パーティ名
ようやく、次の話から冒険が始まるます。ほんと、こんなに冒険が始まるのが遅い作品は珍しいなと自分で感じてしまいました(笑)
「ぼくの名前は 菜切 剣華。この世界に召喚されてまだ1年しかたってない新人なのだ!よろしくなのだ!」
空洞寺空と名乗る少女はその場で1回転して自己紹介を済ました。その姿はたとえ姿形はボロボロでも、しっかり芯があるようだ。
「ところで・・・・なんでそんな口調なんだ?」
今時、なのだなんて口調の人は 今日見るわけがない。
もしかしたら、なにかの病気なのかもしれない。なのだを使わないと死んでしまうとか、
死んでしまったおばあちゃんが遺言に、語尾になのだを使えと言われたとか。
「いや、これはファッションなのだ」
ファッション???なのだという語尾はファッションなのか??
幼女の言うことはよくわからん。
「そ、そうか。ところでどういう能力を持っているんだ?」
いくら、力は気にしないといってもやはりパーティメンバーに入るのかぐらいにきになる。
やはり、聞いておきたい。まぁおれは催眠術なんていわないけど。
「ぼくは、伝説の剣の持ち主なのだ!」
伝説の剣?それは・・あれか??
ロ◯の剣のような冒険の終盤で、手に入る一冊の剣か?
ちなみに前からドラ◯エで例えることは多いが、ちなみにおれが好きとかそういうことは全くないのであしからず。
「それは・・・・強いのか?」
「もちろん、それは最強の剣なのだ!ただし闘技場では剣が使えないから不甲斐ない結果なのだ!」
たしかに、闘技場では剣などの武器は使用禁止。全て素手のみというまさに自分の能力のみが武器なのだ。
「ぼくは、ずっと最強の剣ってやつに憧れていたのだ!だから、願った。最強の剣ってやつを・・・・」
右手にはその剣を持っている。
「その剣を見せてくれないか?」
「わかったのだ」
おれは、その剣を剣華ちゃんから受け取った。
その剣は・・・・歪だった。
全長5メートルはありそうな巨大な剣だ。普通ならこんな剣持てるはずがない。
だが・・・・不自然なまでに軽い。
まるで、スポンジを持っているようだ。
重さなんて感じさせない。
これなら小さい女の子でも持ち運べる。
さらに、異様なまでの鋭さ。
先端に少しでも触れれば皮膚を突き破りそうだ。
無駄な装飾なんて、一切ない。
ただ、剣としての役割を果たしている。
そのことのみを果たしているのだ。
最強の剣なんてものは、ゲームでよく見るような剣みたいに金ピカであったり見るだけで興奮させるようなものは無い。
ただ、ただ、最強の剣である。
おれは、この剣を歪に感じるし異常だとも思う。
だけど、認めざるを得ない。
どんなにすぐれた鍛冶屋でもこの剣を複製することなんて不可能であると。
この剣が最強であることを。
「す・・すげぇ・・・・・・」
おれは、もうこの言葉しかでない。
心の奥底から出る言葉なんてお世辞のように長ったらしく褒めるものじゃない。
おれは、この剣を返す。受け取った空ちゃんはこの剣を褒めていることをまるで我が子を褒められたように喜びながら受け取る。
まさに親と子なのだろう。剣華ちゃんにとっては。
「とりあえず、これでパーティは揃いました
。パーティ管理所に向かいましょう。」
「パーティ管理所?」
そこにいったらなにかあるのか?
「パーティを管理する場所。詳しく言うと、パーティを新たに作ったり解散したらメンバーの入れ替えなどを申請したりパーティを作る上で全ての基本となる場所です。ここに申請しなければパーティと言われません」
「じゃあ向かうか。ここなら何分くらい?」
「そんなにはかかりません。歩いて5分くらいです・・・・」
「・・・・・・遠い・・・・・・」
普段、歩き慣れてない柿音に至ってはもう足が限界のようだ。
さっきから歩き方が既に遭難して食べ物に飢える人そのものだ。
「おれがおぶってやろうか?」
ここは、おれが男らしさアピールだな!
