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灼熱の紋章を持つ王子  作者: 雪乃
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二分化と結託

王子なら、社交界や繋がりが必ずある筈。

況してや英雄と謳われたアレクスの次男なら、貴族達は挙って集まるだろう。



「・・・俺、貴族達とすっっ・・・っごく折り合い悪いんだけど」


「・・・え??」


「話してると嫌味と自慢の連続にイライラする!!握手なんかした日には最高にイライラし過ぎて思わず力入り過ぎる、ちょっとスッキリするよな!?」


「俺に同意を求めるんじゃねえよ!?んなの知らねえし!!俺は庶民出身だよ!!」


ディラは調子を崩される。

な、何なんだこいつ。本当に王族かよ!?

寧ろ庶民の方に近いような・・。


「アッハッハ!!?あんた本当に王子!?」


レヴィンの背中をバシバシ叩くアイリーン。


「よく言われる」

「だろうな・・・」


今まで沈黙を守っていた3人の内、年長者であろう一人が重い口を静かに開く。


「ならば用済みだ、始末するとしよう、こいつはアグニ様を封じた憎きアレクスの息子。息子の死体をアレクスに送り付けてやるとするか」


スラッと鋭利な刃を煌めかせ長剣を抜く。

熟練であろう男の瞳からは強い憎しみの念を放ち、落ち着いているが氷の様な冷たい殺気を纏いレヴィンの首筋に刃先を当てると、背筋が凍るような冷たさが伝わって来る。


「まあまあ、夜叉。落ち着いて・・・レヴィンを殺しても父が蘇る訳じゃないよ、それに王族である以上利用価値は充分あるよ」


「インフェル・・・何を考えている・・・。本気でアレクスの息子のこいつと手を組む気か?」


「復讐するなら殺すよりまだ生かして置いた方が有効じゃないかな??」


「どっちが夜叉だか・・好きにしろ。だが俺は金輪際こいつもお前とも手は組まんからな、あの日を思い出して胸糞悪い」


夜叉と呼ばれる男は吐き捨てる様に部屋を出て行った。それに続き口を閉ざしていた2人も後について出て行く。


あの3人とインフェルはあまりソリが合わないのだろうか。 二分化してしまったインフェル側と夜叉と呼ばれる男の側には何やら只ならぬ事情がありそうだ。



「やれやれ、騒がせたね?彼等は僕の父を崇拝していたからね、君の父君の事が許せないんだろうね」


「お前は??俺の父親が憎いんじゃ無いのか??」


「さあ、どうかな??それより話の続きしようか??ディラもアイリーンも座ってくれ」


やはり、自分の事は語りたがらないインフェルに首を傾げつつ、腰を下ろす。


正直さっき部屋を出て行った、3人がいなくなりホッとする。鋭い殺気がビシビシ伝わって来ていた。

こちらの3人も得体の知れない人間に変わりは無いのだが、部屋を出て行った奴等よりは遥かに気が楽だった。


・・・まあ、インフェルの場合は何考えてるかよく分からないが。



「それでねレヴィン。話を戻すけどさ君にはとある貴族を誘き寄せて貰いたいんだ」


「・・・そいつは誰なんだ?」


「この人だよ、知ってると良いけど」


インフェルはパチンと指を鳴らすと火の玉がボッと燃えテーブルの上にフヨフヨ浮き、その中に映像が流れ出した。


そこは誰かの自室の様だ・・男は額を押さえ項垂れ俯き、目を伏せていた。

その横顔は心なしか顔色も悪く、覇気がない様にも見える。


レヴィンにはこの部屋に見覚えがあった。それにこの後ろ姿にも、壁に立て掛けてある剣にも覚えがあった。


「アッシュさん・・アッシュさんだっ!?」


レヴィンの幼少期、城で兵士達の指導者でもあった確かな剣の腕を持つ男。レヴィンはアッシュに剣の基礎を習った。兄の様な存在で優しく強い人だ。



「知り合いか、これはラッキーだな」


火の玉を消し映像も一気に消え去ってしまった。

元気が無かったみたいだったが、何かあったのだろうか。最近城にも全く姿を見せてくれないし・・・。

何かインフェルが目を付けたのと関係あるのだろうか??


「こ、この人は貴族だけど良い人なんだ、お前らこの人をどうする気だよ!?内容次第じゃ協力なんかしないからなっ!?」


「この人は力に蝕まれているんだ、この人の力の暴走を止める様頼まれてる」


「頼まれてる??」


「まあそれは置いといて、君も先手を打ったから良かったものの、この人は今最終段階にまで来ている。今にも力の暴走で爆発しそうだ。暴走してしまったら、始末しなきゃならない。助けたくないのか?レヴィン」


アッシュさんを助けたい、答えは決まっている。


「ほ、本当にアッシュさんを助けてくれるのか??し、信じても良いんだよな?インフェル・・・」


「僕は頼まれた事を遂行するだけだよ」


「や、約束してくれ。絶対に助けてくれるって!!」


ディラとアイリーンは顔を見合わせる。

あの飄々とした王子がこんな必死になるなんて、余程大事な存在なのだろう。


「・・・約束しよう」


「し、信じるからな!?その言葉忘れんなよ!?インフェルとアイリーンにディラだったよな?きょ、協力する」


「ありがとう、レヴィン」


インフェルは笑顔で手を差し出す。

半信半疑だったがレヴィンはその手を取る事にした。




































































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