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その剣の名はインテンション


「俺を強くしやがれ!!!」


俺は剣を力の限り引っこ抜く!

・・・だが、抜けない。


まるで、剣がお前のような者に抜かせるか。そう語りかけているようだ。


やはり、俺には守ることなど出来ないのか。

催眠術の様なふざけた能力の持ち主では・・・・


ん??催眠術??


催眠術の能力は、意思のある対象物に選択させる能力。

今までは人ばかりであったが、何も無形物=使えない ではない。


意思がないのだ、無形物には。

それにより使うことは出来ない。


俺は先ほどの記憶を辿る。

あの髭面のおっさん店主はどのような発言をしていたか。


この剣・・インテンションは意思がある。

・・意思がある???


意思があると言う事はもしかしたらおれの催眠術が活かされるのかも知れない。


可能性がかなり低いが試して損はない。

俺は、カバンから常備している糸に吊るされた5円玉を取り出すとインテンションに向かい掲げる。


そして左右に5円玉を揺らす。

ユラリユラリ・・

時間はゆっくりと流れていく。

その動きを断ち切る!


・・時が止まった。

ここまでは予想通りだ。後は、インテンションに意思があって選択肢が現れるかだけだ。


その刹那、脳裏に浮かんで来たのは選択肢。


選べ!!!


頭の中から聞こえてくる。

成功だ。剣には意思がある武器が存在したのだ。

だが、歓喜で終わってはならない。

この剣を抜く事で、初めて意味を持つ。


1 何人なんびとたりとも我が剣は抜かさん!!!!


2 でも、最近拒むの疲れてきたし誰かに抜いてもらいたいなぁー


3 あ??てめぇ、誰に手を触れてんだわれ?天下のインテンション様に楯突くとはいい度胸だなぁ?


もう、こんな選択肢決まっているに等しかった。

1と2と3でこいつ性格変わりすぎだろ、それにしても。っという疑問は飲み込んで俺は素早く口にする事にした。


「2番!」


そして、時はゆっくりと元に戻っていく。

目の前で刺さっているのは剣。

だが、誰かに抜いてもらいたいと思っている剣だ。

俺は、この剣に選ばれた勇者なんかではない。

この剣を使い無双出来るとは思えない。


少し、ズルをしてでも守りないものがある。ただ、それだけだ。


俺は剣の柄に手を近づける。

・・一気に握って俺は力の限り剣を引き抜く!


「抜けろォォォォォォ!!!!」


何年もの間、幾度の挑戦者がこの剣を抜こうと集まった。

団長の持っていた剣、それだけで古今東西あらゆる猛者達がこの剣を求めてこの地に訪れたという。


・・だが、誰一人とて抜けなかった。

この剣が使われることを拒んだんだ。


だが・・時は流れ1人のインチキ催眠術師が剣を手に入れるのだ。


・・剣は抵抗を止め、地面から解き放たれる。


・・これが、インテンション。

見た目は普通の剣と遜色ない。

だが、不思議とこの剣の強さが伝わってくる。


・・おい、相棒


「・・ん?」


頭の中から声が聞こえる。

おかしいな、催眠術はもう解いたはずなのに。


おい!!相棒!!聞こえてんのか!


「うおっ!?」


俺は剣の事を見る。

もしかして・・剣が、俺に話しかけているのか??


「あぁ、聞こえてるよ。」


はたから見れば剣に話しかけている痛すぎる奴かもしれないと思ったがそんな事を言ったって後の祭りだ。


聞こえてるなら、いい。今日からお前は相棒だ。誰にも抜かせねぇと思ったのに何故か気が緩んでしまったぜ。相棒!貴様の望みは!?


「そいつは、災難だったな。望みか・・神様ぶっ殺して今のSOLAの団長をぶっ殺す。それだけだ。」


・・さすがに催眠術の件は避けといたほうがいいだろう。

下手をすれば契約を切られる可能性だってあるのだ。


・・いいじゃねぇか!俺もこんな場所で放置した夜鬼は許せねぇ!!あいつをぶっ殺す。その為だけに俺は再び戦場に戻ってきたんだ!


どうやら、この剣は血気盛んなお年頃らしい。

やぁねぇ、最近の若い子は。

と、老人染みた発言をしてしまう前に俺はかけ出そうとするとおそらく店の方に帰っていた店主と遭遇した。


「どうだ、坊主?やはり、この剣を抜くことは無理か。まぁ、こんな剣抜ける奴の方がどうか・・・・し・・・・・・て・・・・?」


話しかける最初の辺りは顔に慰めのような表情であったが、見る見る驚愕の表情に変わる。

話しかけている途中に、俺が手に取っている物に気がついたらしい。


「う・・・・・・嘘だろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」


店主の衝撃は恐らく店中に響き渡ったであろう。これ、店主自体が引き起こす営業妨害じゃね?

とか、つまらない事を考えていたのであった。


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