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 少年と亡霊王子 2

 「バカ王子、プラーナって何だ?超絶男前で天才的頭脳の持ち主であるところのこの俺に分かり易く説明してみろ」


 『いやいや、俺から見たらカナメちゃん結構ヒドいよ?顔はまあまあかわいいけど、背は低いしヒョロっヒョロじゃん。それに天才的な頭脳の持ち主なら分かり易く説明しなくても大丈夫なんじゃない?まあ、優しい優しい俺様はちゃんと説明してやるけども』


 真顔で言いやがった。…ぐぬぬ、これだから男前はっ。俺だって好きでヒョロヒョロなんじゃない、どんなに頑張っても筋肉がつかないんだよ!背だって、母親は160センチ以上あるし、父親に至っては180超えてる。こ、これから成長期なんだからねっ(震え声)


 『カナメちゃん、さっき俺が異世界の証拠があるって言ってたの覚えてるか?』


 「馬鹿にすんな、二つあるって言ってたろ」


 『そうだ。そっちに無くてこっちにあるものそのいち、ババン!魔法だっ!』


 「魔法だあ?またうさんくせえ事言い出しやがって。じゃあそのプラーナってやつは魔法に関係あるのか?」


 『その通り。まあ、説明をする前に、一回魔法を使っちゃった方が、ここが異世界である一つの指標になって分かり易いだろう。カナメちゃんの世界に魔法が無いのは、カナメちゃんの知識で確認済みだしな』


 「でも俺、魔法なんて使えないよ?」


 自慢じゃないが生まれてこのかた魔法なんて使った事無い。

…でも、このままいったらたぶん30歳を迎えても童貞だから、その時になったら魔法も使えるかもねっ!…って、やかましいわ。


 『心配すんな、ラインが繋がるって事はカナメちゃんの体がちゃんとプラーナを生成してるって事だからな。君も立派な魔法使いの一員さ!』


 「え、そう…じゃ、ちょっとやってみようかな」


 俺も去年まで中2だったわけですし…正直に言うと魔法、めっちゃ興味ある。


 『クフフ、そうこなくっちゃな。泣いて驚き、見てビビれ!さあ、カナメちゃんもご一緒に!ステータスオープン!』


 「え!?」 


 『え!?』


 「え、ステータスなんて?え、魔法ってこう、炎がゴーとか、水がドバーとかじゃねえの?」


 『はあ?お前魔法なめんなよ、お前みたいなヒョロっヒョロなのがいきなり攻撃魔法なんて使える訳ねえだろ!』


 「なんか思ってたんと違ーう」


 『うるさいな、つべこべ言わずにやれ。ほら、ステータスオープン』


 「はいはい、ステータスオープン…?」


 唱えてみると、ピコっという音と共に視界の右端に、確かにそれが表れる。


 カナメ ヒョウブ 15歳 男 LV1 ジョブ:たまご


 『ん、でてきたか。その状態で目を閉じるともっと詳しく表示されるぞ』


 言われた様に目を閉じてみる、おお確かに色んなステータスが見れる様になってる…けど、やっぱ地味だなー。


 『クフフ、どうだこれが認識魔法だっ!!…なんだ納得いかないって顔してるな。まあこっちの世界では3歳児なら誰でも使える様なものだしな。でもそっちの世界にはないだろう?』


 「まあ、確かにそうだけど。ちなみにこれどうやって消すの?」


 『消えろって念じれば消える…テンション落ちてるなあ。炎や水の魔法はおいおい俺が使える様にしてやるさ…でも俺の見たところカナメちゃんのプラーナ生成量って微弱な気がするんだよな』


