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朝の校内

学校に到着してすぐに靴箱を確認したがどうやら間に合ったらしい。


「炎奈。昨日支持したとおりにな」


「了解です。桜夜さま」


昇降口で炎奈と別れ、それぞれの昨日確認しあった配置へと足を向けた。


早朝の校内は驚くぐらいに静かで寒々しい感じがする。


一人だけ世界に取り残されたような、異世界に迷い込んだような、なんとも妙な錯覚を覚える


がどこかの部活の朝練の声が耳に届くことで日常に連れ戻される。


そもそも連れ戻されたこの世界は十数年前に日常から突然非日常へと移行した。


突然の非日常は今では完全に日常になってしまった。


別に今の生活に文句を言いたい訳ではないし、炎奈が九十九神になってくれたことでかなり助


かっているからそれこそ感謝したいくらいなのだが突然の異世界に世界がこうもすんなりと順


応できたことが不思議でならない。


「っと、来たな…」


自分の上履きがリノリウムに擦れる音以外にもう1つの足音が響いている。


気づかれないようにとできる限り足音を抑えているつもりなんだろうが、誰にも見つかりたく


ないがためにこの時間を選んだことでいくら足音を抑えても抑えきれていない。


足音が止まり、ドアを開ける音が思いっきり響いた。


「現行犯ですね竹山さん」


パシャッ


「いや〜便利な世の中になったもんだよな。ケータイさえ持ってりゃ大概のことはできる。こ


うやって証拠写真も撮れるしな」


竹山は右手に小型カメラを握ったまま何が起こっているのか理解できないといった顔で俺と炎


奈の顔を交互に見やるばかりだった。


「カメラもって女子更衣室に入ろうとしたんだ。やろうとしたことは誰でも察しがつく。一緒


に来てもらおうか」


竹山は観念したのか未だに訳が分からないのかほとんど放心状態で俺と炎奈に職員室へと連行


された。


職員室ではいつもどおりの時間に出勤していた伊野譲がのん気にお茶をすすっていた。


「ゆっさん。昨日話した生徒」


俺がそれだけ伝えるとゆっさんは無言で立ち上がり指導室へ入っていった。


入る直前にこっちに向けた笑顔から察するに連れて来いと言いたいらしい。


まぁ表立たないようにしてくれと頼んだのはこっちだから別にそれくらいことで文句は言わ無


いが、本性を知っているだけにあの爽やかな笑顔を見ると気分が悪くなる。


俺たちが竹山を指導室に連れて行くとすでに反省文用の原稿用紙が準備されていた。


「言いたいことがあるならその紙に書いてくださいあなたの様な腐った人間の言葉なんて来て


しまったら僕の耳が腐り落ちてしまいます。できれば息もしないでほしいのですがさすがにそ


こまで言ってしまっては教師失格になってしまいますからはっきりとは口にしません」


いやいや、十分教師失格ライン超えてるよ。


しかも話し始めから終わりまでずっと笑顔で毒吐きっぱなしだぞ。


竹山泣いてるよ…


盗撮犯を引き渡し終わり、自分の教室に戻ろうとして職員室のドアを開けようと取っ手に手を


かけたところでゆっさんに呼び止められた。


「なんであの生徒だと分かったのですか?桜夜」


「そのうち教えるよ」


あいつと話し始めるとあいつが納得するまで永遠と説明させられるに決まっている。


逃げるようにドアを開け職員室を後にして教室へと戻った。


教室へ逃げ帰るともっと厄介なのが待ち構えていた。


「いろいろ説明してもらわないとな」


姫が俺の席に座り、その横に桃陽が硬く腕組して立っていた。


勘弁してくれよ…





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