初めてのモンスター退治
いままで書きたかったモンスターの話を。
「最初の目的地としては、フラム村に向かうのが一番近いです。そこを目指しましょう」
俺たち、一行はギルドから出てサンクルーム通りから街の外に出ようとしていたのであった。
昼のサンクルーム通りは恐るべき混雑具合だ。もともと人が詰めて6人入れるかどうかの狭い道だ。そこを大勢の人が詰めて入っているのだ。
さらに、太陽の日差しも、容赦なく照らし熱中症で倒れてしまいそうなほどだ。
一刻もはやくこの通りからは抜け出さないといけない。
「フラム村ね・・okok」
「それと気をつけたいのは外に出るとモンスターがいることです」
「えっ!?モンスター!!?」
おっ・・なんだか初めて異世界に迷い込んだ実感の湧く言葉を聞いたかもしれない。
「それでそれで!どんなやつがいるの?」
「えっと・・ここからフラム村の道のりで出てくるモンスターはそれほど多くありません。かわいいチャイムっていう鈴型のモンスターからボス級ならナークぐらいですね。」
「・・・・チャイム。鈴型モンスター。・・基本的に非力。だが、危険が迫ると鈴を鳴らして周囲のモンスターを引き寄せるので注意が必要・・・・」
「柿音・・詳しいな」
「・・ナーク。蛇型モンスター。・・長い尻尾が武器で巻きつかれるとひとたまりもない・・弱点は頭の悪さと手などがないから上半身は何もできないこと・・・・」
「柿音ー。おーい。」
なんやら、柿音がモンスター博士みたいになってますよー。
しかも、説明するときの柿音は終始ドヤ顔だ。
もう、おれには柿音のキャラがわからない!!
「・・ちなみに、チャイムが呼ぶモンスターは主にザハッグ。このモンスターはこの異世界全域に出現する。・・・・人型だから少し姿形が人と似ている・・人並みの知性がありザハッグだけの村があるほど・・・・強さは地域によって違うので割愛・・」
とりあえず、柿音がモンスター博士なことはわかったよ。うん。
「ちなみに、前に言っていたお金の件ですがモンスターを倒すとよくドロップするのですよ?」
「な・・・・なにぃ!!」
それは耳寄りなことを聞いたぜ。
これでなんとか俺でも欲しいものが買えるぜ!
「いきましょう!智癒さん!もう今すぐにでも!!」
「レッツゴーなのだ!!」
剣華ちゃんはイマイチ聞いてるかよくわからなかったが元気だけは一人前だ。
俺たちは必死にサンクルーム通りの人混みをかわしつづけること30分。
ようやく、出口が見つかったのだ。
「いよいよですね・・」
「あぁ・・あばよ。おれの始まりの街サンクルーム通りよ」
「ではでは、出発なのだ!」
「・・・・いこう・・」
門を出ると、そこにはまさしく異世界が広がっていたのだ。
どこまでも見える大自然。
俺たちの世界ではありえないモンスターもちらちら見える。
まさにここは未知の世界。
おれの催眠術がどこまで通用するのかも見ものだ。
「綺麗だ・・・・」
「すっばらしいのだ!!」
剣華は感動の余り、野を走り回っている。俺も10年ほど小さかったらそうしてるだろう。
それほどの感動だ。
「こっからフラム村は歩いて1時間ほどで着くのですがまずはモンスターを倒してお金稼ぎでもしましょうか」
「まず、モンスターの習性です。モンスターはある一定の距離に近付くまで決しておそいかかることはありません。これを有効範囲と呼んでます。さらに、有効範囲に近付いて襲ってきても10秒間敵に攻撃されず逃げまとえばモンスターはそれ以上襲うことはなくなります。主な習性はこの2つです。」
「ふむふむ・・っておい!剣華!!」
剣華は智癒さんの話を聞くことなくモンスターとバトルに挑んでいた。
「これは・・ザハッグです!」
「詳しいことはわからんけど倒せばいいことはわかったのだ!」
これが・・人型モンスターザハッグ。たしかに人間のような姿形をしている。
しかし、決定的に違うのは尻尾だ。小さいながらも尻尾がついている。それに見た目が青いのである。
「よし!!いくのだ!!」
剣華は自慢の愛剣を鞘から取り出す。
ザハッグもこの剣におどろいたのか少し距離を詰める。
両者は睨み合い硬直する。
だが、その硬直を斬り裂いたのは剣華だった。
「いくのだ!」
自慢のスピードに身を任せ一瞬の隙を狙い、ザハッグに向かって突撃を図る。
ザハッグも手から爪を伸ばし応戦しようとするも、一歩剣華の方が速かったのが勝負の分け目だ。
勝負は一瞬にしてついた。ザハッグの身体は真っ二つに割れ、そしてポリゴン状になって砕けた。
そしてそこから、なにかが詰まった袋が落ちてきた。
その中を見ると・・金貨!!
「やったのだ!お金ゲットなのだ!」
infinity desireの初勝利は剣華によってもたらされたのであった。
俺が一番初めに勝利する計画だったのに!!!!!!!
ええい、ままよ!
おれは、慌ててこのモンスターを剣華によって更地にされる前にモンスターを探しに行くのであった。