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 幕間:ダンジョンの隅っこで、馬鹿共がはしゃぐ


 次から戦闘が始まるので、その前に二人の馬鹿馬鹿しい日常を、どうしても書きたくてやってしまいました。すいません。

 一応、設定とか、伏線も混ぜてあるので、よろしければ、どうぞ。

 ・ダンジョン生活、一週間頃

 

『ほら、女の子って甘い物好きじゃん?だから、お菓子を持って、その子を訪ねた訳』


 「はあ、はあ」


 『そしたら、その子が言う訳さ。このチェリーパイ本当に美味しいわね、って』


 「はあ、はあ」


 『だから、俺はこう言ってやったのよ。君のチェリーパイの方が、百倍美味しいよ、ってね』


 「マジやめてくんねーかな!!真面目にやってる人の横で、最低な下ネタ言うのっ!!はあ、はあ」


 『カナメちゃんたら、そんなにハアハアしちゃって嫌だなあ。そんなに興奮しちゃったのかい?これだからクソ童貞は』


 「ちげーよ、素振りしてんの!!はあ、はあ、見たらわかんだろ、息切れしてんの!!」


 『クフフ、そんな事言っちゃて。童貞をこじらせるとそうなっちゃうんだね、怖い、怖い』


 「だーっクソ、もうアッタマきた!!今日という今日は許さない、絶対にだ!!謝るなら、今のうちだぞ」


 『だが断る!!クフフ、ナニを何しようと、亡霊である俺様には効かぬわっ!!』


 「俺がただのもやしボーイだと思って、甘くみたな!!俺に光魔法を教えてしまったのが、貴様の運の尽きだ!!魔法で大事なのは、要はイメージ!!今から、貴様を、消滅してやるっ!!」


 『な、なにいぃ!?…あのう、本当に消滅とかしっちゃたら、そこはかとなくどっちらけ感が…』


 「知るかボケ、くらえ!!俺のこの手が光って唸る!!必殺、シャ…「ヴァニッシュ」だ!!」


 『う、うわあああああああ!!』


 「なーんちゃって、てへぺろ…て、あれ?本当に、白い光とか出てるし。意外と何でもアリだな、魔法…王子、約束は守ったぜ、ア・デュー」


 『ア・デューじゃないよ!!本当に消滅するかと思ったじゃないのさ…若干お花畑とか見えたよ…』


 「それは違うよ、王子。お花畑は、見えたんじゃない。お前の頭の中が、お花畑なんだよ」


 『え?なんでイイ顔して、ヒドイ事言ってるの?謝れ!!』


 「うるさいバカ!!大体、王子が人の事、やれ童貞とか、クソ童貞とか、童貞をこじらせて、とか言うのが悪いんだろ!!てゆうか15歳だよ、俺。童貞なのはむしろ普通じゃん」


 『いやいや、こっちじゃむしろ15歳で童貞って少ないよ?結婚だってできるし』


 「は?」


 『15歳って言ったら成人してるし』


 「は、え?いや、だってこの前20歳で国王が、とか儀式が、とか言ってたじゃん」


 『それはあくまで王族の儀式の話。ダンジョンて本当に危険なんだけど、面子の問題で、王族は少人数でしか入れないから、20歳まで待ちましょう、って話なんだよ。成人とは別。弟は16で結婚したよ、俺は遊んでいたかったから、結婚はしなかったけど』


 「そうなんだ…じゃあ、王子も15歳の頃には?」


 『あの頃のあだ名は、「寝業師」だったかな…』


 「すげえっ!!」


 『俺様ってば、町娘にも優しくしてたからね。よく言われたものさ、「ベッドの上でも王子様なのね」ってね』


 「すごい!!ゲスなのにかっこいい!!ゲスかっこいい!!」


 『クフフ、俺に付いて来ればカナメちゃんもモテモテさ。やったね!!』


 「やったぜ!!」


 『俺様の事は、これからも師匠と呼びな。色んな意味でな』


 「あ、俺そろそろ寝るわ。明日も起こせよ。おやすみ」


 『あ、はい…』


 


