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すりみつみれの冒険おやたい❣  作者: みどりのヤクルト
二国目 法皇の統治する大国、リシア
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首都サンソヴールにご用心!2

女性の奥に広がる空間をみたつみれは緊張で足が震えたのを感じた。その中は光が燦々と降り注ぎ、白い大理石とこれでもかというほどの金装飾とクリスタルが盛りに盛られたシャンデリアで埋め尽くされ眩しさで目が射られてしまうほどで、その更に奥、広間を長々と歩いたには威厳を示すかのように上へ上へと続く階段があった。

馬車の中にいたときまであったのんきな軽い都会見物気分は一気に吹っ飛び、つみれは冷や汗とともにスリアミドラとアルトを仰ぎ見た。意外にもさっきまでソワソワして落ち着きのなかったスリアミドラはすっかり冷静さを取り戻していた、というよりも光を受けることでむしろエネルギーに満ち輝いていて、シャンパンの泡がクリスタルのグラスの中でぱちぱちと弾けるような華やかさ、真に王女らしいきらめきがあった。

(ああ……やっぱこの子、プリンセスなんだ)

今更つみれは心底実感した。最初に会ったときになにこのコスプレイヤーなんて思っちゃって本当にごめんなさいあれなかったコトにしてください、と祈っていると、スリアミドラがつみれの手をそっと握ってくれた。緊張しているのが伝わったのだろうか。

スリアミドラは優しく微笑むと、「つみれ様……参りましょうか」と言い、扉の女性に続いた。アルトはいつもどおり無表情なまま二人の後ろを付いて行く。

女性は歩きながら自己紹介を始めた。

「座りもせず失礼いたします、謁見の間少し距離があるものですから……この度はご足労いただきましてありがたく存じます。私、リシア法皇の私室付女官を努めております、リュシエンヌと申します。

衛兵たちから何度も確認させられて大変戸惑われたことかと思います。私どももまさか、キャロトリア国の紋章をここで見る日がこんなに早く訪れるとは思っておりませんでしたので、確認に慌ててしまっいまして……」

おっとりとした微笑みでリュシエンヌと呼ばれた女性はそう言う。スリアミドラもにっこりとし、

「わたし達も、このような突然の謁見申し込みを受け入れてくださるとは思わず感謝しておりますわ。こんな大きな国ですから、きっとご訪問の方の数も多くて、わたし達のような小国の者など断られるのではないかと思っておりました」

と返した。

建物のなかは、大国の中心地というからには訪問客や貴族で溢れかえっているのだろうと思っていたが、予想に反して誰もいない。むしろ、四人の靴跡だけがコツコツとどこまでも響き渡るほどだ。

「いえ、とんでもありません。普段は朝の一時間だけ、大聖堂の謁見の間でお客様にお会いになられるのですが、このところ、そのお体の調子が優れないようで一般謁見は取りやめて静養されておられまして。」

「まあ、では今日はお受けいただけないのでは……」

そう心配そうに問うスリアミドラに、リュシエンヌはまた微笑んで、

「それが、実は法皇様には少し気難しいところがございまして、さきほど、『今日もしも、これまで見たことがない訪問客があれば、一組だけ通すように』とおっしゃられたばかりなのです。そこにちょうど、あなた方のご訪問を頂いたところでして。」

「まあ……もしかして、わたし達が来るのを予知されたのかもしれませんわね。」

「そうだと嬉しいのですが、なにぶん家臣としましてはそろそろご静養から上がって謁見を再開していただきたいものですから、これをきっかけにしていただけたらと思うばかりです。」

上品な笑みと少しだけ困ったような表情が入り混じった顔で、リュシエンヌは奥の階段を登る。これもすべて滑らかな大理石に外から降り注ぐ陽光とシャンデリアの反射光が入り乱れて、つみれは足を踏み外してしまわないかというおそれから注意深くガニ股で一歩一歩上ったが、他は慣れたものでのんびりと談笑を続けていた。

階段を上りきり、また長い回廊をずっと進んだところで、リュシエンヌは足を止めると、

「では、この先のお部屋が、法皇様の私的謁見の間となられます……今は公式にはご静養ということになられておりますので、通常の広間ではないのですが、ご理解下さいませ」

それを聞いて、(えこれって更にふつうのとこより上のレベルっていうかめっちゃ緊張するやつじゃない!?)とつみれが冷や汗をかく間もなく、扉は開かれた。

そこは、こじんまりとしているが高い天井に壁中リシアの紋章が細かく絵がかれた緋色の壁が重厚な印象を与える空間で、奥には玉座があるものの、そこは幾重もの白いヴェールで覆われており、誰か座っているということは判ったが全く顔が覗えないくらい。

左右の壁には神官たちが列をなして控えている。その中をリュシエンヌは絨毯の上をしずしずと歩いてゆっくりとお辞儀をすると、

「リシア様……キャロトリア国のお客様がおいでになられました」と静かに言い、つみれ達を舞台に残したまま自分は神官たちの列に加わり頭を下げた。

少しの沈黙があった。スリアミドラが挨拶の口上を述べようとすると、ヴェールの奥の玉座から声がかかった。

これまで書いた文字数が10万字をこえてました!ひとつの目標にしていたのでうれしいです。読んでくれるひとのおかげです、お礼もうしあげます。

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