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夜鬼


「ぼ・・坊主!!?その剣を手に入れたのか?数多の猛者達が抜きにこの地まで訪れてついに誰も抜けなかったこの剣を??」


店主に浮かんだ感情は、混乱。

恐らく、店主は歴戦の猛者とは到底思えない俺なら抜けまいと踏んでいたのだろう。

自分の武器の商品に欲しいものがないと言ったから少しお灸を据える気持ちでここに連れてきたのだろう。


「たしか・・ただでいいっていったよな?」


俺は剣を片手に不敵に笑いながら確認する。


「くそっ・・これなら、金をふんだくっといておけば・・」


「なんか言ったか?」


「くっ・・なんでもねぇよ!!持ってけ泥棒!」


持ってけ泥棒なんて久々に聞いたな・・

なんて、くだらないことを考えていたら手でしっしっと追い出されるように武器屋を追い出された。


まぁ、でもこんな武器が手に入ったんだ。


「お前は本当に強い剣なんだよな?」


当たり前だ!!俺は、空が愛用していた剣であり神殺しに最も近い剣とまで賞賛されたんだぞ!!それをあの野郎・・夜鬼は自分がおれを使えないとわかるとこんな所に置いておけねぇなんて言って地面ごとくり抜いてわざわざこんな田舎の武器屋に送りつけやがったんだ・・


「俺が仇をとってやるよ。俺だってあいつにはムカついているんだ」


智癒さんに悲しい目に合わせた。それだけで今の腐りきった団を潰すぐらいはしないと気が済まない。


「お前には意思があるんだろ?俺は剣術とは無縁だ。だが、身体を動かすことぐらいなら出来る。俺の身体を使えよ化け物。」


・・剣術とは無縁な男が、よくそんなでかい口が叩けるもんだぜ。

だが、貴様の身体を使わせてもらおう。


「・・眠くーん!!!」


遠くから、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。このソプラノのような声でいて優しい響き。

聞き違うことなどない、智癒さんだ。後方を見ると皆揃っているようだ。


「みんなは武器買えたか?」


「はい、もちろんです。眠くんは・・って・・・・え???」


智癒さんは瞬きを瞬間に何度も繰り返す。


「・・その・・剣は?」


智癒さんは恐る恐る疑問を口に出す。

本当であって欲しいがそんなことあるわけないと声色で語っている。


「これは、空洞寺空の剣、インテンションだ」


「「ええっ!!?」」


智癒さん以外はそのような剣とは全く思っていなかったのだろう。

驚嘆といった表情で俺の剣を見つめた。

ただ・・智癒さんだけは違った。

智癒さんはもう気づいてしまったのだろう。

智癒さんの綺麗な瞳に一筋の線が浮かぶ。・・涙だ。


「嘘・・!?だって・・。ありえない、ありえないです・・その剣は・・あの人の・・なのに!」


「嘘じゃないよ。俺がこの剣を引き継いだんだ。」


智癒さんはただ一点、俺の剣の方向だけを見てそのまま何本もの線を作った。

これからは、この剣で空の代わりに守るんだ。


「その剣は普通の人には使えないはずなのに・・眠くんは・・本当に凄いです・・本当に・・本当に・・!!」


ー....ー....ー....ー....


ーーここは神殺しの神殿の奥にある城。夜鬼の城だ。その中央の金で塗り固められた部屋の主、夜鬼 がいた。 電話が鳴る。

発信場所を確認するとあの忌々しい剣を封印した小さな武器屋からであった。

受話器を上げるなり、店主の男は血相を変えたように話し出す。


「・・夜鬼様!!あの剣を抜くものが現れたのです!!」


「インテンションをか・・?」


このぼくにも抜けなかったあの剣を抜くものが現れたというのか。


「一体どんな奴だ?」


「はい!!高校生の様な見た目で特に筋肉などをついてなくいわゆる普通の一般人のようです。・・こんな男が抜くなんて思っても・・」


普通・・つまりただの凡人があの剣を抜いた。

ありえない・・絶対にこんなことあってはいけない。


「消せ・・今すぐ部下を向かわせる」


「は・・はい!!」


ツーツーと、機械音が響く。

店主は受話器を切った。


許さない。あの剣・・団長の剣を奪った奴がいるだと。


「あいつらを集めろ。」


「はっ!」


召使いが慌てて俺の命令を実行する。


僕は部下の中でも優れた部下の5人を呼んだ。


「なんの御用でしょうか」


部下達5人はものの1分足らずで集まった。

この城は広い。普通の家の100倍近くの広さはあるといっても過言ではない。

そんな中を1分足らずでここに集まって誰一人汗ひとつかいてない。


「お前らの一人・・そうだな・・花月。至急フラム村に向かいインテンションの持ち主を殺して奪え」


「はっ・・!」


出る杭は打たれる。打っておかなければならないのだ。

その男・・花月はフラム村に向かった。恐らくあいつなら10分くらいで着くだろう。

インテンション・・この僕に楯突いた剣。

気に入らない。

あの剣が存在していることが。

今度は壊してやる。

僕の手で。

原型を残らぬまま壊して、団長の亡霊を殺してやる。



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