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基本的に短くお送りしていきます。
ええそうです。
書くのが好き=書くのが巧いではないのです、ええ。
『こういうの』は、いつだって突然だ。いや、人生に突然じゃないものなんてないのかもしれない。
ただし、『こういうの』は決まって間の悪い時に訪れる。
そういう時、自分はまるで、誰かに悪戯をしてほくそ笑まれている気分になるのだ。
4月の中頃――自分達が高校に入学して、ようやく小慣れてきた時だ。
レクリエーションとは名ばかりの、遠足の日がやって来た。
何でも、飯盒炊爨などでクラスの結束を強めようとか何とかで、県央のそういった施設にクラス単位でバスで向かう事になった。その為ここ1週間、自分達の学年はどこかそわそわと浮き足立っていた。特に休み時間になると必ず訪れた「バスの座席とか飯盒炊爨のグループどうするよ?」的な会話が喧しくって仕方がなかった。
まぁ、かく言う自分も全くの平静ではなかったのだが。
そんな訳で、自分――とかの幼馴染みの彼女で隣同士の座席を確保して、バスが出発した。
「いやぁー、こーゆー行事っていっつも緊張するよね」
「そんなもんか?」
「いやユウちゃん、顔強張ってるから」
そう言って笑う彼女。
「そんな事はない」
「そうかそうか? ホーレホレホレっ」
変な擬音語と共に自分の頬を突いたり摘まんだり捻ったりって痛い痛い。
「ストップ、ストップ」
「はいはい」
俺が休戦宣言を唱えると、すぐさま彼女はパッと手を俺の頬から離した。地味に爪が食い込んでて、ヒリヒリした。多分というか確実に紅くなっている事だけは、鏡を見なくてもわかった。思わずジトーッと彼女を睨む。ほとんど条件反射だ。
でも。
「ニッシッシ」
悪びれもせず、無邪気に笑いかけてくる彼女を見て、
「…………、」
すぐに自分は許す事にした。
……まぁ。
自分の顔が強張って見える(?)のは、多分きっと……、
『おいアイツまた魅せつけてやがるぜ……っ!?』
『リア充は死ね』
『なんなん、なんなんやろね、この心に灯った黒い炎は』
『一生祝ってやる……』
『男子のその嫉妬キモいんですけど……』
自分の耳に入ってくる、クラスのボヤキが原因なのだとは思う。
おかげで胃がゴロゴロした。
なんて事はあってもだ。
結局は、自分――多分彼女もこの遠足までは楽しめたんだ。
楽しかったんだ。
この遠足『まで』は。