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福島 さざえ堂

 福島県の会津若松の飯盛山に、さざえ堂という一風変わったお堂がある。堂内に二重の螺旋階段があって、これを登って行くと、ご本尊に会えるというもの。こうしたさざえ堂は東京の目黒の五百羅漢寺にもあったらしい。これは要するに、ご本尊の周りを三周して礼拝するのが最も丁寧な礼拝だとされたことから、このような二重の螺旋階段を登って礼拝して降りるだけで、自動的にこのような礼拝が行えるということで始まったのだという。



 飯盛山で白虎隊の墓を見る。悲劇というものを知る。ただこの悲劇が歴史を大きく動かした訳ではない。先生はこの悲劇を歴史学の研究のテーマとして重くは見なかった。それでも、白虎隊好きの女子生徒はこれを卒業論文に選んでいた。政治的に、または社会的に波紋を投じた訳ではないが、人々の心に響き続けた悲劇というものがそこにあった。若くして死ぬことのその中に、その後の日本人の辿った多くの歴史的悲劇を見た。

 ただ僕は雪で滑って転落しそうだった為、そのような感慨に耽る余裕は、その時まったくなかった。群馬県出身の友人は雪には慣れていると豪語していて、確かに雪の上を滑るように歩いて行った。

 僕は会津に行ったら、勝常寺にも行きたかったし、立木観音も一度見たかったが、何しろ時間がなくて、そうもいかなかった。群馬県の友人と一緒だったこともあって、お寺めぐりは控えて、鶴ヶ城と飯盛山と喜多方をのんびりと過ごした。

 僕はその時、相変わらず頭の悪いことに「赤沼家の殺人」という長編ミステリー小説を投稿したことに浮かれていた。作品が完結したことで、スマホを出しては再生数ばかり気にしていた。これを執着という。

 ただ喜多方へと電車に乗っている最中の、真っ白な雪景色はとても美しかった。関東に帰ってから、山形県出身の友人にその雪景色の美しさを語ったら、その友人は苦笑いを浮かべて「ああ…積もってるよ……としか思わない」と言っていた。

 確かに雪景色も三日目となると、少し嫌気が差してきた気がする。三日間は雪が降り通しだった。

 この旅行で、特に美味しかった食事は、喜多方ラーメン、会津ソースカツ丼、天ぷら饅頭、ピーナッツのアイスクリームだった。食べ比べした訳ではないから、どこをお勧めできる訳でもないし、宣伝になってしまっても何なので、今回は店名は控えるが、私が食べたお店はどこも人気店で、とても美味しかった。

 仏教に関係する話を、と言われると特に思いつかない。今回のエッセイはそれほど仏教でなくても良いだろう。



 豚骨ラーメンが人気の昨今であるが、喜多方ラーメンを食べると思い出す、そうラーメンは醤油(とは言っても喜多方ラーメンにも豚骨ベースのものはある)。麺はプリプリしていて弾力があるちぢれ麺だ。スープは少し酸味の効いた透明感のある醤油味(豚骨味のものもある)。こってりな豚骨ラーメンとは違う、清純派なラーメンだと思った。

 勿論、私は豚骨ラーメンブームが悪いと言っているのじゃない。ただ豚骨ラーメンというのは、何から何まで味が濃くてこってりしている。それに比べて、醤油ラーメンはなんだかすごく清純派なキャラクターなのだと思った。

 ちなみに豚骨醤油の和歌山ラーメンは大好きだった。ゆで卵とお寿司を食べながら、あのまろやかで上品な和歌山ラーメンをすすった。美味し。

 喜多方ラーメン、どうしても食べたかったものだから、二軒梯子してしまった。一軒目の方が繊細な味で、二軒目の方がはっきりした味をしていた。どちらも美味かった。

 ……美味しいことは良いことだ。

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