 ・ダンジョン生活、約半年辺り


 『なあなあ、カナメちゃーん』


 「あによ」


 『カナメちゃんの好きな娘って、あの娘だろー。カナメちゃんの記憶に良く出てくる、年上っぽい娘』


 「人の記憶勝手に見んなっつったろ、クソ王子」


 『えー別に良いじゃん、それくらい。それより、どういう娘なの?どうやって知り合ったの?どうして好きになったの?ねー、ねー、教えてよー、ねー、ねー』


 「うっさいな、わかったよ、もう。王子の言うとおり年上の人で、うちの神社にアルバイトしに来てくれてるひと。巫女のバイト。明るい人でさ、俺にも気さくに接してくれてさ、弟みたいに思ってたのかもしれないけど、よく喋ってるうちに、好きになっちゃたみたいな?」


 『結構カワイイ娘だよね、笑顔が印象的みたいな』


 「そうそう、笑うとできるえくぼが、って…言わせんなよ、恥ずかしい!!」


 『なんだっけ、あの、巫女服?こっちの世界の巫女と違って、なんつーか無駄にエロいよな』


 「はあ?巫女服馬鹿にすんじゃねーよ。それ以上言ったら、かしこみ申すぞ、この野朗」


 『でもさ、カナメちゃんのその娘との最後の記憶、何か変じゃなかった?いきなり無視されたって言うか、何かカナメちゃんの事が、見えて無かったような…』


 「………」


 『カナメちゃん?』


 「…俺の事はいいよ、もう会えるかも分からないんだしさ。それより、王子にはいなかったの、その、好きな女の人とか?」


 『俺?そりゃあ、いたよ。凄く、好きだった』


 「へえ、王子の事だから皆遊びで、本命なんていないのかと思ってたよ。どんな人?」


 『ファラミア、ファラミア・アルバ。山猫みたいな瞳をした、気の強い女だったよ』


 「どこで知り合ったの?」


 『騎士団長の娘でさ、生まれ年が一緒だったから。幼馴染ってやつだね。もう一人ギドって奴をいれて、俺たち三人ずっと一緒だった。遊ぶのも、勉強するのも、ダンジョンに入るのも』


 「あれ、って事は王子が最後にこのダンジョンに来た時の…」


 『ああ、一緒に来たのは、ギドの方。ファラミアは、その少し前から体調が思わしくなくてさ、無理矢理置いてきた。帰ったら結婚するつもりだったんだけどさ』


 「そう…でも、そのファラミアって人にとっては良かったんじゃないの?王子と結婚なんかしたら、他にも嫁さん何人も侍らせて、ハーレムみたいの作ってたろうし。逆に悲しませてたって」


 『何言ってんの、重婚なんてダメだよ。バレたら奴隷にされちゃうよ?結婚前の火遊びくらいなら、多めに見てもらえるけど、ハーレムなんて作った日には、死刑だね、死刑』


 「マジで?」


 『法律で定められてるから。と言うのも、この世界の唯一神であらせられる所の、イリア神様が「この世は、一人の男と、一人の女の、愛から生まれた」と仰られたって、伝えられてるからなんだけど』


 「うそやん。じゃあ俺の、両手にエルフ、ハーレムウハウハ計画は?」


 『一族郎党死刑だね。まあ例外的に、最高権力者にのみ後宮を持つ事は許されてるけど。後継ぎが出来なかったら大変だからね。おいおい話していくけれど、他国のダンジョンを勝手に突破するのも難しいし、カナメちゃんがどっかの国の王様になるのも、ちょっと無理かな』


