をつき、心の準備を整える。
「オーバードライブ!起動!」