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すりみつみれの冒険おやたい❣  作者: みどりのヤクルト
一国目 麦畑の小国、ブレナ
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酵母作りにご用心!

「さて……じゃあ、パンの要、酵母作り行きますかっ!」

女将さんが快く貸してくれた、お客がだれもいなくなった食堂で、つみれはエプロンのリボンをギュッと握り、ワンピースの袖を捲り上げた。料理開始の合図、お仕事モードの合図だ。

午後にたくさん収穫した木苺が入った籠を前に、スリアミドラはわくわくした顔でつみれを見つめた。お仕事モードのつみれの凛とした顔が好きなのだ。

「じゃあ、すりみ、ちゃんと、アルトさんは、この木苺のへたを取るの、手伝ってくれるかな… …葉っぱとか汚れているものは除いて、この壺のなかに入れてってね」

同じようにエプロンをしたスリアミドラとアルトが食い入るように見つめる中、つみれはどうやるか手本を見せてやりながら手早く説明する。

「こうやって、やさしく引っ張ってあげたらへたが抜けるから……ほら、かんたんでしょ?」

「すっすごいです!私にもできました!あっ木苺って、中はからっぽなんですねっ」

はしゃぐスリアミドラはなかなか上手にへたを外すと次々と壺に入れていく。

「あ、あまり力を入れると……」

実は結構不器用らしいアルトが指先で木苺を潰してしまい、「やっ」と意外にも可愛らしい声を上げては恥ずかしいのか目を閉じる。つみれはちょっと笑ってしまった。

30分程度の格闘の末、すべての木苺が壺に入れられると、つみれは水を注ぎ入れた。それから、

「中に新鮮な空気が入ってほしいんだけど、でもホコリとかゴミが入らないようにしたいときは、こうやって清潔な木綿の布で蓋をすると大丈夫。」

と言いながら布巾をかけて紐で縛って閉じる。

「はい、これでおしまい!かんたんだったでしょ?」

「えっこれでもうよろしいのですか?」

結構な数を力余って潰してしまい、木苺の汁で真っ赤に染まってしまった指をむなしく見下ろしていたアルトはさておき、真剣な顔でつみれの手つきを1秒も見逃すまいとしていたスリアミドラは拍子抜けした。

「うん、あとは毎日、一日に一度、蓋を外して腐ってないか中の様子を見てから、あと壺をやさしくゆすって新鮮な空気を吸わせてあげるだけ。一週間もしないうちに酵母液が完成だよ!」

「ええっもしも腐っていたら……」

急に現れた不穏な言葉にスリアミドラはおののいたが、つみれは笑って、

「その時は最初からやり直し!でも、今は春先、極端に暑くも寒くもないしうまく行くと思うよ。」

と安心させた。

やはり、料理に携わっているときのつみれは生き生きして、頼り甲斐があって、まるでルナフィオラと同じくらい輝いている。と思いながらスリアミドラはにっこり笑った。

「では、あと一週間、このお料理の面倒を見るのはぜひわたしにさせてくださいっ!」


*


〜一日目〜

「つみれ様、ご覧ください!!壺の中の木苺からこんなにシュワシュワと泡が出てますっ失敗でしょうか!?」

「あっすごいいい感じ!発酵始まってるねーやっぱ新鮮な木苺は違うよ!!」



〜二日目〜

「昨日と同じくらいぶくぶくしてますが大丈夫でしょうかっ??よくよく聴くと、パチパチ泡が弾ける音も聞こえますっ!!」

「ウサ耳ってやっぱ聞こえいいんだ……、あ、泡は全然大丈夫好調だから安心して!」



〜三日目〜

「スリアミドラ様からご覧になってよろしいと許可をいただきましたので、私も是非、国王陛下へのご報告用に拝見を……」

「あ、アルトさん、別にいつ来てもいいのに」

「スリアミドラ様が慈しんでおられるお料理ですので気が引けまして」

「これ、二人ともそう呼んでるけど料理って言えるものじゃないんだけどね……酵母だから……」



〜四日目〜

「なんだかシュワシュワが元気が無くなって来たような気がします……あっもしかして酵母さんたちは腐ってしまわれたのでしょうか!?!」

「そろそろ発酵が終わってきてるんだよ。まあ、木苺の中の糖分を酵母菌が食べ尽くしだしてお腹いっぱいになってきたなーみたいな感じ」

「糖分……?菌……?」



〜五日目〜

「なんだかもう全然動きがなくなってきた感じですね……菌さんはお腹が一杯になって寝てしまったのでしょうか?」

「う、ううーんまあそういう感じ……!見た目からじゃわかりにくいけど、腐った匂いもないしカビもないし成功だよ。木苺は明日取り出そうね」



〜六日目〜

「壺の中の液体を濾して瓶に詰める……と。素敵です、つみれ様っ!こんな深い色……まるでルビーが溶けてるみたいですっ!」

「つみれ様、この液体がつみれ様が説明してくださいました酵母液というものなのでしょうか?」

「うん、これでオッケー、うまくできてるよ!!」



〜七日目〜

「えーと、すりみちゃん、が計ってくれたこの小麦粉、ここに昨日できた酵母液を流しこんで、そう、スプーンでよく混ぜてね。それでこのままほうっておいて、午後のお茶の時間のときにまた同じように小麦粉と、今度は普通の水、あと少しだけお塩を足して混ぜます。それで明日まで置いていたら、いよいよパンの種の完成だよ。」

「今日の作業はなんだか薬を作るのに似てますから、自信が持てそうです!」

「じゃ、自信がついてきたとこで ……明日は宿を発つ予定日だから、順調に行けばいきなり次の街でお店デビューだよ。」

「……!慎重に行います。」

(ということは、ついにあのスリアミドラ様がお求めになられた服、を我々も着用しなければならないというわけですね……)



三人それぞれの逸る気持ちとともに、はたしてパンの本種はこれ以上ない出来で完成した。

今週からちょっとバタバタしていて、ついに毎日更新のペースを落としちゃいました。うーんがっかりっ!!


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