おれは、出来る最高のイケメンフェイスで微笑みながらしゃがみ後ろを向く。
これで・・完璧だ。
「いい・・おぶられるなら智癒がいい・・・・・・」
この野郎!人の好意を無視しやがって!
「はいはい・・しょうがないですねぇ・・・・」
智癒さんは、優しく微笑みながら柿音をおぶる。それにしても・・智癒さんは女性とは思えないほどの体力の持ち主だ。
普通ならもう柿音のようにヘトヘトになって歩けないぐらいは歩いてるはずだ。
それなのに、少し疲れの色を隠せてはいないがまだ歩けそうな雰囲気を出している。
「智癒・・体力の秘訣は?」
「前まで冒険してた時についた体力と・・・・なによりも・・買い物ですね」
おれは、全国の食材を買ってきて作ってきている人に感謝を捧げたのであった。
結局、5分程度歩くと見えてきた。
ここには看板で大きくパーティ管理所と書いてある。
受けつけが一つだった勧誘場などに比べてこっちは合計5つも受付がある。
しかも・・それでも、長蛇の列になっていりようだ。
やはり、ここがパーティのメインといっても過言ではない混雑具合だ。
おれは、この長蛇の列を暑いだの疲れただのうだうだいいながら30分くらい待った後、ようやく自分の達の番が回ってきた。
「今日は一体どういったご内容でしょうか?」
受付嬢のお姉さんはメガネを掛けておりいかにも仕事のできそうなキャリアウーマンのようだ。いかにも清楚という感じが出ていて目鼻立ちが整っておりいかにも美人って感じだ。
さらに、おっぱいがでかい。
この点は最近貧乳ばっか増えてきたこのメンバーを見ていたからこそまさに活力剤となるのだ。
「失礼ですがご結婚はされていますか?」
「は・・・・はい???」
ちっ・・だめか。今、彼氏募集中でーす☆なんて言われたら飛び込んでしまいそうだ。
未知の世界に。異世界だけにね!!
痛っ!!!?おれの会心の質問に不満だったのか智癒さんがおれの手の甲を思いっきりつねりながらおれをどかす。
どうやら用済みのようです。
シクシク・・・・
「えっと・・新しくチームを設立したいのですが」
「あっ、はい。新規にチームをお作りになるのですね。まずはメンバー数を言ってください。」
「4人ですね」
「次に、パーティ名をお聞かせください」
パーティ名??そういや、決めてなかった。
「これは、眠くんが作ったパーティなんですから眠くんが決めてください。」
さっきおれをどかした智癒さんか再び連れ戻し先頭に立たせる。
それにしても・・・・チーム名か。
なににしようかな・・?
あれやこれやとばかり思考が思い浮かぶがどれもつまらない名前ばかり。
こうなったら直感だ!
思いつくままに吐き出せ!!
「 infinity desire。日本語訳すると無限大の願い。おれたちの願いに不可能はないって意味さ。」
ちょっとばかり恥ずかしかったが思いつくのがそれぐらいしかなかった。
俺たちには無限大の願いがある。
だが、果たして気に入ってくれるか?
「いい名前ですね!!私は大賛成です。」
「・・・・・・悪くない・・・・」
「かっこいいのだ!」
全員に好評のようだ。
ならばこれで決定だ。
「わかりました。 infinity desireですね。これでパーティ作成は完了です。最強のパーティになれるようご健闘をお祈りしています。」
受付嬢はおれに大きく一礼した。
その姿は凛としている。
今まで幾度となくパーティに向けてこの一礼で景気づけられたのだろう。
自然と頑張りたくなってしまう、そんな気分だ。
「じゃあさっそく、冒険の始まりなのだ!」
遅れながらも俺たちの冒険はここから始まるのだ。
広い世界でちっぽけな俺たちの神殺しの旅が今幕をあける。