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モンスター退治

主人公の初モンスター戦ですよー(小声


「み・・見つけた!!!」


人間なような見た目だが全身青色で尻尾付き・・

これはザハッグだ!!


おれの催眠術の見せ所だぜ!


おれは糸に吊るした5円玉を取り出し、モンスターの目の前で揺らす。


その時、目の前のモンスターも風もその他の生き物も時が止まる。


さてさて・・まぁ、お金置いて逃げるとかの選択肢があればいいけどな・・


1 戦う

2 こうなったら、逃げるぜ!

3 あいつの身ぐるみ剥いでリサイクルショップに売り飛ばしてやるゼェ!!


うん、3はまず論外。

妥当な案としてはやはり2番であろう。

1番も自分の実力を図るならもってこいだろう。


だが、いかんせん肉弾戦になるとおれが勝てないのは目に見えてわかる。

おれは別に、格闘技やっていたり前世が最強の勇者でその時の記憶があるとか、弓道やってただけで無双できるわけでもない。

ただの一般高校生レベルの実力だ。

モンスターになどかないっこないのだ。


そうこういってる内に、時はすぎる。もう少しで全ての時が動きはじめる。


「・・・・・・2!!!!」


こうなったらやむを得まい。おれの実力が発揮されるのはあれだな。

物語の後編からだな。美人の師匠かなんかに弟子入りして、その1ヶ月後ぐらいに現れて無双するとかだな。


止まった時間は動き出す。草や木、風までもさっきまでの時間などなかったかのように悠々とそよぐのだ。


「キシャァァァ!!・・・・・・?キシャァァァ!!」


ザハッグは俺を一目みると、急に反対の方角にむけて一目散に逃げていった。


「モンスターが逃げるなんて・・すごいです!さすが眠くんです!これが、眠くんの能力なんですか?」


その一部始終を見ていた、智癒さんはおれに問い詰めるように好色めいた眼差しでおれを見つめる。


「ま・・まぁ??そういう感じもあるかもね???」


たしかに、そういうことは選択肢によってできないこともないのだ。

嘘はいっていない・・嘘は・・


おれは、罪悪感という名の獣に押しつぶされそうになったがここで全てをさらけ出したとき冒険が終了するという可能性があることを否定できはしない。


「さすがです!眠くん!」


もう、なんか例のお兄様の如くやることやること全てが褒められる感覚だ。

これは・・・・最高にいい。

実際やってることはインチキ催眠術なのだが、実際にシステム上出来ることは不可能なエンカウントしたモンスターから逃げるという

技も披露してみせたのだ。

おれは、美人から褒められると鼻も下の鼻も伸ばさずにはいられない性格だから調子につい乗ってしまうのだ。


「ならば、あれから逃げましょう!」


俺から、指をさした場所は木が生い茂る林に潜むモンスター、チャイムだ。

鈴の形をしており図体もザハッグに比べると小さくぬいぐるみ程度の大きさだ。

見た目もキモさが全面にでる今までのモンスターとは違いまるで遊園地の人気マスコットキャラクターだ。


まぁ、あいつなら楽勝ににげられるだろう。


おれは、意を決して林の中へ智癒さんと一緒に入る。

木は生い茂り下は湿気が強い地面で少し靴が濡れてしまった。

辺りを見渡しながら進むとその中央、そこにチャイムはいた。


合計で・・1・・2・・3

3体だ。

まだ、こちらには気づいていない。仲間たちと自慢の鈴を鳴らしかって遊んでいる様子だ。

おれの催眠術は対象は複数でもかけることは可能だ。

だが、少し分が悪い。


よし・・逃げよう。ここは戦略的撤退だ。

茂みにみをひそめていたおれと智癒さんだったが、逃げようとジェスチャーでつたえるとなんとなく智癒さんも理解したらしい。


踏み出そうとした瞬間、足元に小枝が落ちていたことに俺は気づいてもいなかった。


「バキッ!」


「チリ・・・・??」


小枝が割れた時の独特で響く音に釣られて一斉がこっちの方角を向いた。

・・まずい!!


「ええい!ならば仕方ない!」


おれは、本日2度目である。催眠術を披露することにした。

いつものように、糸で吊るされた5円玉を取り出し、それをみんなの前で左右に揺らしてみる。


時は・・止まった。


頭の中に選択肢が浮かび上がる。一斉に催眠術をかける場合はいろんな対象の頭の中から浮かび上がるのが3つランダムに選択される。

全員同じ行動をかける事しかできないからそこに欠点はあるが。


・・選べ!!


1 うっわ・・鈴ならしてぇ・・

2 むっちゃ鈴ならしてぇ

3 むしろそれしかできなくね?


突っ込みたいことは山ほどあるがまず落ち着こう。

なんで、鈴ならすしか選択肢ねーんだよ!!!!

そして、なんでチリ?しかいえない可愛いマスコットモンスターの思考回路がいけ好かない大学生のノリなんだよ!!?


おれは、頭の中ですでに処理限界を超えた内容を無理やり整理してみる。

今回のようなことは考えられることだ。

なんせ多人数の思考回路から選択肢がランダムで選ばれるんだ。

例え一人くらいが逃げたいという気持ちを持っていても選ばれなければ意味がない。


それに・・たしかこのモンスターは思考回路が賢くはないと言っていたような・・

ザハッグのように、人型で自分たちの村があるぐらい思考回路かしっかりしていたらこんなことにはならないだろう。


ここで、恐るべき憶測に辿りついてしまった。認めたくはない。だが、認めざるを得ないだろう。


おれの能力は・・ほぼモンスターに効かない。


そりゃそうだ。人間なら常に様々な選択肢から選び抜いて行動しているからだ。

例え、ニートであろうが、アニメみるかゲームするかなど選択肢は普通の人より少ないにしろ日々選択して生きているのだ。


それが・・モンスターはどうだ。

ただ、敵が有効範囲に入ったら近づき襲う。倒されたらアイテムを落としてそのまま消える。

ただ、それだけなのだ。


・・詰んだ。人生オワタとはまさにこの事。

例え、どんな選択肢をえらぼうが奴らはあのおぞましくかわいい鈴の音で味方を集めていくだろう。


だが、この止められた世界ももう時間切れだ。


「1番!!」


その時、時は動き出す。あの最悪な時間に。


「チリンチリン!!!チリンチリン!!」


さっきじゃれあって遊んでいたような心が休まるような音色ではない。

はっきり敵意をもって味方に助けを求める。


「ち・・ちくしょう!」


こうなったら、モンスターが集まる前におれが全部倒してやる!

こいつ自体の戦闘力が本当に大したことがない。

これならおれでも勝てる!!


「智癒さんも協力頼む!」


「は・・はい!」


智癒さんも驚きはしたものの闘いなんてしたこともないだろうに必死に戦ってくれている。

本当にいい人だ。


「チリーン・・・・・」


俺の拳が見事にクリーンヒットし、チャイムは倒れていった。


「やった!!これで勝った!後は逃げましょう!智癒さん!」


「はい!!」


俺と智癒さんが手を繋いでその場を離れようとしたとき、後ろにはあの影がせまっていたのであった。


「ナーークーー!!!!!!」


神様、ほんとお前恨むわ

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