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おいおいマジかよ。いくらなんでも大げさだろ。【9】


 電話してきたのはダチの朝倉だった。

 用件は、数学の宿題をどこまでやらねばならなかったのか。

 なんでお前はいつもメモってないんだ。


「オレそん時思いっきり寝ててさ。気付いたらいつも授業終わってんだよ。──なぁそれより、今ウソホン見てる?」


 見ていたら電話に出ていない。


「だよな。お前ん家の電話、なぜか玄関にあるもんな」


 ほっとけ。母さんの都合で置かれてんだ。


「今ちょうどゆいゆいがテレビに出ているぜ? お前が言ってた例の【小さなおっちゃん伝説】特集やってる。なんかこれ、全国からすげー投稿がきてんだな。やっぱりゆいゆい人気のお陰か?」


 お前、今テレビ見ながら俺と電話してんだろ。いったん電話切っていいか?


「ははは。誰だよ、これ投稿した奴。おっちゃんの力でゲームの世界にログインできる都市伝説だってさ。どこの世界のファンタジーだよ。こんなん絶対嘘だろ。ゆいゆいは純粋だからすぐそういうの信じちゃうんだよな。――お? なんか投稿内容がどんどんぶっ飛んできてんぞ」


 おーい。俺と電話していること忘れてねぇか?


「これ終わったらちゃんと電話切るから」


 だったら今すぐ切ってくれ。ってか、切るぞ。


「待てって。またお前に電話するの面倒くせーだろ。ちょ、なんだよこれ。なんかスゲー投稿来てんぞ。コード・ネーム【K】伝説ってなんだよ」


 ……え? 今なんて言った?


「はぁ!? 有力情報には投稿者A氏が百万出すってよ! マジかよ。これ、マジでもらえるのか?

 あ、そういやお前もネタ持ってんだっけ。ネタってどんなのだ? なんならオレが代わりに投稿」


 ぶつり、と。

 俺はすぐさま電話を切った。

 固定電話の置かれていた玄関からテレビのある居間へと移動する。

 テレビの電源がついていないことを知り、リモコンを探す。

 母さんが不思議な顔して問いかけてくる。


「何を探しているの?」


 リモコンを探しているんだ。どこにある?


「そこにあるわよ」


 どこ?


「そこのクッションの下」


 あった。

 リモコンを見つけて俺はテレビの電源を入れる。

 ウソホンの番組は終盤に差し掛かっていた。

 アイドルの杉下ゆいながテレビに向かって情報提供を呼びかけている。

 手にしたボードに書かれた『コード・ネームKの情報お待ちしています』の文字。

 そして、有力情報は投稿者A氏が百万で買うだと?

 

 俺は思わずリモコンを床に落とした。



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