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柿音 月華

新キャラ追加。気がついたら男中心に書いてしまう悪癖がいつ発動しないかハラハラしてます(笑)

智癒さんに連れられた先はサンクリーム通りから10分ほど離れた先にある普通の一軒家だった。

ここが...智癒さんの家...!!


豪邸という訳でもなくボロ屋というわけではない。いわゆる元の世界でみられた普通の家ってやつだ。

こんな家を見てしまったら元の世界の実家のことを思い出してしまう。

まぁもう元の世界におれは未練があるわけじゃない。

ただ本当の催眠術師になりたいだけだ。

元の世界のことなんてわすれろ!!


「どうしたんですか?」


もしかしたらおれが不可解な表情を浮かべていたのかもしれない。

心配そうに智癒さんはおれの顔を覗き込んでいた。


「いえいえ!なんでもない!なんでもない!さぁいきましょ!いきましょ!」


「あっ...!あと一ついいわすれていたことがあったんですけど実はこの世界で1年ほど前に来た子も一緒に居候してあげてるんだけど仲良くしてくださいね?」


「男?女?」


おれはもう真っ先にこの質問が思い浮かんだ。そりゃそうだ。一緒に同居するのがむさ苦しい男かかわいらしい女の子だったら真っ先に後者を選ぶに決まっている。

それに...催眠術ができたらHなこともできるしね!!!


「女の子ですよ」


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


今世紀最大のガッツポーズ。女の子二人と同居なんてまさにこれなんてギャルゲー?


「ちょっと口下手なこだけどよろしくお願いしますね」


ふむふむ..無口系ってやつか。いいぜ..!いいぜ...!

全然嫌いじゃない!むしろ好物だ!


「全然好....ちがった。全然大丈夫!!」


「そうですか?じゃあ家に入りますね?」


智癒さんはインターホンを鳴らす。

ピンポーン

誰もが一度は聞いたことのあるような音を鳴らす。

すると、階段を下りる音がした後少したってからドアを開かれる。


「智癒!!おかえり!」


「ただいまです。月華ちゃん」


ドアを開けた女の子は、智癒さんを見つけた瞬間最大級の笑みを浮かべていたがおれを見た瞬間この世の終わりみたいな表情に変わってしまった。


「..............この男は?......」


「それがまだ今日この世界に迷い込んだらしくて...かわいそうだから居候させてあげようかなぁって思いましたの...」


「............またか........」


月華と言われた女の子は先ほどドアを開ける時の笑顔はどこにいったのやら。

すっかり落ち込んでしまって部屋の方にトボトボと帰っていった。


「月華ちゃんは私が男の冒険者を居候させるといつもこうなんですよ...根はとてもいい子なんで優しくしてあげると助かります..」


「いえいえ!おれでよければ!!」


だが、おれは挫けたり凹んだりしない!

なぜなら.....かわいかったから!!!!


青色の髪の毛がひらりと揺れ胸は小柄だがウエストも抜群。智癒さんとは違い背も小柄で思わず守りたくなってしまうような子だ。

こんなかわいい子に出会ってしまったんだ!

おれはこんなことでへこまないぜ!


「この世界は夜の夕食の時にしましょうか。それまでは奥から2番目の部屋が今日から眠くんのお部屋だからそこを自由につかってください」


「わかった!ありがとう!ところで..月華ちゃんはどこの部屋?」


「月華ちゃんの部屋は奥から一番目ですよ」


よしっ!おれは自分の部屋にカバンだけおいて早速月華ちゃんの部屋に向かうことにした。

智癒さんのときみたいに仲良くなれるような選択肢があるはず!それでとりあえず仲良くなるぞ!エロいことするのはそれからだ!!


「失礼しまーす」


おれは コンコンとノックをして月華ちゃんの部屋に入る。

....いた!!部屋はあまりさっき紹介された部屋と変わらない。余り部屋をいじったりはしてないのだろうか?


「......なに?」


「いやいや。仲良くなろうと挨拶にね!」


おれはポケットにいれた紐にぶら下げた5円玉を取り出し月華ちゃんにむけて揺らした。

その瞬間、月華ちゃんの目が虚ろになり時は止まる。月華ちゃんも眉ひとつ動かさない。

時間停止のビデオならなぜか主人公は動き放題のはずなんだが、おれも動けない。


選べ!!

そして頭の中に選択肢を浮かび上がる。


1 さっさと帰らないかしら

2 早くこんなやつ、いつもみたいに家から追い出さなきゃ

3 殺す


なんじゃこりゃ!!?いい選択肢が一つも浮かんでこねぇ!しかも3に至ってはもはや殺意にまで昇華しちゃってるし!!

こういう選択肢が浮かび上がるということはおれと仲良くなりたいという気持ちが微塵もないからなのだろう。

3...2...1....

時間がもうない!まだましな選択肢にしなきゃ!


「1番!!!」


そして止まっていた時間が再び動き出す。


「.........そう....」


月華ちゃんはまるでおれに興味がないかのように読んでいた文庫本に手をかける。

だが..ここで引くなんて男じゃねぇ!


「なぁ..月華ちゃん...」


「.......月華ってよぶな....」


「え..今なんて..」


「月華ってよぶな!!!」


こんな小さな身体のどこから声を出してんのだろうと思うぐらい大声をあげた。


....もしかして地雷踏んじゃった??


「......智癒以外の人にその名を呼ばれるのは好きじゃない...私の名前は 柿音かきね月華げっか。柿音でいいわ。まぁ智癒狙いの男なんてそのうち消してあげるけどね..」


こわっ..!!


「わ....わかったよ。柿音。柿音は智癒さんのことが好きなのか?」


さっきから聞いてるともしかしてレズビアンという説も浮上してきそうな話し方だ。


「.............................」


もう、それ以降は一切口を聞かずに本のほうに集中していた。

もうこれ以上話すことはないということだろう。

ここは一旦引かざるをえないな...


おれは、柿音の部屋から渋々退散し、それから夜の夕食の時間になるまでブラブラと過ごしていた。


「眠さん?夕食が出来ましたよ!」


よっしゃ!待ってました!!

智癒さんの料理が楽しみだった上にわからないことだらけだったこの世界のことについても知れるし、うまくいけば柿音との好感度も上がるかもしれない!

この一石三鳥にもなりそうな機会逃してたまるか!!


おれは慌てて自分の部屋から出て食卓に向かった。


そこには一目見ただけでおいしそうと思えるような料理が並んでいるのであった。

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