おっちゃんの陰謀【51】
俺はエマのお兄さんが所属する第十八部隊に入隊することにした。
険しい岩山を越え、ひたすら道を歩くこと丸三日。
俺はへとへとになりながらも必死で彼らについていった。
エマのお兄さんが俺を気に掛けて同じペースで歩いてくれる。
「北の砦は近い。砦につけばゆっくりと休憩できる。それまで頑張れるか?」
俺は無言で頷いた。
頭の中でおっちゃんが裏声で応援してくる。
『そーよ。あともう少しだからガンバってぇ。ふぁいと、ふぁいと♪』
頼むから俺の頭の中から消えてくれ。マジで。
おっちゃんの声が素に戻る。
『そんなこと言っていいのかー? 早く現実世界に戻りたいくせに』
帰す気もないくせに。
『うむ。その考えはたしかに間違っていない』
すげー腹立つ。
『ところでお前──』
なんだよ。
頭の中で別の男性の声が聞こえてくる。
『隊長。指示通り、部隊の準備が整いました』
不意を突かれたのか、しどろもどろとおっちゃんが焦っている。
『あ、え? ちょ、待て。俺三時間後っつったよな? なんかお前、声掛けてくるタイミング早くね?』
『いえ、ちゃんと言われた通りの時間に……』
『そ、そうか。よし、じゃぁレッツらゴーしよう』
『は?』
『は? じゃねぇよ。聞こえなかったのか? 突撃だ、突撃。今すぐ奴らを奇襲しろ』
『た、隊長? あ、あのなんかご様子というか、人格自体が別人のように変わって』
ぶつりと。
そこでおっちゃんとの連絡は途絶えた。
ちょっと待て。
あの野郎、なんか良からぬ事企んでねぇか?