 「なんたこった…可愛いエルフか、きれいなエルフを、選べだなんて、俺に死ねって言ってるのと同じことだぞ!!」


 『可愛くてきれいなエルフを探せばいいじゃない』


 「そんなの無理だ。そんな奇跡みたいな存在、ディー〇くらいしかいる筈無い!!」


 『ふむん、ならこうすれば良いよ。俺たちがいるこのユラス大陸、エステバン王国はその西方にあたる。んで、大陸東方の沖合いに、人々に「魔の島」って呼ばれて恐れられてる島がある』


 「ほうほう」


 『その島にはダンジョンがある事が確認されているんだが、いかんせんダンジョンの周りをうろつくモンスターからして強すぎて、近づく事さえ難しい』


 「へえ、でもそんなにモンスターが強かったら、周りの国のひとたちは大変だね」


 『それは、大丈夫。なぜなら、モンスターは海を渡らない』


 「そうなの?」


 『うん。モンスターは、ダンジョンが生み出した魔法生物ってのが定説で、マナの供給を受けてるのか、外に出たとしてもあまりダンジョンから離れたがらないんだよね。海にもモンスターはいないし。深海はどうだか知らないけど』


 「ふうん、なるほどねえ」


 『だから、その島のモンスターを駆逐して、その島にカナメちゃんの国を造ればいいじゃない』


 「お、おお?」


 『カナメちゃんが国王になれば、嫁さん百人だろうが二百人だろうが、やりたい放題だよ』


 「おお!!おお!!」


 『人間だろうが、エルフだろうが、人魚だろうが、ユー好きにやっちゃいなよ!!』


 「…王子、俺は決めたよ…ハーレム王に、俺はなるっ!!」


 『…がんばれ!』





 ・ダンジョン生活、約一年経過


 『カナメちゃん、レベル幾つになった?』


 「今、丁度20だな。なんか最近上がるのが早くなって来た気がする」


 『ジョブは?』


 「…ひよっこになってる」


 『たまご、ひよこ、ときて、ひよっこかあ。とんちが効いてるねえ』


 「いや、とんち要らないだろ。ここまでくると、悪意があるとしか思えない」


 『…しっかしまあ、身長伸びたねえ』


 「王子が多分家の父親よりデカくて、今その胸のあたりだから、160cmくらいか?一年で10cmくらい大きくなってそう。筋トレ効果か、筋肉もついてきたし。この世界の水がやたらと合ってたのかしら?」


 『着てるシャツとかもパツパツじゃん』


 「ここに来た時寝巻きだったから、少し大きめのT-シャツだったはずなんだけどね。その内着れなくなりそうだよ、どうしよう」


 『髪の毛も伸び放題だし…全体的に薄汚くなったよね』


 「髪の毛なんて切れるのが、そこの剣くらいしか無いんだもん。恐くてできません」


 『なんつーか、見た目的に可愛げが無くなってきたよな…昔は、雷で小便ちびっちゃうくらい、可愛らしかったのにね』


 「…ナゼ、オマエガ、ソレヲ、シッテイル?」


 『クフフ、毎度お馴染み、記憶で見たのよ。雷が鳴るたび、「お母さーん」って、可愛かったなあ、カナメちゃん』


 「くっ…だが。だが、しかし、俺は雷の原理を知り、どの様な作用を及ぼし、どの様な効果を発揮し、またどの様な回避の仕方が効果的かを学ぶ事により、その恐怖を克服した!!…おかげで今じゃ、ちょっとした雷博士さ。結論!!自分に落ちない雷は恐くない!!」


 『結論が馬鹿っぽいけど、すげーな。俺たちなんて、雷と聞けば未だに、「神様がお怒りじゃあ」なんて言ってるくらいなのに』


 「…ところで王子、魔法の中に雷魔法ってないじゃん?」


 『うん。少なくとも、始まりの魔法使いの魔導書には載ってない』


 「んでさ、その始まりの魔法使いが言ってた、………、………、………」


 『ふむ、………』


  



 


 

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