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信じているわけじゃないんだが、なんとなく。【39】


 普通に夜ご飯食って、普通に風呂入って、普通にテレビ見て。

 そして今から机に向かって普通に勉強を始めようと思う。


 俺はペンを指先でくるくると回して弄びながら椅子の背にもたれ、呆然と天井を見つめていた。


 勉強がなかなか進まない。やる気もない。


 天井から勉強机へと視線を落とす。

 そこに飾っている置時計。

 夜の十時を示していた。


 なんとなく、おっちゃんのことを思い出して頭の中で呼びかけてみる。


『ほぉ。今の今まで俺を遮断しておいて今更になって暇だから呼びかけてみたとか、そんなんじゃねぇだろうな?』


 どうせおっちゃん暇だろう?


『今食事中だ。後にしてもらおう』


 どこで何食ってんだよ。しかもこんな時間に。


『お前んとこが何時なのか知らんがこっちは昼飯時だ。それにしてもここの飯屋の肉、ほんとうめぇな』


 こことか言われてもわかんねぇよ。


『何言ってやがる。お前もゼルギアにおごってもらってさんざん食っただろうが。その飯屋だ』


 なぁおっちゃん。


『お! 悪ぃがそこの美人の姉ちゃん、この肉の追加を頼む』


 シカトすんな、コラ。


『姉ちゃん美人だなぁ。今度俺とデートしないか?』

『いいわよ。ここに電話して』

『オーケー。必ず電話する』


 オイ! 生活感ダダ漏れで全部こっちに聞こえてるぞ!


『聞こえて困るものは何もない』


 そのオープンな態度が余計腹立つッ!


『それはそうとお前、こっちの世界に来る気はないか?』


 行かないって言ってるだろ。何度もしつこいな。


『そう怒るな。ただの確認だ。俺から言ってやらねぇとお前、こんだけ断っておいて自分から「行きたい」とか言い出しにくくなってんだろう?』


 安心しろ。俺は一生言わない。


『相変わらずつまんぇー奴だな。だからお前──』

『みんな聞け、大ニュースだ! ゼルギアが黒騎士に捕まったらしいぞ!』


 え?


 おっちゃんの舌打ちが聞こえてきた後、いきなりぶつりと交信が途絶えた。



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