あれ? お前、あの時の……【41】
学校が終わり、終礼の鐘とともに俺は帰宅の準備をする。
朝倉が何気にぽつりと言ってくる。
「やっぱもう部活行かないんだな」
え? あ、あぁ。今日は部活休むからあの先輩に言っといてくれ。
「オレも一緒に帰ろっか?」
悪い。俺、今日は用事があるから先に帰るな。
「一人でか?」
寄るとこあるから一人で帰るよ。
「そっか。あんま無茶すんなよ」
え? あ、あぁ。サンキューな。
俺は内心で首を傾げる。
やっぱりなんか、朝倉の様子が変だ。
そう思いつつも荷物をまとめ、俺は教室をあとにした。
──学校の帰り道、その商店街で。
俺は果物屋に立ち寄ると品を選んでいた。
亭主のオススメは今が旬のスイカらしい。
赤い実に甘い果汁。たしかに梅雨も明けて暑くなるこれからの季節には最高の風物詩だ。キンキンに冷やして庭で食べたいところだ。
って、そうじゃなく。
「マジで美味いって、兄ちゃん。まぁ騙されたと思って買ってみな。百円引きしてやっから」
俺は見舞いに持って行く果物を
「なんならバナナも一房おまけだ。これでどうだ?」
いや、『どうだ』と言われても。
「あ。こんなとこにKがいる」
ふいに背後からかけられた聞き覚えのある声に、俺は振り向いた。
あの時公園で、Mと名乗ったツインテールの少女だった。
彼女の着ている制服からして、どうやら隣の青山校の生徒だったようだ。
するとMと一緒にいた二人の女友達が冷やかすようにしてMを突いてひそひそ話す。
「ちょっとちょっと」
「あの制服、灘区校の男子じゃん。結衣、知り合いなの?」
「うん、ちょっとね」
M──本名、結衣とやらは女友達二人とそこで別れ、俺のところへ駆け寄ってきた。
「買い物?」
え? あ、あぁ。まぁな。
「へぇ。男の子って果物食べるんだぁ。不思議ぃー」
食べるのは俺じゃないけどな。
俺は結局スイカを買うことになった。
「あたしもスイカ好きだよ?」
だから、食べるのは俺じゃねぇっつってんだろ。
「じゃぁ彼女が食べるの?」
見舞いのお返しだ。
「見舞い? どこ行くの?」
見舞いに来てくれた奴んとこ。
「あ、そうだ。ちょうど良かった。あんたの学校に綾原奈々って子がいるでしょ?」
それがどうした?
「今日、学校に来てなかったんじゃない?」
俺は怪訝に顔をしかめた。
なぜそんなこと知っている? 綾原と友達なのか?
「あれ? もしかしてKって同じ学校にいて気付かなかったの? 奈々ちゃんもコード・ネーム保持者だよ」




