第一話 開幕
眼を開く。
周りには美しい花々があたり一面に咲いている。
そして、自身の眼の前には1人の男が椅子に座っている。
自身の眼は目の前の男をまっすぐに捉えていた。
その自身の眼を見て男は静かに微笑む。
「やはり君はいい目をしているね」
男の声色、口調、匂い、全てが懐かしく感じる気がする。
男と会うのは初めてのはずなのに…。
男の手には一冊の本がある。
その本の表紙を男は開く。
「さて、今から語るお話は1人の[偽神]の物語」
そう言って男は優しく、静かな声で語り出す。
その物語を……。
◆
「いやー、今日も平和だねー」
どこか拍子抜けな声がする。
この声を出している張本人、千道 始眼(男)は周りを見渡して一人呟く。
街では女性達の会話を楽しむ声が聞こえ、周りを見渡せば女子会を楽しんでいる・・・・というか男性の方が女性に尻にしかれているのがよくわかる。
この世界では女性の方が男性よりも優位なのだ。
というのも、ある時一人の女性が「能力」を発現して、そこから次々と女性にのみ「能力」が発現していった。
「能力」の影響は大きく、そこから男性と女性の立場が変わった。
「能力」は男性を遥かに凌ぐ力が有り、男性は女性に頭が上がらなくなっていった。
そんな女性たちに振り回されている男性たちを見ながら、千道始眼は一人街をブラブラしている。
なぜブラブラしているかというと、特に理由はない。
ただ何となくブラブラしているだけ。
だが、急に平和な街に爆発音が響き渡り砂煙が立った。
そして、その砂煙の中から突如化け物が現れた。
この化け物は「レギオン」と呼ばれ、女性が能力を発現し始眼めた頃から現れ始眼めた。
レギオンは周りを見るなり人々を襲おうとした。しかし、そこに人影が現れ・・・次の瞬間にはレギオンが吹き飛んだ。
レギオンを吹き飛ばしたのは一人の女性だ。
女性が着ている服にValettaと書かれているのに気づいた。
Valettaとは対レギオンのために作られた能力を持った女性のみで構成された組織である。
女性は周りを見渡して被害がないことを確認する。
「レギオンは倒しました。安心してください」
だが、不意に子供の泣き声が聞こえたかと思うと先程倒したと思ったレギオンが動き出した。
そして、泣いている子供に襲い掛かった。
「しまった!」
女性は気づいたが一歩遅かった。
気づいた時にはレギオンは子供の目の前にいた。
次の瞬間、レギオンの腕が振り落とされた。
そして、子供は殺され・・・・ることは無かった。
レギオンが振り落とした先には子供がいない。
「いやー、危なかった」
一人の男の声が聞こえた。
その男とは始眼である。
始眼がレギオンが近づく前に子供に気づき、腕が振り落とされる前に子供を抱きかかえ避けたのだ。
レギオンが再び襲おうとしたが女性が一瞬で近づきとどめを刺した。
女性は始眼に近づいた。
始眼は思った。(この女性、かなりの美人!)と。
女性は子供に怪我が無いのを確認した後、始眼を見た。
「子供を助けていただきありがとうございました。ですが、一歩間違えばあなたも殺されていたかもしれません。今度からはああゆう無茶な行動はしないようにしてください」
女性から感謝の言葉と注意を受けた。
「分かりました。今度からは気をつけるようにします」
始眼は笑顔でかえした。
そして、女性の左胸の第七師団と書かれているのをチラッと確認し、女性をジッと見た。
「ふーん。なかなかいい目をしているね。これから面白くなりそうだ」
始眼は一人呟く。
女性はその発言に首を傾げたが何も追求はしなかった。
「では、俺はこれで失礼させていただきます」
始眼はそう言うとその場を後にした。
だが、この女性にとって始眼との出会いは良くも悪くも運命的であったと言えるだろう。
素人なので誤字や脱字など間違いが多いかもしれませんがどうか大目に見てください。