 「プラーナ生成量?」


 『ステータスにMPってあったろ、それの事。ちなみに幾つだった?』


 「1、だった。」


 『マジで?それはヤバい』


 「ヤバいの?」


 『ヤバい。一歳児並み』


 マジか…一歳児って赤ん坊じゃねえか。


 『まあそれはおいおいどうにかするしかないだろう。先に魔法の解説といこう』


 「お願いします」


 『よし、大前提としてこの世界にはマナが満ち溢れている』


 「マナ?」


 『そう、マナ。マナはどこにでも存在する。空気の中に、大地の中に、海の中に。あるいは人の中にも』


 「へえ」


 『人は体内にマナを取り込む事で、胃のあたり丹田と呼ばれる場所でそれをプラーナに変換する』


 「ほう、どうやって?」


 『人本来が持っている「気」がマナに作用してその性質を変換している…らしい。水を飲むように行われている事だからそういうものだと思っておけ』


 「はあん」


 『プラーナは魔力とも言う。んでその魔力を使う事でマナは現象に干渉する』


 「現象に干渉…?」


 『ああ、適切な魔力を用いる事でマナを火に変えたり、水に変えたりする。それが魔法だ。』


 「なるほどなるほど。魔法は誰にでも使えるの?」


 『基本的には。でも、人によって生み出す魔力の生成量に差があるし、得て不得手がある』


 「どういう事?」


 『さっき人の中にもマナは存在するって言ったろ、それを「内気」と言う。逆に体の外側に存在するマナを「外気」。人によって干渉できるマナにも得意と苦手があるのさ』


 「ほーほー」


 『「内気」が得意な奴は「外気」が使えない。「外気」が得意な奴は「内気」が、ってのがほとんどさ。ジョブで言うなら、前者が戦士系、後者が魔術師系だな』


 ふうん、そう言うジョブがあるんだ…ん?ってあれ、うん?


 『そう言えば、カナメちゃんのジョブってなんだった?さっきステータスで見たろ』


 「え、うん…たまごってなってた」


 『は?』


 「え?」


 『いやいや、なんて?』


 「だから、たまごって書いてあったの!!」


 『アホか、そんなん聞いた事ねえわ!!冗談でしょ?』


 「いやいや、本当ですから。え、これやっぱり変なの?」


 『めっさ変だよ、大体はさっき言った戦士とか魔術師とかなの!たまごってなんだよ、これからなんか生まれんのか』


 「しるかボケ、書いてあんだから仕方がねえだろ」


 『ううん、ジョブはLVや生き方で変わるし、問題ないのか?…まあいいやとにかく、この世界には魔法がある、のコーナーでした。詳しい話はおいおいしていくよ』


 「ちなみにステータスオープンは莫大なMPを使ったり?」


 『ううん、しないよ。ゼロだよ、ゼロ。今のカナメちゃんじゃ魔法なんてろくすぽ使えないね』


 「…やっぱりそうでしたか…」


 『はいはい、気を取り直して次のコーナー行ってみよう。ここは異世界だシリーズ第二弾、ババン!

モンスター!』


 「モンスター?」


 『うん、これも見てもらったほうが早いね。』


 と言って移動する王子。…亡霊なのに足はあるんだな、歩いてる様に見える。


 『ほら、こっちこっち』


 と、さっき見た部屋に一つしか無い出口の所から手招きする。

 …非常に嫌な予感がする。起きた時に聞こえた雄叫びみたいなの、出口の外から聞こえるんだよね。

 まあ行くしかないか、って事で俺も出口の横まで移動。


 『ほら、こっから覗いてみ。あ、足はだすなよ。穴に落ちちゃうかもしんないから』


 言われたとおり顔だけ覗かせてみる。

 出口の外には穴があった。15mくらいの深さ、10mくらいの幅があって壁に繋がっている。

 20mくらいの奥行きのさきに通路らしきものがある。ぼんやりと光る壁に照らされたその通路に、

 …ナニかがいた。


 「ブゥモォォォォーーーーーーーーー!!」


 ………


 「ギィヤアァァァーーーーーーーーー!!」


 コケそうになりながらも走って部屋の奥まで逃げ出す。なんかアフリカ象くらいのサイズで、馬鹿デっかい角の生えた、牛みたいのがいた!


 「ナニアレ、ナニアレ!!」


 『クフフ、あれぞモンスター!!その名もベヒーモスだっ!!』


 またぞろ、バって手を広げて言いやがった。ドヤ顔である。


 …この世界にはベヒーモスがいるらしい、です。


 


 


 


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