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ま た こ れ
「ん…………」
目を開く。
と、途端に眩さが目を襲った。
「――」
反射で目を瞑って、それからまた目を今度はゆっくりと慣らすように見開いてゆく。最初は眩しかっただけの視界も、段々と輪郭を如実にしてゆき、最終的には全てが鮮明に映るようになった。
視界に映ったのは、見慣れない天井だった。
――――わけでもなく。
それは今朝も目覚めた場所のものだった。とどのつまり、現在自分がいるここは、あのアリサさんが来賓用と言っていた区画の一室だった。眩しかったのはその天井から吊るされたシャンデリアが原因みたいだ。
「…………、」
緩やかに思考を解き解し、回転させる。
直後、全てを思い出した。
――取り敢えず、重い話は大体が落ち着いたという事。
――紗希がこれからどうするのかという事。
――あの使用人・ユウマの突然の攻撃はなぜかという事。
箇条書きレベルで言うとこんな感じだったか。またその内二つは解答が出ていない事も――――。
…………そうだ。
「……今、何時だ?」
いくら見た事があると言えどもそれは今朝のほんの少しだけであって…………そもそも今が今日付なのかも怪しくなってきた。
そう言えば朝はどうやって時間帯を確認したのだったか――と時計を探そうと身体を起こす。
と、
「……、…………」
かけられたシーツの上に何かが――いや人の頭が乗っていた。
それは別にホラーでもなんでもなく、
「……、…………」
ただ確かに生きている人間が、シーツをかぶせられた自分の足を枕にして規則的な呼吸を繰り返しているだけだった。誰かはそのうつ伏せで見えない顔を窺わなくてもすぐに判った。
紗希だ。
「すぅ…………、すぅ………………」
目には些細にしか映ってはいなかったが、やはり疲れたのだろう。彼女は表情こそ知らないが、とても気持ち良さそうに熟睡しているのだけは伝わってきた。
良かった。
本当に良かった――――。
安堵の息をはいて、自分はその姿を眺めていた。
それを数秒続けた頃だろうか。
「――失礼します」
ノックの音を立ててから、声の主が扉を開く。
「……こんばんは、優希様」
中に入って来たのはアリサさんだった。
「お体の方はどうでしょうか?」
「特に問題は…………ないですね」
自分は、シーツの上で寝る彼女を起こさない程度の動作で首や肩を回し、調子を確かめる。結果はオールグリーンで異常も後遺症もないようだ。
「そうでございますか……」
その返答に、アリサさんは安堵なのか懸念なのかよく判らない反応を示してくれた。




