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第2話 最強パーティからの勧誘

あたしは次の時間帯で行われる別パーティのトーナメントに名前を書き込んだ。



次こそいけるよ!



友の優しい声。

うん、頑張るね。



昔からの親友、ミルルにはいつもこうやって助けられている。

あたしには欠かせない大切な友達。



グラン・ジュグルデ、入りたかったな。

でも友の言う通りしっかりと切り替えないと。

ここからもう一度スタートだ。



ミルル『すごいねー、ここも有名な人沢山いるパーティだよ!』



エリン『あはは、知ってるっての。』



———————————-




あたりは段々と暗くなり夕暮れ時。



決勝。また決勝。

あの後、あたしは全て決勝戦で負けた。



自分自身の実力不足。最初の試験で優勝できていれば、、

悔しさでいっぱいだった。



終わりのトランペットが微かに聞こえる。

1日目が終わったのだ。



あたしは最強パーティに入れるチャンスを逃した。



一度別パーティに入ってから、来年、改めて最強パーティに入る選択肢も十分ある。

つまり明日からの2日目、3日目の試験を受ければ良いだけのこと。



それだけなのに、悔しさで、どうしても最初から最強パーティに入りたいという気持ちが疼く。



夕方の帰路。二人で肩を並べ狭い路地を歩く。



ミルル『えっと・・・1日目の参加資格は一年後、だっけ。

また頑張ればいいよ!とりあえず明日がんばろ?』



エリン『ええ、そうね。』



元気のないあたしの返事。



来年、か。



ミルル『じゃあ、またね!明日は私の応援もよろしくね!』



エリン『勿論。』



いつもの分かれ道。ミルルはいつもの笑顔を見せて走って行った。



はぁ、憂鬱。



気がつけばいつもとは違う道を歩いていた。

ただでさえ狭い路地を抜け裏路地に入る。



とぼとぼと歩いていると目の前にローブを被った怪しげな三人組を見かけた。



『試験見てたよ、ミスターナンバー2。

どれも惜しい試合だったね』



ローブ組の一人がこちらも見ずに急に話し出した。



エリン『何。見てたの。あんたたち何者?あとそれあだ名だったら許さない』



あだ名だけど。知らないの?君が毎回決勝で負けるからそう呼ばれてるって

まぁそう怒らないでくれよ。



あんたねぇ・・・!

あたしが負けたのわかってて煽ってるの・・・!?



あたしが大きな声を出し手持ちの短剣を相手に向けた。



わぁ、怖い。まって。僕たち君の味方なんだ。

最強パーティへ入りたいんだよね?僕たちのところへおいでよ。



は、はぁ?



相手が着ていたローブをゆっくりと脱ぎ始めた。

端正な凜とした顔立ちの女の子だった。

路地裏の影でわかり辛いが、髪色が青く染まっている。



僕はラピス。このパーティのリーダーだ。よろしく!



エリン『へぇ、あなたみたいな若いリーダーがいるパーティなんてあるのね。

しかも最強?パーティ名は?』



ラピス『レスエトラスビレントだよ』



エリン『はぁ、そんなとこ聞いたことないわ、馬鹿らしい。

じゃあね。』



あたしはラピスの方へ手をひらひらと振った。

路地で勧誘してくるパーティなんてロクなものがない。



基本、パーティで新しいメンバーを勧誘するときは、

あの試験でトーナメントを行うか、臨時募集、試験なし一般募集として

正式に役場に登録されている。



役場に登録できないパーティも偶にいる。

稼ぎが少ない。

または闇の稼業をしている。これは所謂、闇パーティ。

なんにせよ怪しく、どこか訳ありである。



さらに路地裏でのパーティ勧誘は街の条例で禁止されている。

役場を通していない勧誘は、身体目的や冒険を目的としない雑用係として

使われる理由が非常に高いからだ。



ましてや裏路地で勧誘なんて闇パーティですよって言ってるようなもの。

何が最強パーティ、レスエトラスビレントよ、聞いたこともない。



馬鹿馬鹿しい。



募るイライラを抑え長い裏路地を歩いていた矢先。

何者かの気配に気づく。



上から炎系の魔法があたし目掛けて飛んできた。



魔法!?



慌てて回避する。闇パーティの襲撃か、、

もしかしてさっきのあいつら・・・!



屋根の上から黒服の男が4人、飛び降りてきた。



あいつらじゃない、、裏路地ってこんなに危険だったんだ。



『ねーちゃんかわいいねぇ。ちょっと俺たちと遊ぼうぜぇ』



典型的なセリフとともに男が近づいてくる。



闇パーティは普段身を隠している為、装備や武器からランクが計り知れない。

ただでさえ1対4なのに、あたしより強かったら。



さっきまでの試験とは別の緊張感が走る。

短剣を相手の方へ向けるも手が震える。



『まてまてまてまて!』



すると聞き覚えのある声が聞こえた。

さっきのポンコツ3人組である。



エリン『あー、レス・・・エタラ・・』



ラピス『レスエトラスビレントだよ!!』



黒服『なんだぁ、お前ら、同じ闇パーティ同士仲良くしようや』



ラピス『僕たちは闇パーティなんかじゃない!お前らと一緒にするな!

僕はこの子を助けに来たんだ!』



エリン『なっ、、こんなの自分でやれる!』



ラピス『君には無理だよ、下がってて。』



さっきまでとは違う冷たく冷静な声。



ラピスの表情が一瞬にして戦いの目に変わっていた。

あたしはそれに圧倒され何も言えずにいた。



ラピスが無言で手を前へ出した。

魔法の詠唱でも始めるのだろうか。



黒服の男はラピスに切りかかろうとする。



エリン『危ない!』



あたしが助けようとした瞬間、黒服の男がぶっ飛んだ。

あたしには何も見えなかったが、確かにラピスが手を出した方向へ吹き飛んで行った。



『なんだこいつ・・・!?このっ!』



もう一人の男が今度はラピス以外のメンバーを狙う。



他のメンバーも、まるで魔法の軌道がわかっているかのように

あっさりと魔法を避け、男の腹に一発パンチを入れた。



静まる路地裏。

男は腹を抑えばたりと倒れた。



『やべぇこいつら!逃げるぞ!』



倒れた2人を抱きかかえ、あとの2人は慌てて逃げて行った。



ラピス『僕1人で十分だったのにさ』



なにこの人たち、本当に最強パーティなの、、

いつの間にかあたしは魅入っていた。



その戦い方や、冷静さに。

最強に近いランクであることは間違いない。



心が揺らいだ。このパーティなら、

このパーティに入れれば、、



ラピス『大変だったね。大丈夫かい?』



エリン『うるさい、別に襲われてないし』



ラピス『僕たちの戦いどうだった?

もう一度君にチャンスをあげる。

今なら僕のパーティに入っていいけど。』



その言葉があたしの中に重く響いた。

さっきの戦いが目に焼き付いている

冷静ではないあたしは、悩むことなく、決意するしかなかったのだ。

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