08
うにゃ、うにゃにゃにゃにゃーっ!
……言ってみたかっただけでご乱心ではありません。あしからず。
――だから嫌な予感がしたのか。
しっかりした木造のこのホールに、カレーの匂いが充満していく。ようやっと数グループが完成が見えてきたようだ。慌てたように食器類を運ぶガチャガチャと甲高い音が鼓膜を擦るようだった。
一方。
「あ~~~~っ!?」
他より早く目標を(ほぼ1人で)達成してしまって暇を持て余した自分達5人は、遠出の定番と(あるいは出オチとも)言えるトランプで、通算3周目の大富豪に興じていた。
というか今まさに終わった。
「まーた私が大貧民!!?」
「ううーっ、私も貧民だよー……」
「……それよりもユウ君だけ圧倒的に強くない? 安定してるというか」
自分があまりコミュニケーションをとらない女子3人にぐぬぬ顔でそんな事を一気に言われ、困惑する。
「い、いや、そうでもないと思うんだが……」
「それ毎回大富豪になってるユウちゃんの台詞じゃないよ……」
詰まりそうになる言葉を引っ掛けずに吐き出すと、今度は彼女につっつかれた。何でさ……アナタも富豪じゃないですか。
そんな心の声はやっぱり届かぬままに、
「う~~ん……、よし! もう1回やろう!!」
「「「「え、えぇ…………」」」」
わがままを言う彼女とダレてる自分達。定番(出オチとも以下略)中の定番(出オ以下略)という事もあってヤキ――飽きが蔓延していたのだ。特に自分はバスの中でさえ付き合わされたので……あとは言わなくても分かってくれると信じた結果がコレだった。
はぁ――――っと心の中で盛大に息を吐き、でもやっぱり苦笑して。
「はいはいわか――」
言いかけた時だった。
担任の呼ぶ声が聞こえた。
しかも、自分だけじゃなく、彼女も一緒に呼んできたのだ。
嫌な、予感がした。