5/5
ステラレナイ
あの有名な錬金術師さんも驚くような機械の手足。
今まで皮膚から得ていた感覚情報の突然の消失は思っていたよりも恐怖が大きい。
何よりこうなった理由に底知れない怒りを感じた。
「すまない。」
そう呟いた男は俺がぬぐえなかった涙をそっとぬぐうとそのまま扉の外へと姿を消した。
「ははっ。」
掠れながらもようやく出てきた声は乾いた笑い声だった。
身体はまだ動く気配すら見せてくれない。
(当然か、)
「俺の身体はなくなったんだもの。」
声に出てしまったことで更に実感が深まる。
もうないのだ、あんなに一生懸命ステップを練習した脚が。
あんなに鏡を見て振りを研究した腕が。
あとすこしで夢へと駆けていけた脚が。
あとすこしで夢の欠片をつかむことができた腕が。
俺のものだった手足があるべき場所にはもう冷たい、血の通わない機械に占領されているのだ。
「いっそ、いつそのことなら」
殺してくれればよかったのに。
そう言おうとしたのに言ってしまえば現実になってしまうようで言えなかった。
こんな身体になっても俺は命が捨てられない。




