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VSナーク

「キシャァァァァァァァ!!!」


あの、思考回路が大学生の鈴モンスターたちがヤクザを呼んだようなもんだよおい。


あれは、もう間違いないだろう。

上半身は普通のモンスターのような見た目だが下半身はとぐろをまき異様な長さだ。

蛇型モンスター、ナークだ。


助けを呼ぼうにもあの単細胞で変な口調のバカと無口バカは別の場所で狩りを楽しんでいる。

携帯電話なんてもってのほかのこの異世界。


「な・・ナークです・・」


智癒さんも全身を震えさせ恐怖の色を隠せない。

このまま、ナークによっておれたち二人が死んでしまうのは目にも見えている。

まともに闘える相手ではないのだ。


ええい、このままやられるぐらいなら!

おれはカバンの中から糸につるされた5円玉を取り出す。

このまま、やられるぐらいなら少しでも足掻いてやる。

もしかしたら、逃げてくれるという選択肢があるかもしれない。

おれはその僅かな可能性に賭ける。


ナークは勢いよくおれに襲いかかる。

その瞬間おれは5円玉を左右に揺らし時を止める。


時を止めてナークを見るとその勢いよく放たれた首がもうおれの顔と目と鼻の先まで近づいているのが見えた。


こ・・こぇぇ・・・

恐怖で足が竦みそうになる。俺も止まってるから実際には動かそうと思っても動かないけど。


この極度の緊張状態のまま、一番ましな選択肢を選ばなきゃならないんだ。

汗がほとばしる。


選べ!!!


1 殺してやるゼェェェ!!!

2 コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス

3 この首でてめぇの身体ごと吹っ飛ばしてやるぜ!!


うん、まともな選択肢は期待していなかった。

そりゃそうだ。

こんなに殺意剥き出し単細胞バカ生物がここらへんで勘弁してやるぜ・・

なんてセリフを残すとは思えない。


1もアウト、2も狂気を感じられるからアウト。

3か・・・・


まだ、吹っ飛ばされるくらいだけなら生存率も上がるはずだ。

ただし大怪我は間違いないしその上、そこからの案があるのか?と聞かれたらはっきりとないと答えるしかないだろう。

だが、この選択しかない。

少しでもましな選択を選んでいく。

おれには、それしかできない。

自分で闘う術を持たない男の唯一の対処法。


催眠術の活用法さ・・


「3!!!!」


おれが、その選択を叫んだ瞬間、再びときは動き出すのだ。

状況を確認・・目の前には首でふっとばすであろうナーク。後ろでおれの名前を必死で呼ぶ智癒さん。そして、吹っ飛ばされるのを棒立ちで見ていることしかできない・・

おれだ・・


「キシャァァァァァァァ!!!」


ナークは自慢の首で俺の身体ごと吹き飛ばす。

まるで、おれの身体はスポンジのように吹っ飛び、木と木の間を何本もすり抜ける。


「いてぇじゃねぇかよ・・・・」


死んではいない・・死んではいないがもう身体は限界だ。

立つのもままならない。

あと一発ナークの赤くて長い舌でデコピンでもされたらおれの意識は吹っ飛んでしまう。


「眠くーーーん!!!」


慌てて智癒さんはスポンジの吹っ飛んだ俺の元に駆け寄る。

後ろからナークが追いかけてくる。


智癒さんはおれの元までかけよる。

手に光りを帯びる。

回復魔法・・

だが、ナークはもうすぐそばまで近寄っている。


「智・・癒・・さん・・俺のことは構わずいってくれ・・」


おれは消え入りそうな声で、月並みなセリフだけど智癒さんにそう呼びかけた。

今ならまだ間に合う。俺のことなんてほっといて全力で逃げたら智癒さんだけなら助かる。


「嫌です!!!今ここで、眠くんをおいていくぐらいならこのままナークと戦った方がましです!!!」


智癒さんがおれが言うことなんて気にもかけないように手に光りを宿し、その力がおれの身体に吸い込まれていく。


「 天使の休息エンジェリックキュアー!!!」


その光はまるでおれの身体全てを包み込むように。優しくそしてなによりも温かい光。

身体の奥底から満たされていく感触。

回復というのはこういうことをさすのだ。

あばらを何本かいってまともに歩くことのできない身体が癒されていくようだ。

身体の全身から回復していく、ずっとこの光を浴びていたい・・



だが・・・

すぐ、後ろにはナークの影。


「智癒さん!!後ろ!!」


おれの声に驚き、智癒さんが後ろを振り向いた瞬間もうナークは攻撃を仕掛けようとふりかぶっていた。


終わった・・あばよ・・異世界。


おれと智癒さんは思わず目を瞑る。


・・・・・・・???


あれ??襲ってこない??


おれと智癒さんが目を開けた瞬間、そこにはナークとおれたちの間に巨大な一枚な壁ができていた。


「・・智癒・・大丈夫??」


俺たちの絶対絶命のピンチを救ったのは1人の小さな女の子。

綺麗な青髪がひらりと舞いその小さな手から巨大な結界を作り出しおれたちのナークを隔てた。


「か・・柿音!!?なんで・・!!?」


少なくともここからさっきまでの距離は結構あったはずだ。それにここは林のど真ん中、到底探して見つけられるような場所ではない。


「・・智癒の・・声がした・・・・」


もう、さすがの声しか出ませんわ。

少し叫んだだけであの距離ならこの場所まで察知して一瞬で来たのだ。


「君には、クレイジーサイコレズという名誉ある称号をプレゼントしてあげよう」


「・・???」


よく、意味がわかってないらしい。なら、まぁいいや。説明するようなことではない。


「それより・・この結界はあと30秒ほどで消える・・・・」


なに!!?


「それに・・この結界は・・MPを激しく消費するので一日3回しか使えない・・うえに・・・・一度使うと・・・・10分のインターバルが・・・・必要」


「え・・じゃあ今すぐ逃げないと!!」


もう、智癒さんのおかげで足は回復していた、今すぐにでも走り出せる。


「・・・もう・・・むり・・」


さっきまで、頑丈に完璧に守られていた結界はいとも簡単に脆く崩れ去った。


ナークは、もうさっきまでおあずけを食らった状態で怒りをピークに達してしまっている。


終わった・・

せっかく助かったと思ったのに・・


どうせ死ぬならエロいことしてから死にたかった・・



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