第4話 最強パーティでしょ?
エリン『えっ・・・?』
ラピス『君だけでも逃げるんだ。早く』
エリン『何の冗談よ、私たち最強パーティでしょ?』
『ごたごたうるせぇな!』
大きな声と共に黒服の男たちが素早く襲いかかってくる。
エリン『レベルはそこそこあるようね、それなら・・・!』
あたしは短剣を取り出し、【強化属性魔法 炎】を使った。
短剣がみるみる内に炎を纏った。
大勢の敵にはこれが効果的。
『ちっ!強化魔法か!』
あたしは敵をあっさりと超えるスピードで
剣を振り、切り裂いていく。
『なんだこいつ!?強すぎる、、逃げるぞ!』
集団だった相手もあっという間に2人になり、
あたしの顔を見れば慌てて逃げた。
エリン『ふん、大したことないわね』
ラピス『君はやっぱり本物だ』
エリン『なに言って・・・!あたしを試すのは良いけれど、少しは動いてよね』
『おお、やるじゃねぇか。うちの雑魚共をあっさりと仕留めやがった』
声のする方へ振り向けば、さっき追いかけてきた大男の姿があった。
ラピス『ダイダラス・・・!』
ダイダラス『そこの小娘、そんなに強かったんだな。ラピスのパーティに
入るなんて、ハズレくじでも引いたのか?』
エリン『なにを言ってるのよ。ラピスたちは最強パーティで・・』
ダイダラス『最強?はっ、何の冗談だそれは。雑魚過ぎて
正式登録できずに、半分崩壊してるクソ雑魚パーティじゃねぇか』
エリン『はぁ?そんなわけ・・・!』
ラピス『・・・それであってるよ、エリン。僕らは君を騙したんだ』
エリン『う、嘘でしょ。ねぇってば』
ダイダラス『はっ、傑作だな。正式登録してないパーティに最強パーティなんて
闇パーティ以外ねーんだよ。オツム弱いのか小娘?』
エリン『うるさい!あなたには聞いてないの!』
ダイダラス『お前、俺たちのパーティに入るか?有名だし強い奴も多い。
お前だって、さっき俺たちのマーク見てピンときたんだろ?』
エリン『ええ、大変なところに来てしまったってね。闇パーティになんて入る訳ないでしょ。
おっさん。』
ダイダラス『口の聞き方に気をつけろ小娘!』
ダイダラスが勢い良く大剣を振りかざしてきた。
この大男はかなりレベルが高そうだ。
隙の多い大剣の攻撃を上手くかわし接近戦で・・・!
と思った矢先、相手の蹴りがすぐ近くまで来ていた。
思わず体が仰け反り、重い一撃を受ける、つもりだった。
気がつけば吹っ飛ばされているのはあたしではなく、ラピスだった。
エリン『ラピス!?』
ラピス『僕にできることは、これくらいだからね・・・』
遠くから聞こえる小さな声、ここからでも相当なダメージを受けているのがわかった。
エリン『あなた本当に・・・』
大男が息つく暇もなく攻撃を仕掛けてくる。
シェリルとメルが後ろで身を潜めているのがわかる。
エリン『あなたたちも手伝って・・・!パーティでしょ!』
ダイダラス『あいつらにはできねぇよそんなこと!結果がわかってるじゃねぇか!
怯えて戦いにすら来ねぇ!』
エリン『ぐっ!』
1対1では経験の差が大きく出たのか、
大男の突進であたしは大きく吹き飛ばされた。
シェリル『エリン!くそぉおお!』
シェリルが物凄い速さで大男に向かって走っていく。
メルもそれに合わせ何やら呪文を唱え始めた。
ダイダラス『雑魚がよぉ!』
シェリルは簡単に返り討ちにあい吹き飛ばされた。
シェリル『がはっ!』
メル『シェリル!』
ダイダラス『お前らに使う剣が勿体ない、汚れるわ』
あたしは重い体をゆっくりと起こす。
吹き飛ばされためあまり力が入らない。
エリン『退いて!この雑魚!』
目の前にいたメルを追い払った。
メル『エリン・・・!』
あたしはもうこの子たちとは関係ない。
本当に弱かったし。あたしは騙された実感が漸く湧いてきた。